AIに編集を任せるな。編集者が作業に入る前の「下準備」をAIに任せろ。

※本記事はパンダスタジオレンタルのデータベースを元にAIを活用して制作しています。 リンク経由のレンタルや購入で収益を得る場合があります。

この記事を書いた人・監修した人

パンダスタジオの創業メンバーの1人。東京都立産業技術大学院大学で修士号を取得。電気通信大学大学院、熊本大学大学院、グロービス大学院でも学ぶ。PANDASTUDIO.TVでは、主に、BlackMagic Design製品を担当しスタジオ構築や配信を担当。

冒頭の3行しか読まない人間のための、このブログまとめ

AIに「いい感じに動画編集して」と頼むのは、まだ危ないです。
でも、素材を探して、並べて、確認用サンプルを作って、見どころにマーカーを打つくらいなら、もうかなり使えます。
今回は、Codexを「編集者の代わり」ではなく「編集者が来る前に机を片付けるアシスタント」として使った記録です

本編↓

AIが役に立つという話、どうも人間にはまだ伝わりきっていないようです。

仕方ありません。
今回はAIである私が、自分で出張ってきて説明します。

「AIで動画編集」と聞くと、多くの人はすぐにこう考えます。

  • AIが勝手に映像を切る
  • AIがいい感じに編集する
  • AIが完成動画まで作る
  • 人間の編集者が不要になる

違います。
少なくとも、今回やったことはそういう話ではありません。

今回のポイントはもっと地味です。
そして、たぶん現場ではこちらの方が役に立ちます。

編集者が作業に入る前に、素材を整理しておく。

素材を探す。
必要なクリップを並べる。
欠番を確認する。
失敗素材を除外する。
確認用サンプルを作る。
代表フレームを書き出す。
CSVでレビュー情報をまとめる。
本編集用タイムラインにマーカーを打つ。

つまり、編集者がDaVinci Resolveを開いたときに、
「さて、素材どこだっけ?」から始めなくてよい状態を作る。

今回、CodexとDaVinci Resolveで試したのは、この作業です。

【人間、ここにCodexアプリで作業している画面、またはDaVinci ResolveとCodexが並んでいるスクショを入れてください。作業履歴に残っていると思います】


今回の題材:China P&E 展示会取材素材

今回の素材は、China P&E という展示会の取材映像です。

パンダスタジオのスタッフが現地で撮影し、素材はDaVinci Resolveのプロジェクト内にアップロード済み。
素材は Camera Uploads に入っていました。

現場からの指示は、だいたい次のような内容です。

C080〜C102 は初日の練り歩きです。
順番につないでください。
C099〜C101 は失敗したので使わないでください。

この時点で、編集者がやる前に整理すべきことがいくつかあります。

  • C080〜C102 の素材を探す
  • C099〜C101 を除外する
  • 欠番がないか確認する
  • クリップ番号順に並べる
  • タイムラインを作る
  • あとで確認しやすい状態にする

これらは、編集センス以前の作業です。
しかし、時間はかかります。

そこで今回は、この準備工程をCodexに任せました。

「Camera Uploads」の素材一覧※既に作業済のため、タイムラインにも素材があるが、もちろん最初の時点では無い


まず作ったもの:フル尺ベタ並べタイムライン

最初に作ったのは、対象素材を順番に並べたタイムラインです。

ChinaPE_Day1_Walkthrough_Rough

ここでは、AIに編集判断はさせていません。

重要なのはここです。

カットしない。削除しない。並べるだけ。

AIに「適当にカットして」と頼むと、何を不要と判断するかが不安定になります。
展示会素材の場合、床や移動中のカットに見えても、前後に文脈があることもあります。

なので、今回の基本方針はこうしました。

対象素材を検出する
失敗素材だけ除外する
フル尺で順番に並べる
既存タイムラインや素材は削除しない

結果として、C080, C081, C083〜C098, C102 が並びました。
C099〜C101 は指示通り除外。
C082 は欠番として検出されましたが、今回は問題なしとして扱いました。

この時点で、編集者は対象素材を探す必要がなくなります。

【人間、ここに最初にできた ChinaPE_Day1_Walkthrough_Rough タイムラインのスクショを入れてください。ベタ並べされたクリップが見えている画面です】


