本記事で紹介する新製品の一部は、パンダスタジオレンタルでの新規取り扱い候補として検討中です。 商品ページ公開後、本記事の該当箇所にリンクを追加する予定です。既存マウントカテゴリで類似製品を試したい方は、各セクション末・記事末の関連レンタル機材リンクもあわせてご覧ください。
China P&E 2026とは
China P&Eは、北京で年に1回開催される中国最大級の写真・映像機材展示会です。2026年は5月15〜18日に開催され、中国メーカー各社が新製品を一斉発表する場として年々注目度が高まっています。Sony / Nikon / Canon / Fuji といったマウントへの対応を進める中国レンズメーカーが多く出展しており、日本のユーザーにも縁の深い製品が一足早く披露される場となっています。VILTROX(唯卓仕)とは
VILTROXは深圳ベースの中国レンズメーカーで、近年はAFレンズの完成度の高さで世界的な評価を急速に高めている1社です。製品ラインは大きく Pro / EVO / Air の3シリーズ展開で、フルフレーム高性能機からAPS-C・MFTのコンパクト機まで幅広くカバーしています。今回のChina P&Eでは、フラッシュ1点(他社貸し出し中で実機展示なし)を含む新製品10点を一気に発表し、ブース全体がデモ機の試写待ちで賑わっていました。新製品10種の現地レポート
1. EVO 75mm F1.8 APS-C
EVOシリーズは、ブース担当者の言葉を借りれば「高コスパかつ高画質」の中位ライン。今回1本目はAPS-C用の75mm F1.8です。同社にはすでに75mm F1.2がありますが、本機は「より小さく、より気軽に75mm(換算約112mm)の中望遠画角を楽しんでもらう」ための別解という位置づけ。 担当者は「APS-Cでの75mm画角を好む声が多かった」と語り、軽量コンパクト化を狙ったと説明。F1.2の大口径が必要ない撮影では、こちらの方が現場で扱いやすい1本になりそうです。- 想定ユーザー:APS-Cユーザーの中望遠ポートレート・人物スナップ
- 対応マウント:現地展示はSony Eマウント
2. EVO 90mm F2.2 APS-C
EVO 2本目は、APS-Cでは珍しい90mm F2.2(換算約135mm)。担当者も「90mm F2.2のスペックは、皆さんあまり馴染みがないかもしれません」と前置きしつつ、「APS-Cの小さな筐体で、135mmレンズのような撮影体験ができます」と説明していました。 換算135mm相当をコンパクトに、というのは確かにユニーク。長めの中望遠で寄りのポートレートやテーブルフォトを撮りたいAPS-Cユーザーには、面白い選択肢になりそうです。
- 想定ユーザー:APS-Cでの中望遠・準望遠ポートレート
- 対応マウント:現地展示はSony Eマウント
3. EVO 26mm F2.8 Pancake(特に注目)
今回のEVOシリーズ最大のニュースが、フルフレーム対応の 26mm F2.8 パンケーキレンズです。Sony Eマウント版が展示されており、Lマウント版も予定されているとのこと。担当者自身が「歴史的な新製品」という表現を使っていたのが印象的でした。 担当者の説明によれば、ミラーレス用として最薄でありながら、フォーカスリングと絞りリングを両方備えたAFパンケーキ。中心画質は同社最上位の135mm F1.8に迫る性能だと自信を見せていました。 加えて目を引いたのが、磁吸式(マグネット式)のフードとレンズキャップの組み合わせです。- フードはわずかな磁性で本体に吸着、点位置を合わせて装着するだけ
- 前面43mmネジ込みフィルターに対応
- 独自のマグネット式レンズキャップは、フードを付けていないときに直接本体前面にくっつく
- 想定ユーザー:フルフレーム機を最小構成で持ち出したいスナップ・旅行・日常撮影
- 対応マウント:Sony E(現地展示)、Lマウント版も予定
