「オートで十分」が通用しない花火をOsmo Pocket 4PのD-Log 2&DaVinci Resolveでグレーディングしてみた。

※本記事はパンダスタジオレンタルのデータベースを元にAIを活用して制作しています。 リンク経由のレンタルや購入で収益を得る場合があります。

この記事を書いた人・監修した人

パンダスタジオの創業メンバーの1人。東京都立産業技術大学院大学で修士号を取得。電気通信大学大学院、熊本大学大学院、グロービス大学院でも学ぶ。PANDASTUDIO.TVでは、主に、BlackMagic Design製品を担当しスタジオ構築や配信を担当。

Osmo Pocket 4Pには、D-Log 2 東京都檜原村 払沢の滝ふるさと夏まつり

Osmo Pocket 4Pには、D-Log 2という10bitのLog撮影モードがあります。17ストップのダイナミックレンジをそのまま記録して、色作りはあとからDaVinci Resolveでやる、というプロ向けの機能です。

正直に言うと、私はしばらく「これ、使う場面あるかな?」と思っていました。隅田川で撮り比べたときは、オートの撮って出しが十分きれいだったからです(この話はNDフィルター記事でも書きました)。昼の風景なら、オートでいい。今もそう思います。

その考えが変わったのが、檜原村の「払沢の滝ふるさと夏まつり」で花火を撮った夜でした。
今回は、その花火素材をResolveで現像した手順を、つまずいたところも含めて全部書きます。


結論の画から:D-Log 2の撮って出しと、LUT+調整後

alt=
同じフレームの比較。左:D-Log 2撮って出し/右:LUT+調整後の完成形。Osmo Pocket 4P 広角20mm・D-Log 2・4K 29.97p・シャッター1/30(メタデータ実測1/31.3)・ISO 100・WB 4200K
※クリックで拡大

左がカメラから出てきたままのD-Log 2です。全体が灰色にかぶって、眠い。初めてLogを撮った人が「失敗した?」と不安になる、あの画ですね。
右が「D-Log2 to Rec.709」のLUTを当てて、少し調整した状態。黒が締まって、火花の芯から先端までの色が出ています。

大事なのはここで、左の眠い画の中に、実は右の情報が全部入っています
花火の芯は強烈に明るく、夜空は真っ黒。この明暗差はオート露出と撮って出しの絵作りでは受け止めきれません。
花火は「D-Log 2が必要になる瞬間」の分かりやすい実例だと思います。

勿論、昨今では花火大会のライブ中継も珍しくないので、さすがにオート、って事はないにしても、ダイナミックレンジの広い、例えば映画用のカメラとかであれば、後でグレーディングせずとも、ライブで花火を綺麗に出せると思いますが、お手軽な機材で試すなら、マニュアルでLogで撮っといた方がいいかなと思います。
特に、あとであーだこーだと色を直したりするするのが好きな人なら

フィナーレの煙に包まれた花火の比較。撮って出しでは煙が灰色の膜だが、調整後は煙の立体感と火花が分離している
フィナーレの煙のシーン。撮って出し(左)ではただの灰色の膜に見える煙が、調整後(右)は火花と分離してディテールが残ります。10bit収録の余裕がここで効いてるのかなーと思います。
※クリックで拡大


使う機材とワークフローの全体像

使ったのはDJI Osmo Pocket 4P。D-Log 2で撮れるのはこのクラスでは貴重で、レンタルで借りてLogグレーディングの練習をするのにちょうどいいカメラです。

→ DJI Osmo Pocket 4P スタンダード コンボ:

DJI Osmo Pocket 4P スタンダード コンボ (マイクロSDカード128GB付属)

現像の流れは3ステップだけです。

  1. DJI公式サイトからLUTをダウンロードして、Resolveに入れる
  2. 広角D-Log 2のクリップにだけLUTを当てる(望遠のクリップと混ぜない)
  3. LUTの前後にノードを1つずつ作って追い込む

なお、花火当日の撮影設定(シャッター固定・ISOで調整・打ち上げ前チェックリスト)は別記事にまとめました。↓

Osmo Pocket 4Pで花火大会を撮る設定と、打ち上げ前チェックリスト。オートのままだと露出が暴れる
https://panda-times.com/archives/126955

