DWARF mini を作っている DWARFLAB は、最初から望遠鏡の会社だったわけではありません。原点は、スマホのカメラに貼り付ける小さな丸い顕微鏡。それが望遠鏡になった理由は、クラウドファンディングの支援者が送ってきた1枚の写真でした。パンダスタジオ浜町で開いた DWARF mini のセミナー前半は、DWARFLAB の日本マーケティング担当の方が、この経緯と「なぜ1台で全部をやめたのか」を話してくれた回です。
後半に出てきた「DWARF 3 は生産終了、2026年12月に後継機を発表予定」という話も含めて、これから機種を選ぶ人向けにまとめておきます。
見どころは終盤の質疑。初代 DWARF から DWARF 3、DWARF mini、上位機までで撮った「月」を並べた写真と、防塵防滴の等級が IP56 から IP55 に変わった理由をその場で確認しているところです。
セミナーで実機を触ったDWARF miniは、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。買う前に、自分の家のベランダで1回撮ってみる、ができます。
→ まず1泊、自分の空で:
顕微鏡 → カメラを独立させる → 「もっと遠くは見えないか」
DWARFLAB の創業者は工学や生物工学の博士で、最初の製品はスマホの背面に貼る顕微鏡でした。小さいものを撮るには光が足りないので、フラッシュを点けたまま撮れる専用アプリを作った。ところがスマホの機種ごとにカメラの位置やレンズの数が変わり、貼り付け式では追いつかなくなった。そこで「スマホのカメラに合わせ続けるのをやめて、カメラそのものを独立させる」と考えてできたのが、レンズ・センサー・LEDを名刺の半分ほどにまとめたデジタル顕微鏡です。スマホは表示と操作だけ、という今の DWARF と同じ構造が、ここで生まれています。
その製品の支援者から「小さなものが見えるなら、もっと遠くは見えないか」という声が届き、小型のデジタル望遠鏡=初代 DWARF を作った。天体用に作ったものではなかったのに、ある支援者が空に向けて木星と4つの衛星を撮って送ってきた。「ユーザーが想像していなかった使い方を見つけてくれた」この1枚が、天体撮影に進むきっかけだったそうです。
DWARF という名前と、2022年のブランド独立
望遠と広角のデュアルカメラにした DWARF 2 のあと、2022年に望遠鏡事業を独立させて DWARFLAB というブランドを立ち上げた。DWARF は小人の意味で、「本体は小さくても可能性は限りなく大きい」を込めている、とのこと。DWARF 3 は日本でも2024年7〜12月のクラウドファンディングで1,700人・支援総額1億2,700万円超(講演内の数字)を集め、日本市場が広がる転機になったそうです。
「1台で全部」をやめた。DWARF mini は DWARF 3 を小さくしたものではない
ユーザーの声を聞くうちに気づいたのが、1台で全員のニーズに応えるのは難しいということ。センサーを大きくすればレンズも本体も変わる。露光時間を延ばせば別の設計が要る。そこで製品を分けました。
| 機種 | 位置づけ(講演内の説明) | 講演内の数字 |
|---|---|---|
| DWARF 3 | 多くの技術を小さな本体にまとめた機種。生産は終了、在庫がある間は販売継続、サポートと交換用在庫は確保 | 重さ 1.35kg |
| DWARF mini | 「もっと小さく、もっと手軽に始めたい」向け。撮影までの準備を見直し、多くの操作を機器に任せた。センサー温度に合わせたダークフレームの自動取得 | 約840g【要確認】 |
| 上位機(最近発表) | より本格的な天体撮影向け。自動導入から追尾・撮影・画像処理まで1台で | 口径90mm・1枚最大300秒露光 |
| DWARF 3 の後継機 | 2026年12月に発表予定。DWARF 3 より小さく持ち運びやすい方向 | 詳細未公開 |
講演で強調していたのは、「mini・上位機は性能の高い低いで分けたものではなく、使い方に合わせて作り分けたもの」ということ。旅行やキャンプに持っていって晴れた夜に気軽に撮るなら mini、腰を据えて長時間露光で追い込むなら上位機、という整理です。
この話が役に立ちそうな人
- DWARF 3 を今買うか迷っている人(生産終了・12月に後継機発表予定、という前提で判断したい)
- 宿やキャンプ場のアクティビティ用に「とにかく準備が少ない機種」を探している運営者
- DWARF mini を動画で紹介する予定で、メーカーが mini に込めた狙いを正確に伝えたいクリエイター
質疑で確認できた2つのこと:IP55 と Wi-Fi の技適
正直に書くと、ここが一番「現場で聞かないと分からなかった」ところです。公式サイトの防塵防滴の表記が IP56 から IP55 に変わっていた件を講演後に直接聞いたところ、「IP56 の申請はまだ続けている。将来 IP56 になる可能性はあるが、現時点では IP55」という回答でした。もうひとつ、Wi-Fi の技適は取得済み(講演の週に取れた、とのこと)。国内で安心して流通できる状態になった、とその場で初めて日本向けに説明された内容です。
セミナーのあとは、浜町のテラスに出て日没直後の空で実機を使うセッションに移りました。その日に撮れた IC1396(象の鼻星雲)の話は、当日レポートの記事に書いています。
レンタルで試す価値があるところ
「準備が少ない」「ダークフレームは自動」というメーカーの説明は、自分の家の空で1回やってみると実感に変わります。都内のベランダでどこまで写るか、アプリの操作で迷う場所はどこか、は1泊借りれば分かります。生産終了が決まっている DWARF 3 も、レンタルなら後継機が出るまでのつなぎとして「上位機の感覚」を試す使い方ができます。
→ 一段上の機種も試すなら(生産終了・後継機は12月発表予定):
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📦 「どの機種か」は、メーカーの狙いを知ってから、自分の空で決める。
後継機の発表は12月の予定。それまでにレンタルで mini と 3 の違いを体で覚えておくと、発表を見る目が変わります。
