「カット編集くらい自分でやればいい」——そう言われても、この作業を始めた瞬間にふっと眠くなって、イン点・アウト点を打ち間違える。そういう人、実は少なくないと思います。少なくとも、僕は苦手なんですよ。
今回のパンダタイムスは、その「眠くなるカット編集」をAIに手伝ってもらう実例です。DaVinci Resolve(ダヴィンチ・リゾルブ)のタイムラインに、AIがカット編集を提案してくる様子を、パンダスタジオ中村が実際の画面で見せています。全自動ではなく「苦手なところだけ任せる」という距離感が、この動画のポイントです。
この動画の見どころ
- 撮った字幕付き動画をAIに渡すと、AIが「尺が長すぎる」「余談が多い」「クロージングを2回している」と指摘してくる場面
- 指摘を機械的に「半分にしろ」で済ませず、内容を見て提案してくれるところ
- DaVinci Resolve側を「複合クリップ」に整えてからAIに渡す、という下準備の理由
- 文字起こしの精度とカット精度をかけ算した「0.8」の話。なぜ最後まで自動で書き出させないのか
撮った動画をAIに渡すと、まず「尺が長すぎる」と怒られる
動画のはじまりは、AIが作った「編集方針」の画面です。今回説明していた商品は Blackmagic Videohub(ビデオハブ 10×10)。この商品をどう説明していくか、というスライドの構成もAIと相談しながら考えたそうです。
その方針に沿って中村が自分で撮影し、字幕付きの動画をAIに渡します。動画内の言い方を借りれば「これだけ」。すると、AIが結構辛辣なことを言ってくる、と。
最大の論点は「尺が長すぎる」。10分・15分に抑えろと言われているのに20分・30分喋ってしまう。動画では「10分テンプレの2.5倍も喋ってんぞ」というAIの指摘が紹介されます。さらに「余談が多発している」「1回クロージングしてから、さらに続けて2回目のクロージングをしている」といった指摘も。
ここで面白いのが、AIが杓子定規に「全部ダメ、半分にしろ」とは言わないところです。意外と内容をちゃんと見てくれる、と中村は話します。二重クロージングになっている部分については「速攻で1回切って別の動画にしましょう」と提案し、尺については「10分に収めるか、内容を優先するか」を質問してきた。今回は「内容優先で」と返したそうです。
編集の実行はCodex、レビューはClaudeという分担
編集作業の実行を担当しているのは Codex(コーディング用AI)。動画編集の実行はCodexがうまく動いていたのでメインにしている、と中村は説明します。一方、編集のレビュー側はClaudeが担当。役割を分けて運用しているのが実際のワークフローです。
Codexに対して「引き続き別の動画編集をお願いします」と指示を投げ、先ほどAIが作った編集方針のファイルを渡す。すると思考を始め、Pythonスクリプトを書いてDaVinci Resolveに投げていく、という流れになります。動画では、本編用と別動画用の新規タイムラインを、Codexが4分ほどで作り上げる様子が映っています。
渡す前に「複合クリップ」にしておく理由
ここが地味ですが実務的なポイントです。DaVinci Resolve側は、あらかじめ全選択して「複合クリップ」にしてから渡している、と中村は言います。
理由は、合成する前の状態——上下2つのクリップに分かれているようなタイムラインをそのままAIに渡すと、過去の例では素材を「はちゃめちゃ」にされてしまうことがあったから。AI自身が「はちゃめちゃにした」と気づいて直そうとしてくれる場合もあるものの、それは無駄。だったら最初から、カットだけすればいい状態に整えておく方がいい、という判断です。
やり方自体は「全部選択して複合クリップにするだけ」。この状態にしてからDaVinci Resolveを立ち上げ、「新規タイムラインで編集してね」と指示を投げているそうです。
この使い方が向いていそうな人・現場
- DaVinci Resolveで自分でカット編集しているが、その作業がとにかく苦手・退屈という人
- 企業のYouTube・レビュー動画など、定期的に本数を出す必要がある現場
- 編集方針づくりから実作業まで、AIにどこまで任せられるか試してみたい人
