8月4日の朝、いつものように事務所の窓にDJI Osmo Pocket 4Pを置いて、隅田川のタイムラプスを回し始めました。
違ったのはひとつだけ。「たまにはLogで撮ってみるか」と、設定をひとつ上げたことです。
結果、4時間で118GB。しかもできたのは動画ファイルではなく、DNGという静止画が7,138枚。
「えー」と声が出ました。その日から1か月、容量の大きさにびびって何もできていませんでした。
コピーだけでも大変なので。
この記事は、その118GBをやっと片付けた記録です。ネタに昇華できたので、これでやっとアーカイブに移せます。
この記事の画像はすべてDNG連番をDaVinci Resolveで現像した動画からの切り出しです(時刻はDNGの撮影時刻から)
動画は4時間ぶんの隅田川が3分58秒になっています。
晴天の昼、雲が右から左へ流れ、首都高の車と川の船がせわしなく動く。カット編集はなし、DNG連番をそのままResolveで現像してBGMを乗せただけです。「118GBの正体」を見てから、この先を読んでください。
→ 今回使ったカメラ:
Logのつもりが、出てきたのはDNG(RAW)だった
当日の記憶では「Logで撮ってみよう」でしたが、カードの中身を見るとタイムラプスがDNG(RAW静止画)の連番で記録されていて、同時に、いつもと同じMP4(4K・H.265)も別フォルダに書かれています。MP4のメタデータを見るとカラーは「Rec.709」、つまりLogではなく普通の色です。
ここで思い出しました。設定画面で選んだのは、Log(D-Log 2)ではなく「RAW」でした。
「Logっぽい、後から自由にできるやつ」という雑な理解で、いちばん上等そうな項目を押していたっぽいです。
Osmo Pocket 4Pのタイムラプスは、RAWにすると「DNG連番」と「通常のMP4」を両方書き出すんですね。
ここが今回のいちばんの発見でした。放置していたDNG118GB、実は同じ映像のMP4が2.6GBで隣に置いてあった。
「内容がよく分からないから触れない」は、フォルダを一段上がるだけで解決していたわけです。
さっさとそっちで記事を作ってアーカイブに移せばよかった。
実測:DNG連番は1枚17.6MB、1時間で31.6GB
上述の通り、墨田川のタイムラプスなので、普通にRec709をアップしておけばよかったんですが、一か月くらい無駄に100G保存してしまったので、もうちょっと詳細にしらべてみましょう。このRAW(DNG)なんか違いがあるんでしょうか?| 項目 | 1本目(001_0015) | 2本目(001_0001) |
|---|---|---|
| 撮影時刻 | 10:34〜12:48(2時間14分) | 13:04〜14:48(1時間44分) |
| 撮影間隔 | 2秒相当(DNGの撮影時刻差÷枚数からの逆算) | |
| DNGの枚数 | 4,014枚 | 3,124枚 |
| DNGの容量 | 70.5GB | 54.9GB |
| 1枚あたり | 17.6MB(3840×2160・16bit・非圧縮) | |
| 同時記録のMP4 | 1.49GB(2分14秒) | 1.16GB(1分44秒) |
| できる動画の尺(30p) | 2分14秒 | 1分44秒 |
合計でDNGが125GB(エクスプローラー表記で116.8GB)、MP4が2.6GB。同じ映像で47倍の差です。
1本目と2本目の間に16分の空白があるのは、容量警告で止まったからです。「いっけね、これまで撮りためていたほうのストレージだったか。じゃあこっちで」と、あまり気にせずもう片方のメディアに切り替えて再開したら、2本目も1時間44分でまた容量警告。内蔵107GBとmicroSD 128GB、どちらにもそれまでの動画が入っていたので、空きはそれぞれ70GBと55GBしかなかった計算になります。1時間31.6GBのペースだと、空のストレージでも内蔵は3時間20分、microSDは4時間で埋まります。「あっという間」の正体はこれでした。
DNGが重い理由は単純で、圧縮されていないからです。4Kの画素数(830万)×16bit=約16.6MBがそのまま1枚になる。
動画のように「前のフレームとの差分だけ記録する」圧縮が一切ないので、1枚ごとにこの重さがのしかかります。
撮影間隔と記録形式で、1時間あたり何GBになるか
今回の実測(DNG 17.6MB/枚、MP4 約89Mbps)と、以前の定点タイムラプス記事・モーションラプス記事の実測から、1時間あたりの容量を早見表にしました。
| 撮影間隔 | 動画で記録(4K H.265) | RAWで記録(DNG連番) | 内蔵107GBが埋まるまで(RAW) |
|---|---|---|---|
| 0.5秒 | 約2.7GB/時間(虹の記事の実測) | 約126GB/時間 | 約50分 |
| 1秒 | 約1.3GB/時間 | 約63GB/時間 | 約1時間40分 |
| 2秒(今回) | 約0.7GB/時間(今回のMP4実測) | 31.6GB/時間(今回の実測) | 約3時間20分 |
| 5秒 | 約0.3GB/時間(4Kモーションラプス記事の実測) | 約12.7GB/時間 | 約8時間半 |
