先月の夜、山梨県都留市の田んぼで、DJI Osmo Pocket 4Pを2つのモードで撮り比べました。通常のタイムラプスと、低照度モード。
結論から書くと、通常タイムラプスは18時39分に真っ暗になって終わり、その1分後に回し始めた低照度モードには、肉眼では見えなかった星が十数個写っていました。
動画は2分ちょっとです。前半80秒は通常タイムラプス(3倍速)で、夕焼けから薄明、そして画面がどんどん暗くなって橋の街灯だけになるところまで。
1分20秒からが低照度モードで、最初の8秒だけ実時間、そのあと11分半の映像を20倍速にしてあります。見てほしいのは1分20秒の切り替わり。直前まで真っ暗だった同じ空が、雲の流れまで見える青い空になります。
撮ったのはDJI Osmo Pocket 4P。三脚は使わず、田んぼのブロック塀の上に置いただけです。
→ 今回使ったカメラ:
通常タイムラプスは18時22分でISOが頭打ちになり、18時39分に真っ暗になった
まず通常タイムラプスから。17時32分と18時09分に30分ずつ、間隔0.5秒で2本回しました(30分×0.5秒=3600コマ=2分の動画)。
今回は、動画ファイルに埋め込まれているDJIのフレームごとのメタデータを読んで、ISOとシャッター速度の推移を取り出しました。設定画面には出てこない、カメラが実際に何をしていたかの記録です。
| 時刻 | モード | ISO | シャッター | 画面の様子 |
|---|---|---|---|---|
| 17:32 | 通常タイムラプス | 550 | 1/2400 | 夕焼け。明るい |
| 18:02 | 通常タイムラプス | 400 | 1/80 | 日没後。まだ余裕 |
| 18:09 | 通常タイムラプス | 640 | 1/30 | 薄明。ここからシャッターは1/30固定 |
| 18:22 | 通常タイムラプス | 12800(上限) | 1/30 | ISOが頭打ち。以降はどんどん暗くなる |
| 18:39 | 通常タイムラプス | 12800 | 1/30 | 橋の街灯だけ。空は真っ暗 |
| 18:40 | 低照度モード | 51200 | 1/31 | 青い空、雲、星 |
| 18:51 | 低照度モード | 51200 | 1/31 | 薄雲が増えても空は見えている |
通常タイムラプスは、日没後しばらくはシャッターを1/30まで伸ばして粘り、そこから先はISOを上げていって、18時22分にISO12800で頭打ち。それ以降は打つ手がなくなって、コマを追うごとに暗くなっていきます。都留の市民薄明の終わりがちょうど18時24分ごろなので、「薄明が終わったら通常タイムラプスは終わり」と覚えておくと分かりやすいです。
低照度モードはISO51200・1/31秒固定。雲の流れと星が写った
通常タイムラプスが止まった37秒後に、モードを低照度に切り替えて録画を始めました。低照度モードは「タイムラプス」ではなく通常の動画モードです(ここは後で引っかかりました。後述)。11分37秒回しっぱなし。
メタデータを見ると、低照度モードは全編ISO51200・シャッター1/31秒・F2.0で固定でした。通常モードの上限12800より2段(4倍)明るい。この2段が、「真っ暗」と「空が見える」の差になっています。
この日は雨上がりで、空全体に薄い雲のベールがかかっていました。肉眼で見えた星は数個。隣に置いたSONY α6400(16mm F1.8・1秒・ISO400)のRAWを現像時に4段持ち上げて、やっと雲の隙間から星が透ける程度です。
ところがOsmo Pocket 4Pの低照度モードの1フレームを解析すると、雲のない右上の領域に点光源が13個。1秒ぶん(30フレーム)を加算平均してノイズを減らすと25〜40個まで増えました。しかもその点は、60秒ごとに約10ピクセルずつ右にずれていきます。これは地球の自転で星が動く速さとぴったり一致するので、ノイズではなく本物の星です。いちばん明るい点は位置からしてうしかい座のアークトゥルスらしいのですが、同定は星に詳しい方に別途お願いしているので、ここでは「らしい」に留めておきます。
→ 「肉眼で見えない星が写る」を自分の目で確かめたい人は、まず1台借りて、晴れた夜にベランダから空に向けてみてください:
引っかかったこと3つ
