グリーンバックで撮ったセミナー動画。人物だけをきれいに切り抜いて背景と合成したいのに、輪郭に緑がにじむ、肌がなんとなく緑っぽい、髪の毛の境目が汚い——このあたりでつまずく人は多いと思います。
この記事は、ATEM(Blackmagic ATEMスイッチャー)でISO収録したセミナー動画を素材に、クロマキー合成をDaVinci Resolve(ダヴィンチ・リゾルブ)で抜いていく実際の作業手順を追ったものです。ポイントは「スイッチャーで抜くより、あとからDaVinci Resolveで抜き直したほうが綺麗に抜ける」という現場のやり方。カラーの下ごしらえから3Dキーヤー、スピル除去まで、動画で手を動かしながら見るのが一番早い内容です。
なぜATEMで収録したのに、クロマキーだけDaVinci Resolveで抜き直すのか
素材は、ATEMスイッチャーでISO収録したもの。ATEMでISO収録すると、DaVinci Resolveのプロジェクトファイルができあがっていて、スイッチングの操作も記録された状態で開けます。
ただ、クロマキー合成のときだけは、あえて中途半端な状態から作り直します。動画では「ATEM側でクロマキー合成した結果よりも、DaVinci Resolveで新たに抜き直したほうが、クロマキーが綺麗に抜けるからこうしている」と説明されています。スイッチャーでリアルタイムに抜いた絵で妥協せず、編集ソフト側でじっくり抜くという判断です。
今回の素材はATEMですが、Blackmagic Videohub(ビデオハブ 10×10)で組んだ場合も考え方は大体同じ、と動画では触れられています。
手順1:オフライン素材の再リンクと、開始位置・音の整理
まずタイムラインを開いたとき、メディアがオフライン(ファイルが見えない状態)になっていることがあります。そのときはクリップのマークをクリックして「メディアファイルで場所を特定」から、素材のあるフォルダを選び直して再リンクします。
ATEMスイッチャーで撮っているので、各カメラのタイミングはすべて合っています。だから難しく考えず、同じ地点から開けばそろう、という前提で進められます。仮に多少ずれていても、そろえる基準を決めておけば合わせられます。
注意点は音。複数系統あると音が重複するので、どちらの音を活かすかを先に決めておきます。動画では、片方に寄せる形で整理しています。
手順2:カラーページで白と黒を整える(抜く前の下ごしらえ)
クロマキーはいきなり抜くのではなく、カラーページで明るさと色を整えてからのほうが素直に抜けます。
白い紙でホワイトを取る
撮影時に白い紙を写しているので、その紙の部分でホワイトを取ります。そのうえで波形(ウェーブフォーム)を見て、上下が振り切れていないかを確認します。
波形で上を締める
白飛びするほど上げると白くつぶれてしまうので、動画では「1番高いところが1023と896の間くらいに収まる」あたりを目安にしています。スタジオ撮影ならこれでよく、屋外などで背景の蛍光灯などが多少白飛びしても、抜きたい主役が飛んでいなければ気にしない、という割り切りも語られています。
黒が開いていればリフトで締める
黒側が開いている(持ち上がっている)ときは、リフトで少し下げて締めます。これで明るさが大体0〜1023の間に収まります。
手順3:ベクトルスコープとスキントーンインジケーターで肌を整える
次に人の肌の色。ベクトルスコープにスキントーンインジケーターを表示すると、人肌の色相の目安ラインが出ます。
グリーンバックの前で撮っていると、緑の照り返しで肌が緑側に寄りがちです。動画でも、スキントーンインジケーターで見ると肌がラインから少しずれていました。これをティントで補正します。動かしてみればどちらに寄せるべきか分かるので、極端にやらず、少しずらす程度に調整します。
合わせる基準は顔の肌。場所によって肌の色が違っても「顔を合わせておけば大丈夫」というのが動画での判断です。
手順4:エディットページで3Dキーヤーを当てて抜く
明るさと色が整ったら、エディットページに戻ってクロマキー合成に入ります。ここで使うのがDaVinci Resolve FX(ResolveFX)の「3Dキーヤー」です。
エフェクトから3Dキーヤーを1つ目のクリップに当てます。OpenFXオーバーレイの表示にして、マジックスポイトのようなツールで、画面に残る白いモヤモヤ(抜けきっていない部分)をなぞっていき、綺麗な黒(マット)になるようにします。
間違ったところをなぞってしまったら、Ctrl+Zで戻していいところまで戻します。1回のなぞりで足りず、追加でなぞりたいときは「+」で追加していけば、少しずつ抜きを足せます。手を動かしたときの影などで緑が交じる箇所が出たら、そのつど「+」でなぞり足すのがコツです。