パンケーキレンズは、スペック表だけでは「実用レベルの画質が得られるか」「フィルター運用が現実的か」を判断しづらいタイプの機材です。発売・流通後に短期レンタルで一度試してから、常用1本にできるかを確認するのが安全です。26mm F2.8 Pancake と組み合わせて使うことの多いマウント系の既存レンタル機材 → Eマウント系: → Lマウント系:
4. AF 28mm F4.5 Lマウント版
既発売の28mm F4.5(ニコンZ / 富士X / ソニーE)に、Lマウント版が追加されました。担当者によれば「現時点でミラーレス用として最薄を実現したAFレンズ」。L-Mount Alliance(シグマ・ライカ・パナソニック)加盟以来、同社2本目のLマウントレンズになります。 このレンズはデザインも特徴的で、絞りリングが前面ダイヤル式という珍しい操作系。さらに前面には多角形の絞り羽根を採用しており、点光源撮影で美しい光芒(星形フレア)が出るとのことです。 夜景・イルミネーション・ライブステージなど、点光源の演出を意図的に使いたい撮影では、F値だけでは判断しづらい「絞り羽根の効き方」を試したくなる1本です。- 想定ユーザー:Lマウントユーザーのスナップ・日常携行・点光源演出
- 対応マウント:L(新規)、E、Z、X(既発売)
5. T/S 35mm F2.8(同社初の移軸レンズ・最大の目玉)
今回のブースで最も注目を集めていたのが、VILTROX 初の本格Tilt-Shift(移軸)レンズです。レンズ刻印は 「T/S 35/2.8 FE」、シリアル 「98B110000001」 という試作番号も確認できました。 [画像:T/S 35mm F2.8 のクローズアップ/alt案:]
VILTROX T/S 35mm F2.8 移軸レンズ(刻印 T/S 35/2.8 FE)
「フィルム時代、ニコン・キヤノン・ミノルタはそれぞれ35mmの移軸レンズを作っていました。当社の創業者も写真愛好家で、この35mm移軸レンズを愛用していた。ところが一眼レフ時代になると、どのメーカーも35mmの移軸レンズを作らなくなった。そこで、自分たちでレンズを作るからには、自社の技術力で優秀な35mm移軸レンズを実現したい、と考えたのです」さらに担当者は、「私が入社する2年前にはすでにサンプルがあった」「本来なら市場で最初の現代移軸レンズになる予定だったが、他のプロジェクトが多く発売がずれ込み、今となっては2〜3番手」と率直に振り返ります。商業判断とは別軸の、技術者・創業者の執念を感じさせる1本です。 主要スペックを整理すると:
- 焦点距離:35mm F2.8
- ティルト量:±10mm
- 0.5倍マクロ機能(接写対応)
- 同社2倍テレコンバーター併用で 70mm相当の等倍(1:1)マクロ として使用可能
- 中判デジタルバック54×40mmセンサーをカバーする広いイメージサークル
- 360度回転三脚座リング+複数の回転機構
- 操作ノブを大型化(「従来の移軸はノブが小さくて操作しづらいというユーザーの声を反映した」と担当者)
- 想定ユーザー:建築・空間・商品撮影・宝飾・テーブルトップ・特殊画角を求めるプロ
- 対応マウント:レンズ刻印からSony FE(フルフレームE)
移軸レンズは、特にスペック表だけでは判断しにくい機材の典型です。シフト量の効き、ティルト操作のスムーズさ、テレコン併用時のピント面、回転機構のロック感──いずれも実機を触ってこそ判断できるポイント。発売・流通後に短期レンタルで現場相性を確認するのが現実的です。マクロ・特殊画角寄りの既存レンタル機材 → ペリスコープ・マクロ系の特殊レンズで現場相性を試す: → Sony Eマウントのフルフレーム機・標準域レンズ:
6. AF 35mm F1.4 Pro
ここからは Pro系列です。フルフレーム用の35mm F1.4は、定期アップデート的な位置づけ。担当者は「50mm/85mmと近いサイズで、解像・耐候性とも信頼性が高い」と説明していました。防塵リング、ファームウェアアップデート対応など、現代のAFレンズに求められる装備は一通り揃えています。 奇をてらわない王道スペックの更新版、と捉えるのが分かりやすい1本です。- 想定ユーザー:Pro系列で35mmを使ってきた既存ユーザーの買い替え・買い増し
