近年の動画コンテンツ制作において、映像美と同様に音響クオリティの重要性が強く認識されるようになりました。YouTube動画、Vlog、ドキュメンタリー、商業映像に至るまで、クリアで臨場感のある音声は視聴維持率に直結する決定的な要素です。こうした市場ニーズを的確に捉え、プロフェッショナルから個人クリエイターまで幅広い層から注目を集めている機材が、Saramonic(サラモニック)が投入した「SG-MS1」ステレオショットガンマイクです。本稿では、M-S(Mid-Side)方式を採用し、XLR・USB-C・3.5mmという圧倒的なマルチ接続に対応した同機の性能・使い勝手・音響特性を、プロ視点から客観的かつ徹底的に考察します。
Saramonic SG-MS1の基本概要と製品ポジショニング
Saramonic SG-MS1が市場で注目される背景
近年、ハイエンドな映像表現が身近になる一方で、制作現場における音声収録のワークフローは極めて多様化かつ複雑化しています。かつては放送用ENGカメラやフィールドレコーダーを軸としたXLR接続が標準的でしたが、現在ではミラーレス一眼カメラによる高品質な動画撮影や、iPhone・Androidといったスマートフォン、あるいはPCを核としたモバイルレコーディングおよびライブ配信が日常的に行われるようになりました。こうした現場の変遷に伴い、クリエイターがマイクに対して求める要件は「高音質であること」にとどまらず、「あらゆる収録デバイスに柔軟に適応できるインターフェースの汎用性」へと拡大しています。Saramonic(サラモニック)が投入したSG-MS1は、まさにこの多様化する機材環境の課題を一台で解決するために設計された画期的なステレオショットガンマイクです。従来、プロ仕様のステレオショットガンマイクといえば高額かつ大型で、XLR専用のシステムが主流でしたが、SG-MS1はハイエンドなM-S方式を採用しながらも、USB-Cや3.5mm TRS出力にも対応する前例のない柔軟性を備えて市場に登場しました。これにより、映像プロダクションの現場からソロで活動するVloggerまで、同一のマイクで最高峰の音質と機動性を両立できるようになり、発売以降、プロフェッショナルおよびハイアマチュア層の双方から極めて高い注目を集めています。
M-S(Mid-Side)方式ステレオマイクの構造的特徴
Saramonic SG-MS1の核となる音響設計において、最も特筆すべきはM-S(Mid-Side)方式ステレオ収音構造の採用です。一般的なステレオマイクで多用されるX-Y方式やA-B方式は、2基のカプセルを物理的に交差あるいは離隔配置することでステレオ感を生み出しますが、軸外の位相干渉やモノラル再生時のコムフィルタリング(位相の打ち消し合いによる音質劣化)が発生しやすいという構造的課題を抱えています。これに対し、M-S方式は正面方向の音を鋭く捉える単一指向性(または狭指向性)のMidカプセルと、左右の音を90度の角度で収音する双指向性のSideカプセルを同一軸線上に配置する高度な音響アーキテクチャを採用しています。この構造により、音源に対する時間差(ディレイ)に起因する位相の乱れが理論上ほぼ皆無となり、極めて自然で純度の高いステレオ音場を構築できます。さらにM-S方式最大の技術的利点は、完全なモノラル互換性を保持している点にあります。Side成分をミュートまたは相殺すれば、純粋なMid成分のみが残り、不要な位相歪みなしにクリーンなモノラル音声として機能します。これは、スマートフォンなどの縦型動画や一般的なSNSプラットフォームにおいてモノラル再生されるケースが多い現代の動画制作現場において、極めて実用的かつ決定的な構造的アドバンテージとなっています。
ショットガンマイクとしての指向性と収音性能
ステレオマイクでありながら「ショットガンマイク」の形状を持つSG-MS1は、優れた音響干渉管(インターフェランスチューブ)構造をフロントに備えています。この物理的な音響設計により、正面軸上(On-axis)の目的音に対して極めてシャープな指向性を発揮し、周囲の不要な環境騒音や反射音を効果的に減衰させます。一般的なステレオマイクを屋外や反響の多い室内で使用すると、空間の広がりを捉える反面、被写体の声が周囲の暗騒音に埋もれてしまいがちですが、SG-MS1はMidカプセルがショットガン特有の鋭い指向性を持っているため、被写体のセリフやナレーションの芯を確実に捉えることができます。同時に、左右に配置されたSideカプセルが環境のアンビエンスを自然な立体感としてレイヤー化するため、「被写体の明瞭な声」と「現場の空気感・広がり」という、従来はトレードオフになりがちだった二つの要素を同時に高い次元で成立させています。これにより、周囲のトラフィックノイズや風切り音が混入しやすい屋外ロケーションにおいても、目的の音源にフォーカスを当てつつ、臨場感あふれる音響空間の構築が可能となり、ドキュメンタリーやENG取材、フィールドレコーディングにおいて抜群の収音性能を発揮します。