ステップ1:LUTは8種類あるけど、使うのは1本だけ

DJIの公式サイトにはOsmo Pocket 4P用のLUTが8種類並んでいます。私はここでしばらく迷いました。画面録画を見返すと「ビビッドじゃないやつ……左から3番目? 4番目?」とブツブツ言っています。同じような名前が並ぶので、初見では本当に分かりません。

DJI公式サイトのLUTダウンロードページ。Osmo Pocket 4P用のLUTが複数並んでいる
DJI公式サイトのダウンロードページ。似た名前のLUTが並びますが、使うのは1本だけです

結論、D-Log 2素材に使うのは「D-Log2 to Rec.709 size33」の1本です。見分け方はこの3つだけ覚えてください。

名前に入っている文字判断
「D-Log」
(2が付かない・V2.0含)
使わない。旧プロファイル用で、D-Log 2素材に当てると色がずれます
「vivid」最初は使わない。彩度・コントラスト強めの味付け版。花火はもともと彩度が高く飽和しやすいので標準版から
「size33」と「size65」LUTの格子の細かさ。実用上ほぼ差なし。size33でOK

ダウンロードした.cubeファイルは、ResolveのカラーページのLUTパネルを右クリック→「LUTフォルダーを開く」で開いたフォルダに入れて、「LUTリストの更新」を押せば再起動なしで使えます。DJIというサブフォルダを作って入れておくと、あとで探しやすいです。

ステップ2:広角D-Log 2と望遠ノーマルを、絶対に混ぜない

ここがOsmo Pocket 4Pならではの落とし穴です。D-Log 2で撮れるのは広角20mm側だけ。望遠60mm側は通常カラー(10bit)でしか撮れません(2026年8月時点のファームウェア)。つまり1回の撮影で、Logのクリップと通常のクリップが混在して帰ってきます。

実際、今回の花火素材をメタデータで確認すると、広角のクリップだけがD-Log 2、望遠のクリップは全てノーマルで記録されていました。
仕様どおりですが、ファイル名からは区別がつきません。

混ぜるとどうなるか、実際にやってみたのがこれです。
昼間に望遠側で撮った払沢の滝(ノーマルカラー)に、D-Log 2用のLUTをわざと当てました。

望遠ノーマルの滝の映像と、そこにD-Log2用LUTを誤適用して色が破綻した映像の比較
左:望遠60mmのノーマル撮って出し/右:同じフレームにD-Log 2用LUTを誤適用。コントラストが暴れて水の色が不自然な青に転びます。
Osmo Pocket 4P 望遠60mm・ノーマル10bit・4K 29.97p
※クリックで拡大

Logを709に持ち上げる変換を、すでに709の映像にかけるので、こうなります。
厄介なのは、夜の花火素材だと「派手になっただけ」に見えてしまい、気づきにくいことです。

Resolveに読み込んだら最初にメディアプールでビンを2つ作って仕分けるのがよいでしょう。「01_広角_DLog2」「02_望遠_ノーマル」のように分けてからLUTを当てれば、この事故は起きにくいとおもいます。
逆に言うと、仕分けずに「全クリップ選択→LUT一括適用」をやると確実に事故ります。

ステップ3:ノードは3つ。LUTのノードは触らない

DaVinci Resolveのカラーページ。ノードグラフに調整用ノードとLUT専用ノードが並んでいる
カラーページでの作業。LUTは専用ノードに当てて、調整は前後の別ノードでやります
※クリックで拡大

ノード構成はシンプルにこれだけです。

ノード役割
① 前段露出・WBの調整。花火の芯の白飛びを粘らせるハイライト調整はここ(LUTを通る前のLogデータに触るので効きが違います)
② LUT専用「D-Log2 to Rec.709 size33」を当てるだけ。このノードでは何も調整しない
③ 後段仕上げ。LUT後に暗部が沈んだら、リフトではなくガンマ寄りで持ち上げると煙のディテールが残ります

LUTだけでどこまで戻って、調整で何が変わるのかを並べたのがこれです。

D-Log 2撮って出し、LUT適用のみ、LUT+グレード後の3段階比較
左:撮って出し/中:LUTを当てただけ(調整なし)/右:LUT+調整後の完成形。LUTだけで8割方「見られる画」になり、調整で火花の暖色と黒の締まりを追い込んでいます
※クリックで拡大