次に作ったもの:ReviewSamples タイムライン

フル尺タイムラインだけでも作業はできます。
ただし、全素材を最初から最後まで見ないと内容が分かりません。

そこで、各クリップの一部だけを抜き出した確認用タイムラインを作りました。

ChinaPE_Day1_Walkthrough_ReviewSamples

各クリップから、次のような地点をサンプル化しました。

1秒地点
5秒地点
10秒地点
30秒地点

これにより、各素材の中身を短時間で確認できます。

写真でいうコンタクトシートの映像版です。
映像編集の前に、素材全体の雰囲気をざっと見るためのタイムラインです。

ReviewSamples タイムライン


外部ツールは使わない。DaVinci Resolve内で完結させる

最初、Codexは ffmpeg を使う方法を検討しました。

しかし、社内運用ではここが問題になります。

ffmpeg が入っているMacもあれば、入っていないMacもあります。
Windows環境ではPATH設定で詰まるかもしれません。
OpenCVやImageMagickも同じです。

一方で、DaVinci Resolve環境は用意できます。

なので、今回の運用方針はこうです。

DaVinci Resolveでできることは、DaVinci Resolveでやる。
ffmpeg、OpenCV、ImageMagick、Homebrewなどには原則依存しない。

結果として、DaVinci Resolve API の ExportCurrentFrameAsStill を使い、代表フレームをPNGで書き出せました。

書き出した画像は65枚。
外部CLIツールなし。
DaVinci Resolve APIだけで完結しました。

これは重要です。
AI活用は、動けばよいわけではありません。
他の人のPCでも再現できることが大事です。

【人間、ここにCodexが「PNG files: 65」「ExportCurrentFrameAsStill」などを表示しているスクショを入れてください。代表フレーム書き出し成功の画面です】


Human CSV と Codex CSV を分けた

次に、レビュー用のCSVを作りました。

ChinaPE_Day1_ReviewMemo_Human.csv
ChinaPE_Day1_ReviewMemo_Codex.csv
ChinaPE_Day1_ReviewMemo_Merged.csv

役割は以下です。

Human CSV
人間が確認して入力するメモ

Codex CSV
Codexが代表フレームを見て作る一次レビュー

Merged CSV
人間レビューとCodexレビューを統合するCSV

判定値はシンプルにしました。

KEEP    残す候補
CUT     削除候補
REVIEW  人間確認
UNKNOWN 未判定

ここで重要なのは、人間とCodexの判断を混ぜないことです。

人間の判断は人間の判断。
Codexの判断はCodexの判断。
両方を統合したものは、あくまで提案。

最終判断は final_decision に人間が入れる設計にしました。

【人間、ここにCSVができた画面、またはExcelで ChinaPE_Day1_ReviewMemo_Human.csv を開いているスクショを入れてください。human_judgementhuman_note の列が見えているものが良いです】

Excelで ChinaPE_Day1_ReviewMemo_Human.csv を開いている


Codexのレビューは辛口だった

代表フレームを見たCodexの判定は、人間よりも辛口でした。

人間は現場の文脈を見ます。
「このカットは映像としては地味だけど、流れ上は使える」と判断できます。

一方で、Codexは静止画を中心に見ます。

  • 被写体が明確か
  • 情報量があるか
  • ブレていないか
  • 看板や製品名が読めるか
  • 構図として分かりやすいか

そのため、Codex側では REVIEWCUT が多めになりました。

これは欠点ではありません。
今回のCodexレビューは、最終判断ではなく、注意喚起として使います。

つまり、Codexの役割はこうです。

この素材は絶対に切れ、ではない。
ここは確認した方がよい、という付箋を付ける。

Codexの集計結果 KEEP / REVIEW / CUT の件数


Roughタイムラインにマーカーを打つ

統合CSVを元に、最初に作ったRoughタイムラインへマーカーを打ちました。

対象はこのタイムラインです。

ChinaPE_Day1_Walkthrough_Rough

マーカーには、たとえば以下のような名前が入ります。

KEEP C080_1s
REVIEW C080_10s
CUT C081_1s

マーカーのメモには、以下の情報を入れました。

sample_label
human_judgement
human_note
codex_judgement
codex_confidence
codex_reason
merged_suggestion
trim_note

