ジンバルカメラの映像って、基本的に「全部にピントが合っている」画ですよね?
手ブレはないけど、良くも悪くもスマホっぽい。背景のボケたインタビュー画が欲しければ、一眼とカメラマンを用意するしかない——と思っていました。
ところがOsmo Pocket 4Pの望遠レンズはF1.8。「インタビュー撮影にも十分使えるくらいボケる」という話を耳にしたので、本当かどうか、事務所でカメラを三脚に置いて、自分を被写体に検証してみました。まずはこちらの比較画像をどうぞ。
3倍にした瞬間、背景の絵やパンダのぬいぐるみがちゃんと溶けます
動画は4分半のワンカット検証です。見どころは、3倍ズームに切り替えた瞬間に画の質感が変わるところ(0:46あたり)と、手のひらをかざすだけでActiveTrackが起動して、その後は動いてもカメラが勝手に追いかけてくるところ(1:14あたり)。あとは終盤、調子に乗って寄りすぎて「画面のほとんどが顔」になる失敗もそのまま入っています。
→ 今回使ったカメラ:
3倍ズームの正体は「もう1本の明るい望遠レンズ」
Osmo Pocket 4Pはレンズを2本積んでいます。ズームレバーを3倍まで上げると、デジタル処理ではなく物理的にもう1本のレンズへ切り替わる。ここが今回の主役です。
| 広角側(1倍〜) | 望遠側(3倍〜) | |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 20mm相当 | 60mm相当 |
| 開放F値 | F2.0 | F1.8 |
| センサー | 1インチ | 1/1.28インチ |
| 画の性格 | 説明カット・内覧・自撮り歩き | 人物・インタビュー・ボケ |
(レンズの数値はDJI公式のOsmo Pocket 4P製品ページより)
ボケの量は「焦点距離が長い×F値が明るい×背景が遠い」で決まります。20mm F2.0はスペックだけ見ると明るいのですが、超広角なのでボケはほぼ出ません。60mm F1.8になると、ポートレートの定番画角に開放F1.8。ジンバルカメラの数字とは思えない組み合わせで、これは3倍ズームを「遠くを写す機能」ではなく「人物用レンズに掛け替える機能」と捉えたほうが実態に合っています。
ちなみにこの3倍ズーム、セミナー収録で「客席後方からでもバストショットが撮れる」という使い方は別記事で検証済みです。今回は同じレンズを「ボケ」のために使います。
実測:1倍と3倍で、背景はどれだけ変わるか
検証環境はわざと選びました。事務所の、絵やぬいぐるみや机が背景に散らかって見える場所。ボケなければ「ごちゃごちゃした事務所感」が全部写る、インタビュー撮影で一番ありがちな条件です。
体感としては、一眼に50mm F1.8の単焦点を付けたときの「あの感じ」にかなり近い。動画内でも「めちゃめちゃぼけます」と言っていますが、盛っていません。背景のごちゃつきが情報からテクスチャに変わるので、同じ事務所でも「ちゃんと照明と美術を考えて撮ったっぽい画」に見えてきます。
手のひらをかざすだけ。ActiveTrackでワンオペインタビューが成立する
ボケだけなら「明るい望遠レンズが載った」で話が終わるのですが、インタビュー用途で効いてくるのがActiveTrackとの組み合わせです。
手順は、3倍にズームして、カメラに向かって手のひらをかざすだけ。緑の枠が出たら追尾が始まっていて、椅子の上で多少動いても、立ち位置が少しずれても、ジンバルが首を振って追いかけてきます。望遠は画角が狭いぶん「フレームアウトしやすい」のが弱点ですが、それを追尾側が吸収してくれる。望遠のボケとActiveTrackはセットで使って初めてインタビュー機材になる、というのが今回の発見でした。
つまり、三脚にOsmo Pocket 4Pを置いて手のひらをかざせば、カメラマンなしで「背景がボケていて、被写体を追い続けるインタビューカメラ」が1台完成します。話し手が自分でも成立するのは、自撮りモードの画面反転と追尾のおかげです。
やってみて引っかかったところ
1つ目、離れると本体の画面がまったく見えない。望遠でいい距離を取ると、当然カメラからも離れます。Osmo Pocketの2インチ画面では、ボケているのか、ピントが自分に来ているのか、現場では確認できませんでした。私の視力の問題もありますが、ワンオペで追い込むなら、スマホをモニター代わりにつなぐか、撮って再生して確認するかのどちらかです。実際にはカメラマンがいる撮影なら「撮れているかの確認は撮る側がやる」ので、問題にならない話でもあります。
2つ目、寄りすぎると顔しか写らない。60mmは思っているより狭い画角です。ボケを欲張って近づくと、動画内の言葉を借りれば「顔でか」状態になって、インタビューの画としては使えません。ボケは「カメラに寄る」ではなく「背景から離れる」で稼ぐのが正解でした。バストショットの距離を保ったまま、背中側の壁から1〜2歩でも離れる。これだけでボケの量が目に見えて変わります。
3つ目、音は内蔵マイクのままでした。今回の検証は内蔵マイクで録っていて、静かな室内・この距離なら聞ける音ではあります。ただ本番のインタビューなら、送信機を襟元に付けて受信機なしで直結できるDJI Micシリーズを組み合わせる運用が本命だと動画内でも話しています。マイクの検証はマイクの回として、別記事で詰める予定です。
望遠ボケでインタビューを撮る前のチェックリスト
| 確認項目 | 目安 |
|---|---|
| ズーム | 3倍にして望遠60mm F1.8へ切り替える(1倍のままではボケない) |
| 被写体と背景の距離 | 壁・棚から1〜2歩以上離す。ボケ量はここで決まる |
| カメラと被写体の距離 | バストショットが収まる距離。寄りすぎると「顔でか」になる |
| 追尾 | 手のひらをかざしてActiveTrack開始(緑枠を確認)。動く相手でもフレームアウトしにくい |
| ピント確認 | 離れると本体画面では見えない。スマホ接続か、撮って再生で確認 |
| 音声 | 検証は内蔵マイクで可。本番はDJI Micシリーズの直結運用を推奨 |
→ 音までちゃんと録るなら:
この機材が向いていそうな人・現場
- 月1本の社員インタビューや社長メッセージを任されている広報担当。カメラマン外注の予算はなく、スマホの「会議室感まる出し」の画をどうにかしたい人。三脚に置いて手のひらをかざせば、一人で撮れて背景が溶けます
- 採用サイトやオウンドメディア用に、社員の「語り」を量産したいチーム。設営が数分なので、相手の業務の隙間で撮り切れます
- 展示会やイベントで、ブースの雑然とした背景をボケでごまかしつつコメントを撮りたい人。ごちゃごちゃした背景ほど効きます
レンタルで試す価値があるところ
ボケの量だけは、スペック表でもこの記事のスチルでも、最後は判断できません。効き方が「あなたの会議室の奥行き」と「背景に何があるか」で変わるからです。借りて、いつも撮っている場所で3倍にして、壁から2歩離れて1本撮ってみる。それで「うちのインタビューはこれでいける」かどうか、その日のうちに答えが出ます。
Osmo Pocket 4Pの使いどころ全体はハブ記事「Osmo Pocket 4Pがインハウス動画制作にめっちゃ使える説」に10通りまとめています。この記事はそのうち「説明・インタビュー動画」の深掘りでした。
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📦 一眼とカメラマンを待つより、ポケットの望遠で今週撮る。
「インタビューの画がスマホっぽくて悩んでいる」なら、まず1台借りて、いつもの会議室で3倍にしてみてください。