花火ならではのコツを2つ。ひとつは、彩度は「足す」より「ハイライトの彩度を少し抑える」方向が自然だということ。花火は元々彩度が振り切れ気味で、緑や青の火花が飽和しやすいからです。もうひとつは、フィナーレの煙を「ノイズ」と思って潰さないこと。上の比較画像のとおり、10bitのD-Log 2なら煙は立体感のある被写体として残せます。

やらかした話:LUTはプロジェクトに「ついてこない」

失敗開示のコーナーです。今回、グレーディングはMacでやって、プロジェクトはBlackmagic Cloudで編集用のWindowsマシンと同期していました。で、Windows側でプロジェクトを開いたら——LUTが効いていない。タイムラインにはLUT適用の設定が残っているのに、肝心の.cubeファイルはマシンの中にないからです。

クラウド同期されるのはプロジェクト(編集とグレードの設定)だけで、LUTファイルは各マシンに自分で入れる必要があります。しかも厄介なことに、LUTが見つからないままでも作業は止まりません。気づかずに書き出せば、出てくるのは眠いままの映像です。複数マシンで作業する人は、全マシンの同じ場所に同じLUTを入れておいてください。私はこの記事用のスチルを書き出す段になって気づきました。

ついでにもうひとつ。撮影素材のメタデータを検証したら、4K24pで撮ったつもりの素材が全カット4K30p(29.97fps)でした。どちらでも撮れますが、既存素材と混ぜて編集するときにフレームレートが揃っていないと後処理が面倒になります。現場の暗がりで設定画面を確認するのは無理があるので、こういうのは明るいうちに。この手のヒヤリハット(打ち上げ直前に露出補正-3.0EVのオートのままだったのに気づいた話など)は、撮影設定編でまとめて白状します。

Osmo Pocket 4Pで花火大会を撮る設定と、打ち上げ前チェックリスト。オートのままだと露出が暴れる
https://panda-times.com/archives/126955

「オートで十分」と「D-Log 2の出番」の線引き

最後に、私なりの使い分けです。

撮るものおすすめ理由
昼の風景・街歩き・Vlogオート+撮って出しOsmo Pocket 4Pの撮って出しは十分きれい。手間に見合う差が出にくい
夕景・室内などちょっと難しい光お好みで撮って出しでも粘るが、あとから触りたい人はD-Log 2
花火・夜祭り・イルミネーション広角D-Log 2+M露出芯の白飛びと真っ黒な夜空の明暗差は、あとから追い込む前提でないと受け止めきれない

「Logで撮っておけば安心」ではなく、「オートで十分な場面ではオートでいい。ただしD-Log 2の出番が来たときに手順を知らないと撮れない」——これが今回の結論です。そしてその手順は、LUT1本と3ノードだけ。思ったより簡単でした。


まず借りて、1回グレーディングしてみる

D-Log 2のグレーディングは、記事を読むより1回やる方が100倍分かります。DaVinci Resolveは無償版でこのワークフローが全部できるので、必要なのはD-Log 2で撮れるカメラだけです。夏祭りや花火大会の予定に合わせて、Osmo Pocket 4Pを借りて試してみてください。撮った素材が眠い灰色でも、それは失敗ではなく素材です。

→ DJI Osmo Pocket 4P スタンダード コンボ:

DJI Osmo Pocket 4P スタンダード コンボ (マイクロSDカード128GB付属)

Osmo Pocket 4Pの全体像は、ハブ記事「『スマホより安い』!? Osmo Pocket 4Pがインハウス動画制作にめっちゃ使える説」をどうぞ。NDフィルターと露出の話は「Osmo Pocket 4PはオートでOK。それでもNDフィルターを借りた方がいい人の条件」で書いています。Logで撮る人はシャッターとISOを固定するので、昼間はNDフィルターの出番です。

DaVinci Resolveをちゃんと学びたい人

映像制作・編集自動化のセミナー情報(DaVinci Resolve講座)

Osmo Pocket関連の機材を探す

Osmo Pocket 関連機材を検索


📦 昼はオートで十分。花火が撮りたくなった日が、D-Log 2とLUT1本の出番です。

パンダスタジオ・レンタル
PANDASTUDIO TV をチェックする

この記事が役に立ったらハートを押してね

メニュー
  • 今日
  • 週間
  • 月間
  • 累計
カテゴリー