7. AF 18mm F1.2 Pro APS-C
ここで興味深いのが、APS-C用に登場した Pro系の F1.2 2本(18mm/40mm)です。まず1本目の18mmは、APS-Cで換算約27mm。担当者は「当社で最も広角のF1.2レンズ」と紹介していました。 ワイド寄りのスナップ・室内・夜景で、ボケと光量を同時に欲しい撮影に向くスペック。APS-C側でこの広角F1.2はかなりレアな選択肢です。8. AF 40mm F1.2 Pro APS-C(独自情報:「35mm F1.2」は誤り)
そして2本目が、APS-C用 40mm F1.2。換算約60mmで、担当者は「50mmと85mmの中間、新しい焦点距離の感覚を提案したい」と説明していました。【本記事独自情報】 海外メディア(PhotoRumors等)の事前情報では、この製品は「35mm F1.2」と報じられていました。しかし現地のレンズ刻印は 「AF 40/1.2 E」、担当者の説明でも一貫して「40mm」。実機表記・現地発言いずれからも「40mm F1.2」が正解であると確認できました。換算60mm前後の中望遠寄り画角は、APS-CでF1.2の浅い被写界深度を生かしたい人物・物撮りでハマる焦点距離です。 [画像:18mm F1.2 / 40mm F1.2 を並べた様子/alt案:VILTROX AF 18mm F1.2 Pro と AF 40mm F1.2 Pro APS-C用レンズ比較(レンズ刻印 AF 40/1.2 E)]

18mm F1.2 / 40mm F1.2 を並べた様子
9. AF 25mm F1.7 Air MFT
Airシリーズで初登場のマイクロフォーサーズ(MFT)対応レンズが、25mm F1.7。担当者は「当社もM43アライアンスに正式加盟した」と説明し、電子接点とファームウェアアップデートにも対応するとのこと。 今後、Airシリーズ全体でMFT対応を順次広げていく方針も明言していました。Panasonic LUMIX や OM SYSTEM(オリンパス)ユーザーにとって、今後のVILTROXは選択肢として一気に存在感を増しそうです。- 想定ユーザー:LUMIX / OM SYSTEMユーザーのスナップ・日常携行
- 対応マウント:マイクロフォーサーズ(MFT)
※マイクロフォーサーズ専用のレンタルカテゴリは現在準備中です。本記事公開後、整備でき次第こちらにリンクを追加します。
10. DC550 Pro II Monitor
最後に紹介されたのが、レンズ以外で唯一の新製品となるオンカメラモニター 「DC550 Pro II」 です。初代DC550の操作系(クイックボタン、メニューダイヤル、電源スイッチ)を継承しつつ、以下のスペックでアップデートされています。- 最大輝度1400nit(屋外撮影でも視認性確保)
- HDMIスルー入出力、ヘッドホン端子、放熱機構を完備
- Sony/Nikon/Canon/富士の主要カメラを、有線・無線でリモコン制御
- モニター上から 絞り・フォーカス・ISO感度を直接調整可能
- 3D LUT 読み込み対応(SDカード経由)
- ファームウェアアップデートもSDカード経由で可能
オンカメラモニターは、屋外での輝度の効き、対応カメラとの実通信、装着時のバランスを、自分の現場機材と組み合わせて確認する必要があります。スペック表だけでは判断しづらいタイプの機材ですので、発売・入荷後にレンタルで試すのが現実的です。→ 最新の入荷情報・現場用モニター系を確認する: 新着機材一覧
VILTROX 2026年戦略の整理