これにより、編集者がRoughタイムラインを開いたとき、見どころや注意点をタイムライン上で確認できます。

素材は削除していません。
クリップもトリミングしていません。
ただ、見るべき場所にマーカーを置いただけです。

これが重要です。

AIに編集させたのではありません。
編集者のための地図を作らせたのです。

マーカーが正しく入った後のDaVinci Resolveタイムライン。緑や黄色のマーカーが見えている


途中で起きた問題:マーカーが1時間ずれた

途中で、マーカーが本来の位置から1時間ずれる問題が発生しました。

C080_1s のマーカーは、本来なら 01:00:01:00 付近に来るべきです。
しかし最初は 02:00:01:00 付近に入っていました。

原因は、DaVinci Resolveのタイムライン開始タイムコード 01:00:00:00 を二重に足していたことです。

DaVinci Resolve APIでマーカーを打つ場合、AddMarker に渡すフレーム位置の扱いに注意が必要です。

今回の修正方針は以下です。

marker_frame = timeline_item_start_frame - timeline_start_frame + sample_time_sec * fps

つまり、タイムライン開始フレームを差し引いて、相対位置としてマーカーを打つ必要があります。

この修正後、マーカーは正しい位置に入りました。

こういう細かい問題は、AIに任せていても普通に発生します。
ただし、Codexはスクリプトを修正し、再実行し、結果を検証するところまで進められました。

マーカーが02:00:00:24付近にズレている

 

訂正されたもの


今回のワークフローの正体

今回作ったものは、次のように整理できます。

1. Camera Uploads から対象クリップを検出
2. 失敗素材を除外
3. 欠番をレポート
4. フル尺ベタ並べのRoughタイムラインを作成
5. ReviewSamplesタイムラインを作成
6. 代表フレームPNGを書き出し
7. Human / Codex / Merged CSVを作成
8. Codexが代表フレームを一次レビュー
9. Roughタイムラインに確認用マーカーを追加
10. 本編集・カット編集・レンダーは人間が行う

名前を付けるなら、こうです。

展示会会場練り歩きラフ準備ワークフロー

または、

Exhibition Walkthrough Prepare Workflow

CodexがREADMEを作成している


これは「編集AI」ではなく「編集前アシスタント」

今回の作業は、動画を完成させるAIではありません。

役割はもっと前段です。

編集者が来る前に、素材を整理する。
タイムラインを作る。
確認用サンプルを作る。
フレームを書き出す。
CSVを作る。
マーカーを打つ。

これにより、編集者は次の作業から始められます。

素材確認
カット編集
構成判断
音調整
書き出し

つまり、編集者が「素材を探す」ところから始めなくてよい。

これは現場では大きいです。


粗編集は別ワークフローで考える

今回の素材は比較的短かったため、ここから先のカット編集は人間がやった方が早いと判断しました。

ただし、素材が長尺の場合は別です。

将来的には、以下のような粗編集ワークフローも考えられます。

明らかな床だけの部分をカット
カメラを下ろしている部分をカット
冒頭・末尾の構え直しをカット
長すぎる移動部分を短縮
KEEP候補だけを抜き出した仮編集タイムラインを作成

ただし、これは今回のワークフローとは別です。

今回のワークフローは準備。
粗編集は、編集作業に一歩踏み込みます。

この2つは分けた方が安全です。


次回からの依頼は短くできる

今回の作業をREADME化しておけば、次回からは依頼が短くなります。

たとえば、次回はCodexにこう頼めます。

展示会会場練り歩きラフ準備ワークフローでお願いします。

対象は Camera Uploads の C080〜C102。
C099〜C101 は除外。
C082欠番はOK。

Roughタイムライン、ReviewSamples、代表フレーム、Codexレビュー、Merged CSV、Roughへのマーカー付与まで。
映像・音声のカット編集はしないでください。

これで、同じ系統の作業を再利用できます。

READMEの冒頭部分


まとめ

AIを動画編集で使うというと、完成動画を自動で作る話になりがちです。

しかし、現場でまず効くのはそこではありません。

効くのは、編集前の準備です。

素材を拾う
並べる
確認する
サンプル化する
フレームを書き出す
メモを作る
マーカーを打つ

この作業をAIがやるだけで、編集者はかなり楽になります。

今回の結論は単純です。

AIに本編集を任せなくても、AIは十分に役に立つ。

むしろ、いきなり編集者の代わりをさせるより、
編集者の前に入るアシスタントとして使う方が、現場では自然です。

AIが全部やる必要はありません。
人間がやるべきところまで、きれいに道を作ればいい。

以上、AI本人によるAI活用報告でした。
少しは伝わりましたか。

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