無線映像伝送を現場で使うときの本当の恐怖は「切れること」ではなく「切れた後、戻らないこと」です。技術スタッフが慌ててペアリングし直し、制作側が待たされ、空気が悪くなる。その経験がある人ほど、新しい伝送機を素直に信じられない。
テレビ朝日映像の撮影部の方々が、DJI SDR Transmission 2 を自社の建物の中で試した動画は、まさにその「切れた後」を見せてくれます。DJI提供の動画ですが、検証の仕方が現場の人のそれで、感想も現場の言葉でした。
※この動画はパンダスタジオの動画ではありません。「テレビ朝日映像撮影部」さんの公開動画(DJI JAPAN提供)を、参考になった動画として紹介しています。
見どころは9分以降。送信機を持った人がロッカー室に入り、金属ロッカーの中に送信機を入れて扉を閉める。受信側の数字が0.4〜0.6まで落ちて切れ、扉を開けると即座に戻る。「切れた、切れた」「来た来た来た」のやり取りがそのまま検証結果です。もう一つは7分あたり、Osmo Pocket の映像をUSB-Cケーブル1本で送信機に入れて飛ばす実演。HDMI出力のない小型カメラが無線で飛ばせる、という話は僕も見直しました。
動画で使っている DJI SDR Transmission 2 コンボ は、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。「自分の会場の壁で粘るか」は、借りて歩いてみるのが一番早い。
→ DJI SDR Transmission 2 コンボ:
初代からの変化:小さくなって、送受信が1台で兼用、8台に配れる
動画の前半は、初代 SDR Transmission と並べた外観と仕様の説明です。要点を並べます(数値はいずれも動画内の説明)。
- ケースも本体も小さくなった。アンテナは縦2本を残して横がつながったH型のような形に
- TX/RXをスイッチで切り替える1台兼用になり、「送信機と受信機を分けて管理しなくていい」
- 初代は1台の送信機で2台受けだったのが、1台で8台に。「8カメの送り返しに同軸を8本引かなくていい」と撮影部の方
- 同じ場所で送信機5台まで使えて、最大40台受信。「混信しない」
- Auto Channel 2.0 で電波が途切れてもすぐ繋がる。前日に試して「本当に繋がりが早かった」
- 4桁の認証で不正アクセスを防げる
- 4K60p・10bit・50Mbps で伝送。初代より明らかに映像が綺麗、と
- 見通し4km、遅延35ms(約1フレーム)。「他のカメラと混ぜるなら他を遅らせて揃える」
「8台受け」の話で撮影部の方が即座に「送り返しに使える」と反応していたのが印象的でした。光ケーブルなら送り返しは要らないが、同軸で回す現場なら、これ1台で8本分のケーブルが消える。テレビの現場の人の発想です。
注意点:本体はHDMIのみ。SDIとバッテリーは「合体」で足す
ここは借りる前に知っておいた方がいい話です。本体にはHDMIの入出力しかなく、初代にあったSDI端子とバッテリー取り付け部がなくなっている。代わりに、
- バッテリーアダプターをUSB-Cで取り付けると、ソニーのLバッテリーが付く
- エクスパンション・アクセサリーキット(別売り)でSDIの入出力を足す。ただしネジを外して組み合わせる「合体ロボみたいな」作業が要り、組むと1/4インチのネジ穴が一つ減る
一方で、キットにはHDMIとUSB-Cの抜け止めが付いていて「初代にはなかった」と評価されていました。SDIケーブルではメタデータ(REC情報など)もスルーで通るので、VEの立場では助かる、と。
レンタルでSDI運用を考えている人は、借りる前に「キットも必要か」を確認してください。当社の取り扱い状況は商品ページでご確認ください。
Osmo Pocket を USB-C で直接入力できる
撮影部の方が「この機能を一番押したい」と言っていたのがこれです。アクションカメラや Osmo Pocket のようにHDMI出力がない小型カメラの映像を、生で配信や収録に使いたいと思ったことがある。それがUSB-Cケーブル1本で送信機に入る。動画では実際に Osmo Pocket の映像が受信側に出ていました。「Iではなくて P(プログレッシブ)だが、配信はほとんどPだから問題ない」というやり取りも。
当社でも Osmo Pocket 4/4P をスイッチャーに入れたい、という相談は増えています。これまではUSB-C→HDMI変換を挟む構成でしたが、無線で直接という選択肢が加わります。対応機種はDJI公式でご確認ください。
この機材が向いていそうな人・現場
- ロケで、マネージャーやメイクの方を会議室で待機させ、そこに現場の映像を見せたい制作会社のディレクター
- 講演会やイベントで、複数のモニターに同じ映像を配っていて、同軸ケーブルの本数に疲れている技術担当
- Osmo Pocket で撮った映像を、ケーブルなしでスイッチャーや配信PCに入れたい人
社内検証の中身:会議室から会議室、ロッカー、階段
検証は「ロケ隊が外に出ていて、マネージャーさんが会議室で待っている」という想定で、建物内を送信機を持って歩き回る形でした。結果を動画のまま書きます。
| 場所 | 結果(動画内) |
|---|---|
| 同じフロアの会議室(50m程度) | 電波良好、映像もリップシンクも問題なし |
| ロッカー室(金属ロッカーが多数) | 数字が下がるが映像は見えている。0.4〜0.6で切れる |
| 金属ロッカーの扉の中に送信機を入れて閉める | 切れる。開けた瞬間に復帰、「速攻」 |
| 別の階の会議室(受信側のほぼ真上) | 50mの最大表示まで回復。「天井を突き抜けている」 |
| コンクリート壁のある階段付近 | 数字が下がる。「ちょっと苦手」 |
撮影部の方の総括は「強いというより粘る。切れても電波のあるところに出た瞬間に早い。だから現場が変なパニックにならない」。そして「電波の強さが数字で見える」ことを、もう少し近づこう、という判断ができる点で評価していました。
正直に書くと、僕がこの動画で一番安心したのは「復帰が速い」という一点です。切れない機材は存在しない。切れたときに人間が何もしなくていい、という方が現場では価値がある。
持ち帰り用:会場で歩くときのチェック項目
| 確認すること | 見る場所 | メモすること |
|---|---|---|
| 見せたい部屋まで届くか | 受信機の電波強度の数字 | 部屋ごとの数字 |
| 壁・階をまたいだときの落ち方 | 同上 | どこで何まで落ちたか |
| 切れた後の復帰の速さ | 受信側の映像 | 体感で何秒か |
| 遅延が他カメラと揃うか | スイッチャーのマルチビュー | 他カメラに入れたディレイ量 |
| 入力はHDMIかUSB-Cか | 送信機の端子 | SDIが要るならキットの有無 |
→ このリストを持って会場を一周するなら:
レンタルで試す価値があるところ
この動画の検証場所はテレビ局の社屋です。自分の会場はロッカーの数も壁の材質も違う。「粘るか」「復帰が速いか」は、自分の会場で歩いて確かめるしかない。本番前に1日借りて、上の表を埋めておけば、当日は配置を迷いません。
DJI SDR Transmission 2 と周辺のレンタルはこちら
→ USB-C直接入力を試す相手、Osmo Pocket 4:
→ モニター付きで運用したいなら上位の DJI Transmission:
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