スマート望遠鏡を調べ始めると、だいたい比較表の沼にはまります。広角もある、タイムラプスも撮れる、昼は野鳥も撮れる、画素数はこっちが上。見れば見るほど、高いほうが正解に見えてくる。
そこに「ちょっと、ブレてきてるな、この業界」と言い切ったのが、星空写真家・タイムラプスクリエイターの成澤広幸さんの動画です。どれがおすすめかと聞かれたら、いまはDWARF miniを勧めている。その理由は、性能の高さではなく「多機能じゃないこと」と「値段」。これが、ベランダで星を撮りたい人にはかなり刺さる話だったので紹介します。
※この動画はパンダスタジオの動画ではありません。「Hiroyuki Narisawa Timelapse Film」(星空写真家・成澤広幸さん)の公開動画を、参考になった動画として紹介しています。
見どころは5分すぎからの「DWARF miniをおすすめする理由」。広角レンズをベランダで使うとどうなるか、という話は、実際にベランダや窓際で撮ろうとしたことがある人ほど「それな」となるはずです。動画は約11分と短いので、通しで見ても負担になりません。
動画の主役DWARF miniは、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。「本当に自宅の空で写るのか」を、買う前に一晩で確かめられます。
→ DWARF mini:
スマート望遠鏡の一番の価値は「遠出しなくていい」こと
動画の前半は、スマート望遠鏡そのものの説明です。レンズとセンサーが入った本体を、スマートフォンから操作する。撮影も、データの確認も、画像処理もスマホで完結する。内部ストレージから天体写真用のRAWデータ(FITS)をパソコンに取り込んで、本格的に処理することもできる。
ただ、成澤さんが「一番の魅力」として挙げたのは機能ではなく、どこかに行って撮影しなくてもいいことでした。
- 星の光は弱いので、街明かりがあるとかき消される
- 埼玉県内からだと普通は星の撮影はできず、車で2〜3時間走らせる必要がある
- 街灯が1本もない場所、月が出ていない日と時間帯を選ぶ必要がある
「労力がめっちゃかかるんですよ、星空の撮影って」。そこに革命を起こしたのがスマート望遠鏡で、ベランダに置いておけば撮れる。この前提が、あとの「どれを選ぶか」の話につながっていきます。
誰に勧めているか
動画で名前が挙がっていたのは、「天体写真を撮ってみたいけど、お金をあまりかけたくない人」と、「昼間の写真は撮っているけど、星空は撮ったことがない人」。星を撮りに遠征するほどの情熱はまだない、でも手っ取り早く撮ってみたい。そういう人に「万人受けする天体望遠鏡」だと話しています。
ベランダ撮影なら広角レンズはほぼ使わない、という指摘
この動画で一番「なるほど」と思ったのがここです。DWARF miniには広角と望遠の2つのレンズが付いていますが、ベランダから撮るなら、広角はたぶん使わない、と。
- 画角が広いと、隣の家や電線が写り込む。そのままではSNSにも上げにくい
- 周りの街灯の光の影響も、広い画角ほど受けやすい
- 広角レンズを活かすなら、やはり街明かりから離れた場所まで行く必要がある
つまり「広角の性能が高い機種」は、遠征する人にとっての価値であって、ベランダ派にはあまり関係がない。望遠側も、画素数がプリント向きに高いほど良いのは確かだけれど、L判やSNSならそこまで要らないのでは、という話でした。タイムラプス、動画、昼間の野鳥撮影などは「おまけの機能だと思っていただいた方がいい」とも。
「多機能化すること自体は素晴らしい。でも、それ本当に使いますか」。動画内で何度か繰り返されるこの問いが、この記事の芯です。
値段の話
動画内では、DWARF miniは8万円ほどで、「決して安いものではないけれど、業界全体から見ると安い部類」「10万円を切る値段で、天体写真に十分な精度がある」と話しています(いずれも収録時点の発言です)。旅行などで暗い空に行ける機会があれば、そこからさらに遊べる余地もある。ベランダ派の入門機としては、これで十分だろう、というのが成澤さんの結論でした。