主要スペック一覧とコンデンサーマイクとしての基礎体力
Saramonic SG-MS1は、プロ用コンデンサーマイクとして妥協のない基本性能を備えており、微細な空気の振動から迫力ある音圧まで歪みなく描き切る優れた基礎体力を誇ります。以下に主要なスペックを一覧表として示します。
| 項目 | 仕様・性能 |
|---|---|
| 音響方式 | エレクトレットコンデンサー型(M-S方式) |
| 指向特性 | スーパーカーディオイド(Mid)+ 双指向性(Side) |
| 周波数特性 | 20Hz ~ 20kHz |
| S/N比 | 78dB以上(A-Weighted) |
| 最大入力音圧レベル(SPL) | 130dB SPL(THD 1%) |
| 出力インターフェース | 5ピンXLR(バランス)、USB Type-C(デジタル)、3.5mm TRS(アナログステレオ) |
| デジタルサンプリングレート | 最大24-bit / 48kHz |
| 電源供給 | 48Vファンタム電源 / 内蔵バッテリー / USB給電 |
広範な周波数帯域により低域のアンビエントから高域の抜けまで精緻に再現し、高いSPL耐性により突発的な大音量でもクリップしにくい設計となっています。
制作現場を支える多様な接続性とインターフェース設計
プロ向け機材と連携するXLRバランス出力の信頼性
映像制作プロダクションや放送業務などのシビアな現場において、有線伝送路の信頼性と耐ノイズ性能は何物にも代えがたい重要事項です。Saramonic SG-MS1は、プロフェッショナル機材との完全な親和性を担保するため、専用のXLRマルチピン端子からステレオ信号をL/R独立で出力可能なバランス伝送仕様を備えています。XLRバランス伝送は、ホット信号とコールド信号の位相差を利用してコモンモードノイズを効果的に打ち消すため、数十メートルに及ぶ長距離のケーブル引き回しが発生するスタジオ収録やイベント会場、屋外の大規模ロケーションにおいても、電磁誘導ノイズや高周波干渉の影響を極限まで排除したクリアな信号伝達を可能にします。業務用オーディオレコーダー、デジタルシネマカメラ、ミキシングコンソールへのダイレクト接続が可能であり、現場での音響システムの構築においてストレスを感じさせません。さらに、48Vファンタム電源駆動に対応しているため、現場のレコーダーから直接安定した電力を受給でき、内蔵バッテリーの残量を気にすることなく長時間の連続収録を完遂できる点は、業務用途における絶大なアドバンテージと言えます。
スマートフォンやPCへの直結を可能にするUSB-C接続
現代のコンテンツ制作において、スマートフォンやタブレット、ノートPCは単なる補助ツールではなく、主要な撮影・収録プラットフォームとして機能しています。Saramonic SG-MS1は、こうした現代の制作スタイルに完全対応するため、USB Type-Cデジタル出力ポートを本体にネイティブ搭載しています。この機能の最大の強みは、外付けのオーディオインターフェースや複雑な変換アダプタを一切介することなく、USB-Cケーブル一本でiPhone 15/16シリーズやAndroid端末、iPad、Mac/Windows PCへダイレクトにデジタル接続できる点にあります。マイク内部に高品質なA/Dコンバーターが統合されているため、スマートフォン側の貧弱なアナログ入力回路やヘッドホン端子のアナログ変換を経由することなく、低ノイズかつ解像度の高い24-bitデジタルの生音声をそのまま端末内のアプリへ流し込むことが可能です。これにより、モバイルジャーナリズム、現場からの高音質ライブストリーミング、フィールド先での即時ポッドキャスト収録などにおいて、機材のセットアップ時間を劇的に短縮しつつ、スタジオクオリティのステレオ音声を即座に収録・配信できる圧倒的な利便性を提供します。
ミラーレス一眼カメラに即座に対応する3.5mmミニプラグ
現在、動画クリエイターの間で最も普及しているカメラシステムであるミラーレス一眼やコンパクトシネマカメラに対して、SG-MS1は標準的な3.5mm TRSミニプラグ出力を提供し、極めてスムーズなワークフローを実現します。カメラ上部のコールドシューにマイクをマウントし、付属の3.5mmケーブルをカメラ側のマイク入力端子に接続するだけで、余計な設定を要さず即座に高品位なステレオ音声をカメラの映像トラックに同期収録(いわゆる「同録」)できます。内蔵バッテリー駆動をサポートしているため、カメラ側のプラグインパワー容量が不足している場合や給電仕様が特殊な場合であっても、マイク本体から安定した出力をカメラ側に供給可能であり、カメラのプリアンプゲインを最小限に抑えることでカメラ特有のホワイトノイズを大幅に軽減できます。ソロシューターやラン&ガンスタイルの撮影現場では、別体レコーダーによる音声ファイルの管理やポストプロダクションでの波形同期(シンク作業)が大きな作業負荷となりますが、3.5mm接続によってカメラ完結型のワークフローを構築することで、編集効率を劇的に向上させることが可能です。