なぜ最後まで自動で書き出させないのか——「0.9×0.9=0.8」の話
やろうと思えば、AIがやった部分を全部そのまま指定フォルダに書き出すこともできる。「やって」と言えばやってくれる、と中村は言います。それでも、そうしていません。
理由は精度です。AIは音を直接聞いているわけではなく、DaVinci ResolveのAIが文字起こししたタイムコードに沿って編集方針を立てている。つまり、つなぎ目やカット位置が「本当に喋り出しと合っているか」は、文字起こし側のタイムコード精度に左右されます。
動画内での説明はシンプルです。文字起こしの精度が0.9、編集作業の精度が0.9なら、かけ算して0.8。もし0.8×0.8なら0.64になる。完璧でないもの同士を組み合わせているので、100%にはならず、どこかで直しが発生する——という考え方です。
だから、書き出しまで全部やってもらってから直すより、タイムラインの段階で一度止めて、人間がつなぎ目を確認する方が結局早い。余計な手間がかからない。中村はそう結論づけています。
「自分で切ればいい」への答え
「これくらい自分でカットすればいいのでは」という意見について、中村は「もちろんその通り」と認めます。カット作業が苦にならない人なら、どこを切るかの判断もAIに任せず自分でやった方が、編集者の感性を活かした良いものができる、と。
そのうえで、自分はこの作業が嫌いだと率直に話します。自分が一度喋ったものをもう一度聞いて「ここ切るか」とやっていくのが、すごく苦手で眠くなる。イン点・アウト点を打ち間違えて、逆にはちゃめちゃな編集になってしまうこともある。だからこそ、苦手なところをAIに手伝ってもらう——というスタンスです。
DaVinci Resolveは共同プロジェクトとして扱えるので、後から別のPCで見たり、このPCにリモートで入って切り直したりと、編集を引き継ぐこともできる。そういう運用の柔軟さも動画内で触れられています。
この作業は、レンタル機材+DaVinci Resolveで再現できる
ここまで紹介した「AIにカット編集を手伝ってもらう」という流れは、特別なソフトを買い足さなくても、DaVinci Resolveがあれば試せる環境です。そして DaVinci Resolve は、動画内で説明していた Blackmagic Videohub(ビデオハブ 10×10)と同じ Blackmagic Design の製品です。
編集ソフト(DaVinci Resolve)も、収録・スイッチング側のハード(Videohubなどのルーティング機器)も、Blackmagic系でひととおり揃えられます。「同じ編集・スイッチング環境を、まず借りて試してから考える」という組み方ができるジャンルです。
レンタルで試してみる価値があるのはこんな人
- Blackmagic系の収録・スイッチング環境を、導入前に一度組んで試してみたい人
- 複数系統の映像をどう回すか、Videohubのようなルーティング機器で確かめたい現場
- 撮影から編集まで一貫した環境を、買う前に手元で触っておきたい人
なぜ「借りて試す」のが向いているのか
スイッチングやルーティングの機材は、カタログのスペックだけでは、自分の現場での取り回しが読みきれない部分があります。何系統つなぐのか。どこに置くと配線が楽か。既存のカメラやスイッチャーと相性よく回るのか——こうしたことは、実際に触ってみないと分かりにくいものです。
編集ソフト側も同じで、AIにどこまで任せるか、どの段階で人が確認するかは、自分の素材と作業スタイルで一度回してみないと感覚がつかめません。買い切る前に、レンタルで一度組んで試してみる価値があるタイプの機材だと言えます。
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動画で登場した DaVinci Resolve・Blackmagic Videohub は、いずれも Blackmagic Design の製品です。同じ系統の収録・スイッチング環境をレンタルで組んでみたい方は、下記からどうぞ。
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