持ち帰りチェック:その機能、あなたの撮影場所で使いますか
動画の話を、借りる前・買う前の判断表にしてみました。自分の撮影場所に近い列を見てください。
| 機能・スペック | ベランダ・自宅周りで撮る人 | 暗い場所へ遠征する人 |
|---|---|---|
| 望遠側で星雲・銀河を撮る | ◎ これがメイン | ◎ |
| 広角レンズの画質 | △ 家・電線・街灯が入りやすく出番が少ない | ○ 天の川などで出番あり |
| 高画素(プリント向き) | △ L判・SNSなら必須ではない | ○ 大きく伸ばしたいなら |
| タイムラプス・動画・野鳥 | △ おまけと考える | △ おまけと考える |
| 本体の小ささ・軽さ | ○ 出し入れが楽 | ◎ 荷物が減る |
| 価格 | ◎ 安いほど始めやすい | ○ 機能とのバランスで |
左の列に◎と△が多い人は、まず多機能な上位機ではなく、DWARF miniで十分かどうかを試す価値があります。
→ ベランダ派の入門機として試すなら:
うちで試したこと:ベランダ・窓際の「条件」は場所ごとに違う
成澤さんの話に乗っかって、パンダスタジオでDWARF miniを使ったときのことも書いておきます。台東区のマンションから撮ったときは、撮影場所に軒(天井)があって、高度の高い天体が視界に入りませんでした。撮れたのはぎょしゃ座の散開星団 NGC 1664。狙っていたNGC 869は軒に隠れて入りませんでした。
日本橋浜町では窓越しに撮ろうとして、映り込みで断念し、結局外に出て撮りました。浜町は西の空が開けていないので、西側の天体はそもそも撮れません。秋でも蚊が多く、虫除けも欲しかった。
どれも「ベランダで撮れる」の中身が、場所ごとにかなり違うという話です。軒、窓、ビルの向き、街灯の位置。これはスペック表では分からず、自分の家で一晩回してみないと分かりません。成澤さんが言う「遠出しなくていい」の恩恵を受けられるかどうかも、結局はそこで決まります。
この機材が向いていそうな人・現場
- 比較サイトを3つ見て、上位機の「広角・高画素・タイムラプス」に気持ちが傾きつつも、実際はマンションのベランダからしか撮らないと分かっている人
- 普段は昼間にミラーレスで風景や家族を撮っていて、星は撮ったことがないが、遠征してまで撮る気はまだない人
- 子どもに「星雲や銀河を撮ってみたい」と言われたが、何万円もする機材をいきなり買うのはためらっている親御さん
レンタルで試す価値があるところ
成澤さんの動画で分かるのは、「ベランダ派ならDWARF miniで十分」という考え方までです。分からないのは、あなたの家のベランダがその「十分」に入るかどうか。軒で高い空が隠れないか、街灯がどれくらい効くか、隣の建物で狙いたい方角が塞がれていないか。
それを確かめてから買うか決める、あるいは「年に数回、晴れた週末だけ使う」なら借りるほうで済ませる。どちらの判断も、一晩回してみれば材料が揃います。上位機のDWARF 3と迷っている人は、両方を順に借りて、自分の場所で差が出るかを見るのが一番早いです。
操作手順は、同じチャンネルのチュートリアル後編を紹介した記事にまとめています。
→ DWARF mini ピントを合わせずに天体を探すと「路頭に迷う」。経緯台・赤道儀・天文スタジオまで
DWARF mini のレンタルはこちら
→ DWARF mini:
→ 動画冒頭で「上位機種」として触れられている DWARF 3 と比べたい人は:
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→ 新着機材一覧
📦 「こんなに多機能じゃなくていいんだけどな」。
そう思った人ほど、まずは一番シンプルな一台を自分のベランダで。買う前に、一晩だけ空を見せてあげてください。