手順5:マットフィネスで白黒表示にして追い込む
合成したままだと抜け具合が分かりにくいので、マットフィネスでいったん白黒表示(マット表示)に切り替えます。本来は白と黒にくっきり分かれてほしいのに、よく見ると中途半端に残っている部分が見えます。ここを追い込みます。
- 白クリーン:白の中に入り込んだ余計な部分をクリーンにします。ただし増やしすぎると白い領域をぼかして広げてしまい、逆にグリーン領域が増えるので、いい感じに消えたところから少し戻すくらいが目安です。
- 白クリップ:逆に抜けすぎた(いっぱい抜けてしまった)ときに、白の領域を少し減らして調整します。
- 内外比率:どこまでの緑を「グリーン(背景)」として扱うかの比率。上げすぎると主役側まで追い込まれて緑になってしまうので、様子を見ながら調整します。
基本的には各パラメータを触ってみれば挙動は大体つかめる、というのが動画のスタンスです。
手順6:スピル除去で緑の照り返しを消す
輪郭に残る緑は、グリーンバックからの照り返し=スピルです。スピル除去は、輪郭に赤(緑の反対側の色)を当てることで緑を打ち消します。動画では、これで緑の縁が結構消えていました。
グリーンバックで撮っている素材なら、いきなり問答無用でスピル除去を当ててもいい、とされています。ただし赤を当てるぶん、人の表情(顔)が赤くなってしまうことがあるので、そこは見ながら。今回は問題なかったのでしっかり当てていました。最後に内外比率などでさらに追い込み、最終合成の表示に戻すと合成結果が確認できます。
この手順が向いている人・現場
- グリーンバックでセミナー動画・解説動画を撮っていて、人物を背景と合成したい人
- ATEMやVideohubでISO収録していて、あとからじっくり抜き直したい人
- スイッチャーのリアルタイム合成では輪郭の緑や肌の色が気になっていた人
- 企業の内製チームで、セミナー配信・研修動画をきれいに仕上げたい担当者
この合成環境は、レンタルで一式そろえられる
今回の作業で登場する道具は、実はほぼBlackmagic製でまとまっています。編集ソフトのDaVinci ResolveはBlackmagic Design、収録に使うATEMスイッチャーもBlackmagic、系統を切り替えるBlackmagic Videohub(10×10)も同じ。これに撮影用のグリーンバックが加われば、この記事の「撮って・抜いて・合成する」流れは一通り再現できます。
DaVinci Resolve自体は無償版もありますが、抜きの精度や仕上がりを左右するのはむしろ撮影側——グリーンバックの張り方・ライティング、ISO収録できるスイッチャー環境です。ここは実機を触ってみないと現場との相性が分かりにくい部分です。
レンタルで試してみる価値があるケース
- グリーンバック合成をこれから内製で始めたいが、まず一度通しで試したい
- ATEMでのISO収録から編集ソフトでの抜き直しまで、ワークフローを確認したい
- 買う前に、自社の部屋の広さ・照明でどこまで綺麗に抜けるか確かめたい
- 単発のセミナー・研修収録のためだけに一式そろえたい
用途別に、レンタルで探すなら
グリーンバック合成の環境づくりに関係する機材は、パンダスタジオレンタルでも取り扱いがあります。用途から探してみてください。
■ 編集・収録・スイッチングをBlackmagicでそろえたい人(DaVinci Resolve系/ATEM/Videohub)
→ Blackmagic Design 製品一覧
■ 合成用の背景を用意したい人(グリーンバック)
→ 「グリーンバック」で検索
■ 最近入った機材から探したい人
→ 新着機材一覧
まとめ:抜きは撮影の下ごしらえで9割決まる
クロマキーで綺麗に抜くコツは、キーヤーのパラメータ以前に、カラーページでの白・黒・肌の整え方にあります。ホワイトを取り、波形で締め、肌の緑寄りをティントで直してから、3Dキーヤー→マットフィネス→スピル除去と進む。この順番を動画で一度手の動きごと見ておくと、自分の素材でも再現しやすくなります。
この撮影・編集環境をレンタルで試す
グリーンバック合成に使うDaVinci Resolve・ATEM・Videohubは、いずれもBlackmagic Design製。撮影用のグリーンバックと合わせて、パンダスタジオレンタルで探せます。
→ Blackmagic Design 製品一覧
→ 「グリーンバック」を探す
→ 新着機材をチェック
映像制作・撮影技術のセミナーも定期開催しています。
→ セミナー情報はこちら