虹の記事と同じ間隔0.5秒でRAWにしていたら、内蔵ストレージは1時間もたない計算です。あの日の7時間半の長回しは、RAWだと約950GBになっていました。付属のmicroSD 128GBを足しても、焼け石に水です。
→ この早見表で「自分の間隔なら何GB」を見てから、撮影モードを決めてください。まず1台借りて、1時間だけRAWで回してみると、この重さが体感できます。
118GB払って得たものは何だったのか。Resolveで現像して比べた
ここからが本題です。RAWで撮ったぶん、絵は良くなったのか。DNG連番をDaVinci Resolveに取り込み、何も調整せずデフォルト設定で現像した動画と、カメラが同時に書いたMP4を、同じ時刻付近のフレームで並べました。
結論を先に言うと、晴天の昼景を「そのまま現像」する限り、118GBのRAWと2.6GBのMP4はほぼ同じ絵でした。Resolveの現像がDNGに埋め込まれたカメラの色情報を素直に使うので、露出も色もカメラ内処理と揃います。
ではRAWは無意味かというと、そうではありません。DNGの画素値を調べると、いちばん明るい雲でもセンサーの上限まで約1段ぶんの余裕が残っていました。白飛びしそうな雲を後から戻したり、暗部を持ち上げてもざらつきにくいのは、この余裕があるからです。ただし今回の被写体にはその出番がなかった。RAWの価値は「後から触る必要がある現場」でしか回収できない、というのが払った118GBぶんの教訓です。
RAWで撮る価値がありそうな現場・ない現場
| RAWにする価値がある | 動画モードで十分 |
|---|---|
| 夕景〜夜景の露出変化が大きい長回し(空と街灯の明暗差を後から詰めたい) | 晴天・曇天の昼景(今回) |
| 花火・イルミネーションなど白飛び前提の被写体(D-Log 2の花火現像の延長で使いたい人) | 虹・雨雲など「何が起きるか分からない」現象を短い間隔で長時間回すとき(容量が先に尽きる) |
| 間隔5〜10秒以上で、そもそも枚数が少ない撮影 | 間隔1秒以下の撮影全般 |
| 静止画としても切り出して使う予定がある(DNGは1枚ずつ写真として現像できる) | 撮って出しをそのままSNS・社内共有する用途 |
放置していたDNG連番を、Resolveで動画に片付ける手順
「RAWで撮ってしまって、DNGが何千枚も転がっている」人向けに、実際にやった片付け手順です。ここで引っかかった点が2つあったので、それも書きます。
- メディアページで連番フォルダを開く。DaVinci Resolveは連番の静止画を自動で1本のクリップとして認識します(表示オプションが「個別のファイルで表示」になっていると数千枚に分かれるので「連番として表示」に)。
- クリップのフレームレートを直す。ここが1つ目の引っかかり。画像連番はプロジェクト設定のフレームレート(初期値24fps)で読み込まれます。29.97fpsのタイムラインにそのまま置いたら、4,014枚が5,012フレーム(2分47秒)に引き伸ばされました。クリップ属性でフレームレートを29.97に変えると、4,014枚=4,014フレーム(2分14秒)に戻ります。
- 4Kタイムラインに並べて、そのまま書き出す。DNGはカメラRAWパネルで露出やホワイトバランスを後から変えられますが、今回はデフォルトのまま。2つ目の引っかかりは処理の重さを覚悟していたことで、実際には4K・7,138フレームの現像と書き出しが1分15秒で終わりました。非圧縮なので、デコードが軽いんですね。
書き出したのは2本。YouTube用のH.265(4K・約28Mbps・824MB)と、あとから色を触れるように10bitのProRes 422 LT(約10GB)です。この2本を残せば、125GBのDNGは消せます。同時記録のMP4 2.6GBも隣にあるので、なおさらです。
→ DNG連番の現像から書き出しまで、無償版のDaVinci Resolveでもできます。カメラRAWの調整や10bit書き出しを本気で使うならStudio版:
レンタルで試す価値があるところ
タイムラプスのRAWは、「撮れる」ことと「運用できる」ことの間に大きな溝がある機能でした。1枚17.6MBという重さは、スペック表を眺めていても実感できません。1時間だけRAWで回して、フォルダの容量とResolveでの現像を一度体験しておくと、本番で「後から何とかなる」に頼るべきか、動画モードで軽く長く回すべきかを、その場で判断できるようになります。
シリーズの他の記事はこちら:定点タイムラプス編(撮影間隔の早見表とゲリラ豪雨の虹)/モーションラプス基本編/D-Log 2をResolveでグレーディング(花火)/ハブ記事「Osmo Pocket 4Pがインハウス動画制作にめっちゃ使える説」
Osmo Pocket 4Pのレンタルはこちら
→ 今回使ったスタンダードコンボ(microSD 128GB付属。RAWなら1時間半ぶん、動画なら丸2日ぶんです):
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📦 「後から何とかなる」は、ストレージが持つ範囲でしか通用しません。
RAWにするかどうかは、早見表の1時間あたりのGBを見てから。まず1台借りて、自分の窓で1時間、両方のモードを試してみてください。