今回の10連発を眺めると、VILTROXの方向性がかなりはっきりと浮かび上がります。 1. マウント拡大の二段構え L-Mount Alliance(シグマ・ライカ・パナソニック)加盟以降、Lマウントレンズは今回の28mm F4.5 で2本目。さらに今回は M43 Alliance への加盟も明言 し、25mm F1.7 Air で初のMFTレンズも投入しました。Sony E / Nikon Z / Fuji X の3マウントに加え、L / MFT を正規ルートで開拓する構えです。 2. 同社初の移軸レンズという技術的チャレンジ T/S 35mm F2.8 は、創業者の長年の構想が形になった製品。商業的には「最初の現代移軸レンズ」というポジションは取れませんでしたが、独自の回転機構・大型ノブ・中判イメージサークル・テレコン併用1:1マクロといった仕様には、技術蓄積を見せようとする意思を感じます。 3. APS-CでのF1.2ライン拡張 18mm F1.2 / 40mm F1.2 という、APS-Cでは珍しいF1.2の広角・準標準を一気に投入。換算約27mm/約60mmという「使ったことのない焦点距離」をあえて狙う設計思想を担当者が説明していたのも印象的でした。 4. パンケーキ最薄競争への本格参戦 26mm F2.8(フルフレーム最薄AF、フォーカス+絞り両リング)、28mm F4.5(ミラーレス用AF最薄)と、薄さ・小ささを差別化軸に据えた製品が並びます。 5. レンズメーカーから周辺機器メーカーへ DC550 Pro II に代表されるように、撮影モニター周辺も独自開発を進めています。「レンズメーカー」というラベルだけでは収まらない動きです。まとめ:VILTROXの動きをレンタルで追いかける
今回のChina P&E 2026レポートでは、VILTROXの「広く」「深く」「速く」の三方向同時拡張がはっきり見えました。フルフレーム最上位の更新、APS-Cの新焦点距離開拓、L/MFTマウントへの本格参戦、そして同社初の移軸レンズ──いずれもニュース価値の高い動きです。 ただし、こうした新製品は スペック表だけでは現場相性を判断しにくいタイプの機材ばかり。AF動作、操作ノブの感触、画質、対応マウントとの相互運用は、実機で確かめる以外に方法がありません。発売・流通後にレンタルで一度試してから判断する、というのが現実的なアプローチです。 詳しいインタビュー内容は、ぜひ動画でご確認ください。用途別に見るなら
スナップ・日常携行を最小構成で
26mm F2.8 Pancake、28mm F4.5、25mm F1.7 Air など、最薄・小型寄りのレンズが該当します。既存のEマウント・Lマウントレンズで類似サイズを先に試してみるのがおすすめです。 → Eマウント系: → Lマウント系:APS-Cでの中望遠・大口径
EVO 75mm F1.8、EVO 90mm F2.2、AF 40mm F1.2 Pro APS-C などが該当します。 → レンズ全般カテゴリで類似スペックを探す:Nikon Z マウントでの選択肢を確認したい人
VILTROX は AF 28mm F4.5 など Zマウント版を継続展開しています。 → Zマウント系:商業撮影・建築・特殊画角
T/S 35mm F2.8(テレコン併用で70mm 1:1マクロ)が該当。 → 特殊画角・マクロ系:最新入荷・モニター系をチェックしたい場合
DC550 Pro II など新着情報を追いかけたい方は: → 新着機材一覧関連レンタル機材を探す
📦 今回ご紹介した VILTROX 新製品10種は、本記事公開時点(2026年5月)で発表直後の機材です。 パンダスタジオレンタルでの取り扱いについては、商品ページ公開後に本記事へ個別リンクを追加する予定です。既存のVILTROX関連製品・近い焦点距離のレンズで先に試したい方は、以下のリンクからご確認ください。 → VILTROX関連製品をパンダスタジオレンタルで検索: VILTROX 関連製品を検索 → レンズ全般: → Sony Eマウント系: → Lマウント系: → Zマウント系: → 新着機材一覧: 新着機材一覧 🎓 映像制作・撮影技術のセミナーも定期開催中。 → セミナー情報はこちら※本記事の製品名・スペック・対応マウントは、China P&E 2026 会場でのVILTROXブース担当者の説明、およびレンズ刻印・展示物に基づく情報です。発売時期・正式型番・対応マウントの最終仕様は、VILTROX公式の発表をご確認ください。
