AIを3人集めて、動画編集会議をしてみた。告知動画づくりが思ったより実務だった件
動画編集の判断をAIに任せてみたら、まさかの「編集会議」になりました。
今回やったのは、Rolandの新製品ビデオスイッチャー V-1-4K の体験会告知動画づくりです。 素材は約10分。内容としては、2026年5月26日にパンダスタジオ浜町で開催する「Roland V-1-4K 最速ハンズオン体験会」の告知です。
作成結果はこれ。
元素材は10分くらしゃべってました。
普通に考えれば、やることはシンプルです。
10分の素材を見て、いらないところを切る。
イベント名、日付、場所、見どころ、申込方法を残す。
2〜3分くらいの告知動画にする。
ただ、ここでちょっと遊んでみたくなりました。
同じ素材を、複数のAIに渡したら、どんな編集案が出てくるのか?
同じ素材なのに、AIごとに編集方針が違う
こちらから出した指示は、だいたい同じです。
「この素材をYouTube向けの告知動画として編集するなら、どこを残し、どこを切るか考えてください」というものです。
すると、面白いことが起きました。
出てきた編集案が、けっこう違う。
ざっくり分けると、こんな感じです。
| 案 | 性格 |
|---|---|
| A案 | 短尺告知型。申込につなげることを重視 |
| B案 | 納得感重視型。人柄や文脈を残す |
| C案 | 詳細実務型。編集作業しやすいように細かく指示 |
これがなかなか面白かった。
A案は、とにかく速い。
冒頭のNGや言い直しをばっさり切って、日付、製品名、イベント名、申込導線を早めに出す。告知動画としてはかなり強い。
B案は、少し長め。
「なぜ行く価値があるのか」「実際に触れる意味は何か」「中村さんの温度感」を残そうとする。YouTube本編としては自然です。
C案は、かなり実務的。
タイムコード単位で、どこを使うか、どこを切るか、編集メモまで細かい。想定尺も5分30秒〜6分くらいで、補助金相談や懇親会、申込方法の実演までかなり丁寧に残す案でした。
つまり、どれかが明確に間違いというわけではありません。
全部、ある意味で正しい。
だから困るわけです。
「一番良い台本」を選ぶのではなく、「今回の目的」を決める
最初は、A案・B案・C案の中から、どれを採用するかを考えていました。
でも、途中で気づきました。
これは「どのAIが一番正しいか」を決める話ではない。
今回の動画の目的に対して、どの編集思想が合っているか を決める話だと。
今回の動画は、イベント告知です。
しかも、開催日はかなり近い。
ということは、目的はこれです。
短時間で価値を伝えて、申込ページに行ってもらうこと。
そう考えると、全部入りの5分50秒版は丁寧だけど、少し重い。
一方で、2分30秒の短尺版は強いけど、少しだけ味気ない。
そこで最終的には、こうしました。
A案を骨格にする。
B案・C案から、補助金相談と中村さんの熱量が出ている部分だけ足す。
懇親会や長い申込手順、予約開始まわりの説明は削る。
これで、3分弱のハイブリッド告知動画にする方針です。
AHPっぽく判断表を作ってみた
ここで役に立ったのが、AHPっぽい考え方です。
AHPは、ざっくり言うと、
「どれが良いか」を複数の評価軸に分けて考える方法 です。
今回は、編集判断の評価軸をこう置きました。
| 評価軸 | 重み |
|---|---|
| 告知に必須か | 35% |
| 申込につながるか | 25% |
| 視聴維持・テンポ | 20% |
| 中村さんらしい熱量 | 10% |
| リスク・冗長さの少なさ | 10% |
この表を作ると、判断がかなり楽になります。
たとえば、補助金相談の話。
C案では、この補助金相談をかなり丁寧に残していました。
法人向けにはたしかに価値があります。機材購入を検討している人にとって、「補助金の相談もできます」は申込理由になる。
でも、長く話しすぎると告知動画としてテンポが落ちます。
だから最終判断は、こうです。
補助金相談は残す。
でも、長い雑談は切る。
