カメラはSONYの業務用カムコーダー PXW-Z200 が1台だけ。しかも三脚に載せて固定したまま。それなのに配信画面は、引きの全体像から商品のドアップへ、スパッと切り替わる——。
Z200のセミナーで、「モニター&コントロール(Monitor & Control)」アプリの切り出し(クロップ)機能を使ったワンオペ配信のデモがありました。スイッチャーも2台目のカメラも無しで、タブレットのワンタッチだけで画が切り替わる。この一部始終を動画でご覧いただけます。
見どころは2つ。タブレットをワンタッチした瞬間に商品アップへ切り替わるところと、後半でスピード設定を落としたときの、カメラがパンしながら寄っていくようなヌルッとした画の動きです。これはテキストで読むより、動画で見た方が早いです。
動画で使われているZ200は、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。「自分の配信でも再現できそうか」を確かめたい方は、記事末の関連レンタル機材からどうぞ。
仕組み:カメラは広角で固定、切り出しはタブレットから
やっていることはシンプルです。Z200を固定して、なるべく広角で撮っておく。すると画面の中に「切り取れる範囲」がたっぷり生まれます。あとはタブレットのモニター&コントロールアプリで、切り出したい場所をプリセットとして登録しておくだけ。
切り出しポイント(プリセットポジション)は、無償のままで2カ所まで登録できます。デモでは、ライブコマースのような商品紹介配信を想定して、この2カ所をこう使っていました。
- 1カ所目:商品(デモではパンダのぬいぐるみ)のアップ
- 2カ所目:話し手に少し寄ったバストショット
配信の流れはこうなります。まず全体が映った引きの画でトークを進める。「では商品を詳しく紹介します」となったら、タブレットをワンタッチ。画面はもう商品のアップになっている。話に戻るときはもう1つのプリセットで話し手に寄り、フレーミングを解除すれば引きの全体像に戻る。ワンオペで、しゃべりながら画を作れてしまうわけです。
スピード設定で「スイッチング」にも「カメラワーク」にもなる
面白かったのがプリセット間を移動するスピードの設定です。最速の100にしておくと、画がスパッと変わってスイッチャーで切り替えたような効果になる。逆に60くらいまで落とすと、カメラが寄りながらパンしているような滑らかな動きになる。カメラは1ミリも動いていないのに、です。
さらに、画面の移行を時間で区切るスケジュール設定もあり、たとえば5秒周期で自動的に画を変える、といった使い方もできます。
HDMIで出せば、そのまま配信機材へ
切り出した映像はHDMIから出力されるので、それを配信機材に入れれば、そのまま番組として流せます。感覚としては「カメラが2台あるような画変わりを、1台の固定カメラで作れる」仕掛けです。
オートフレーミング:AIが勝手に追いかけてくれる
手動のプリセット切り出しとは別に、オートフレーミングという機能もあります。こちらはAIが被写体を認識して、動いている人を勝手に追いかけてフレーミングし続けてくれるもの。演者が立ち位置を変えるセミナーや講演なら、こちらの方が向いています。現場に応じて「電子切り出し」と「オートフレーミング」を使い分けられるのがポイントです。
「プリセット2カ所じゃ足りない」という場合は、有償ライセンスで切り出しポイントを3〜10個まで増やせます。
対応カメラの整理(セミナーの質疑で出た話)
会場から「FX系でも使えるのか」という質問が出ていました。整理するとこうなります。
- オートフレーミング(AI追従)対応:PXW-Z300/PXW-Z200/HXR-NX800
- 電子切り出し(手動プリセット)対応:上記に加えて FX3(FX3A含む)/FX30
FX3・FX30はAI追従こそ効かないものの、自分で画角を決めて切り出す使い方ならOK。質問した方も「それは超いいっすね」と反応していましたが、フルサイズのFX3に広角レンズを付ければ切り出せるエリアはさらに広がりますし、センサーが大きく画素数が多いほど、切り出した後の映像もきれいになります。用途に応じてレンズを替えられるのは、レンズ交換式ならではの強みです。
PTZカメラとの違い
「人を追いかける」だけなら、PTZカメラでもできます。PTZはカメラごと物理的に動いて追うので画はきれいですが、設備としてはやや大掛かりになる。対してZ200の切り出しは、カメラを置いたまま、追加機材ほぼゼロで完結するのが持ち味です。手軽さ重視ならこちら、という住み分けですね。
なお、切り出しのアスペクト比は現状16:9のみ。縦動画用の切り出しは公式にはサポートされていません(モニター表示自体は縦向きに切り替えられます)。縦型配信が本命の人は、そこだけ注意です。
この機能が向いていそうな人・現場
- ワンオペで商品紹介・ライブコマース配信をやっている人
- セミナー・講演の収録で、引きと寄りの2画角を1台でまかないたい人
- スイッチャーや複数カメラを組むほどではない小規模配信の現場
- すでにFX3/FX30を持っていて、固定画角の切り出し配信を試したい人
こういう機能こそ、買う前に借りて試すのが向いています
切り出しやオートフレーミングは、スペック表を眺めても分からないことだらけです。切り出した映像の画質は自分の配信で許容範囲か。プリセット2カ所で足りるのか、有償ライセンスが要るのか。スピード設定の「ヌルッと感」は自分の番組のトーンに合うのか。タブレット操作はしゃべりながら本当に扱えるのか。
このあたりは、実際にいつもの配信セットに組み込んでみるのが一番はっきりします。Z200もNX800も、FX3・FX30も、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。
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