1つ目、低照度モードにはタイムラプスがない。低照度は動画モードなので、そのまま回すと11分37秒の等速動画になります。「星のタイムラプス」にしたければ、編集で倍速にする必要があります。今回はDaVinci Resolveで20倍速にして34秒にしました。逆に言うと、動画として撮っているので「この瞬間だけ実時間で見せる」ができます。上の動画の1分20秒からの8秒がそれです。
2つ目、容量。タイムラプスは30分で1.3GB(4K・0.5秒間隔で約2.7GB/時間)ですが、低照度モードは動画なので11分37秒で2.8GB、1時間あたり約14GB。内蔵107GBなら7時間ぶんですが、一晩回すならmicroSDか、こまめに止める前提で。
3つ目、ホワイトバランスが動く。オートWBのままだったので、メタデータ上の色温度が11分の間に8300Kから5200Kまで動いていました。20倍速にすると、空の青が少しずつ暖色に寄っていくのが分かります。橋の街灯(暖色)に引っ張られたのだと思います。夜空を倍速にするならWBは固定しておくべきでした。次はそうします。
この撮り方が向いていそうな人・現場
- 観光協会や自治体で「星空」を売りにしたいが、一眼と赤道儀を持ち出せるスタッフがいない担当者。ポケットサイズのカメラを塀の上に置くだけで、星と雲の流れが撮れます。まず「うちの空でどれくらい写るか」を確かめる用途に
- イベントや花火の後、夜の会場の雰囲気をSNS用に残したい広報担当者。通常モードで真っ暗になった経験がある人ほど、ISO51200の差が分かります
- 夜の工事現場や店舗の閉店後など、照明を足せない場所の記録係。街灯程度の明かりがあれば、動画として普通に見られる明るさで撮れます
夜のタイムラプス、どのモードで撮る? 明るさ別の早見表
今回の実測から、明るさごとに「どのモードで撮って、どう仕上げるか」をまとめました。
| 時間帯・明るさ | 使うモード | 設定の目安 | 仕上げ |
|---|---|---|---|
| 夕方〜日没直後 | 通常タイムラプス | 間隔0.5〜1秒。オートでOK | そのまま使える |
| 薄明(日没後〜約30分) | 通常タイムラプス | 間隔0.5秒。ISOが上がり切る前に終わるように時間を設定 | 後半が暗ければ編集でカット |
| 薄明が終わったあと(街灯あり) | 低照度モード(動画) | WBは固定。フレームレートは30p | 編集で10〜30倍速にする |
| 星空(街灯なし・月なし) | 低照度モード(動画)で試す | 今回は薄雲越しで十数個。快晴なら増えるはず(未検証) | 1秒ぶん加算平均するとノイズが減る |
低照度モードで夜空を撮る前のチェックリスト
| 確認項目 | 目安 |
|---|---|
| モード | 低照度モードは動画。タイムラプスは通常モードにしかない |
| WB | 固定(オートは街灯に引っ張られて色が動く) |
| 容量 | 約14GB/時間。1時間超えならmicroSDを |
| 電源 | 動画モードは消費が大きい。長回しはUSB給電かバッテリーグリップ |
| 置き場所 | 塀・手すりの上で十分。振動と、街灯が画面に入るかどうかだけ確認 |
| 仕上げ | 編集ソフトで倍速に。実時間で見せたい数秒を残せるのが動画モードの利点 |
→ 長回しの給電まで込みで借りるなら、バッテリーグリップ付きのセットもあります:
レンタルで試す価値があるところ
「ISO51200」はスペック表に書いてありますが、その数字で自分の街の夜空が撮れるかどうかは、置いてみないと分かりません。街灯の位置、薄雲、湿度で結果が変わります。今回は雨上がりの薄雲越しで十数個。快晴の夜にどこまで増えるかは、正直まだ試せていません。週末に1回借りて、夕方から1時間、通常タイムラプスと低照度モードを続けて回してみてください。上の比較画像と同じ「切り替わり」が自分の場所で見られます。
タイムラプスの撮影間隔の決め方は7時間半回して虹が撮れた記事に、ジンバルを動かすモーションラプスを4Kで撮る手順は4Kモーションラプスの記事に書きました。Osmo Pocket 4P全体の使い方10連発はハブ記事「Osmo Pocket 4Pがインハウス動画制作にめっちゃ使える説」にまとめています。
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→ 今回使ったスタンダードコンボ:
→ 比較に使った一眼(星空の静止画はこちらが本命):
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「夜の空、一度自分のカメラで撮ってみたかった」という人は、買う前にまず1台借りて、日没の1時間前から回してみてください。