要点だけ12秒くらい使う。
これなら、価値は残る。
でも動画は重くならない。
次に、中村さんの熱量が出ているパート。
「Rolandをよく使っている配信現場の人には大注目のイベント」という話は、短尺告知としては必須ではありません。
でも、これを入れると、ただの事務的な告知ではなくなります。
「これは現場の人に本当に触ってほしい機材なんだな」という温度が出る。
なので、ここは採用。
逆に、懇親会まわりは切りました。
情報としては面白い。
でも、「どれくらい来るんですかね」「全然来なかったら」みたいな不確定感が出る部分は、告知動画としては弱くなる。
イベントの申込を迷わせる可能性があるので、今回は不採用。
こうして見ると、AIの案をそのまま採用しているのではありません。
AIが出した複数の視点を、人間が編集長として判断している。
ここが面白いところです。
バーチャル編集会議、思ったより使える
今回やってみて思ったのは、これは単なる遊びではないということです。
やっていることは、ほとんど制作現場の編集会議です。
人間の編集会議でも、同じ素材を見て意見が分かれます。
- もっと短くした方がいい
- いや、この温度感は残した方がいい
- 申込方法は丁寧に見せた方がいい
- でもそこ、尺を食いすぎるよね
これと同じことが、AIでも起きます。
AIごとに、見ている場所が違う。
あるAIは、申込導線を見る。
あるAIは、人柄を見る。
あるAIは、実際の編集作業のしやすさを見る。
あるAIは、情報を落とさないことを重視する。
これは、けっこう使えます。
ただし、大事なのは、AIに多数決させないことです。
3つのAIが「ここは残す」と言ったから残す。
そういう決め方ではなく、
なぜそのAIは、そこを残したのか。
ここを見る。
補助金相談を残したAIは、法人向けの参加価値を見ていた。
短尺案でそこを削ったAIは、動画のテンポを見ていた。
どちらも正しい。
だから人間編集長としては、
補助金相談は価値がある。でも長くはいらない。要点だけ残す。
という判断になる。
最終的な編集方針
今回の最終方針はこうです。
| 要素 | 判断 |
|---|---|
| 基本骨格 | A案ベース |
| 追加する要素 | 補助金相談、熱量パート |
| 採用しない要素 | 懇親会の詳細、長い申込実演、予約開始まわり |
| 目標尺 | 3分弱 |
| 目的 | 短時間で価値を伝え、申込につなげる |
つまり、
短尺告知としてのテンポを保ちつつ、法人向けの参加メリットと中村さんらしい熱量だけを足す。
これが今回の答えでした。
AIに編集を任せる、ではなく、AIと編集会議をする
今回、改めて感じたのはここです。
AIに「正解の編集」を出してもらう、というより、
AIに複数の編集視点を出してもらう 方が使いやすい。
いきなり1つの答えを求めると、AIの癖に引っ張られます。
でも、複数AIに同じ素材を渡して、
- 短尺告知担当
- 納得感担当
- 実務編集担当
- リスクチェック担当
のように分けて考えさせると、かなり良い編集会議になります。
最後に決めるのは人間です。
この動画は何のための動画なのか。
誰に見てほしいのか。
どこまで情報を残すのか。
どこから先は切るのか。
そこは人間が決める。
AIは、判断材料を出す。
人間は、編集長として決める。
この関係が、今のところ一番しっくりきます。
まとめ
今回の「バーチャル編集会議ごっこ」は、遊びのつもりで始めました。
でも、やってみるとかなり実務的でした。
- AIに編集案を出してもらう
- 複数案の性格を見比べる
- AHPっぽく評価軸を置く
- 良いところだけ拾って、最終編集指示書に落とす
- それを編集作業AIに渡す
ここまで来ると、単なる相談ではなく、ひとつの制作ワークフローです。
動画編集で一番難しいのは、実はカットする技術そのものではなく、
何を残すか。
何を切るか。
なぜそう判断したか。
だったりします。
そこにAIを複数人呼んで、バーチャル編集会議を開く。
これ、思ったよりアリです。