マルチ端子仕様がもたらす収録機材の集約効果
XLR、USB-C、3.5mmミニプラグという3つの主要インターフェースを単一のボディに統合したSG-MS1のマルチ端子仕様は、現場機材の合理化とコスト削減において極めて大きな集約効果をもたらします。従来であれば、「シネマカメラでの本格撮影用にはXLRマイク」「ミラーレスでのVlog用には3.5mm小型マイク」「スマートフォンでの配信やリモート収録用にはUSBマイク」というように、接続規格や用途ごとに複数のマイクを個別に所有・管理・運搬する必要がありました。これは機材コストを肥大化させるだけでなく、現場での持ち出し忘れや運用ミスを誘発する要因となっていました。SG-MS1を導入することで、これらすべての収録形態を1本のマイクに集約することが可能となります。例えば、メインの撮影ではシネマカメラにXLRで接続し、移動中のサブカットはスマートフォンにUSB-Cで直結して撮影、さらにロケ先でのインタビューはミラーレス一眼に3.5mmで入力するといった柔軟な運用が、ケーブルを差し替えるだけでシームレスに完結します。機材バッグの省スペース化と重量軽減を実現しつつ、あらゆる収録シチュエーションに即応できる運用能力は、機動性を重視するクリエイターにとって計り知れないメリットです。
音質と機能性におけるプロ視点での客観的評価
M-Sステレオ方式による自然な空間定位と臨場感
Saramonic SG-MS1のサウンドプロファイルを客観的に評価すると、M-Sステレオ方式ならではのシームレスで自然な音場再現性が際立ちます。左右のカプセル間隔が離れた方式では、音源が中心から左右へ移動した際に音像が不連続にジャンプしたり、中央部分の密度が薄くなる「中抜け現象」が発生することが珍しくありません。しかし、SG-MS1では同一軸線上に配置されたMidカプセルとSideカプセルが理想的な音響マトリクスを形成するため、センターに位置する被写体の音像は強固に固定されつつ、左右へ広がる環境音や移動する音源が極めて滑らかなパンニングとして描写されます。森の中の鳥のさえずり、街路を行き交う車輛の走行音、あるいはライブ演奏における各楽器の配置が、耳で聴いたそのままの物理的距離感と角度を持ってリスナーの耳元に届きます。位相のズレに起因する人工的な広がり感ではなく、空気そのものの容積を感じさせるようなリアルな臨場感は、視聴者を映像の世界へ深く没入させる強力な音響的説得力を生み出します。
被写体の音声を的確に捉える軸上感度とノイズ耐性
ショットガンマイクの真価が問われるのは、劣悪な音響環境下における目的音の抽出能力です。SG-MS1は、スーパーカーディオイド特性を持つMidユニットの優れた軸上感度により、マイクの正面に位置する発話者の声を周囲の環境騒音から明確に分離して収音します。エアコンの空調音、室内の反響音、屋外の風音や遠方の雑踏といったオフアクシス(軸外)から到来するノイズ成分を効果的に抑制し、声の持つ太さや艶、明瞭なアタック感を損なうことなく捉え切ります。また、マイク自体の内部構造にも工夫が凝らされており、電磁シールド性に優れた堅牢なメタルハウジングがスマートフォンの高周波通信や照明機器のインバーターから発生する電波ノイズを遮断します。さらに、同梱されるショックマウントと適切なウインドジャマーを併用することで、カメラワークに伴うハンドリングノイズや突風による低域のボコつき(吹かれ)に対しても高い耐性を発揮し、いかなる撮影条件下でも実用的なクリーンサウンドを維持します。
編集工程におけるステレオ音像幅(広がり)の調整余力
M-S方式を採用しているSG-MS1は、撮影時のみならずポストプロダクションにおける音響設計の自由度においても比類のない優位性を発揮します。M-S信号をMidとSideの個別トラックとしてレコーディングした場合、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)や高度な動画編集ソフトウェア(DaVinci Resolve、Premiere Proなど)上で、Side信号のゲインをコントロールするだけでステレオの音像幅を後から自在に可変できます。例えば、周囲の環境音をダイナミックに聴かせたいシーンではSideトラックの音量を引き上げてステレオ感をワイドに強調し、逆に被写体のセリフを際立たせたいインタビューのシーンではSideトラックを抑えてナローな指向性に絞り込むといった調整が、再収録を行うことなく編集段階で直感的に行えます。従来のステレオマイクでは録音時のステレオ幅が固定されてしまうため、後からの修正は位相破壊を伴うプラグイン処理に頼らざるを得ませんでしたが、SG-MS1のM-S構造であれば、位相の整合性を完全に維持したまま演出意図に応じた最適な音場バランスを構築できます。
内蔵回路のS/N比とダイナミックレンジの実用性
コンデンサーマイクの性能をプロ視点で評価する上で、S/N比(信号対雑音比)とダイナミックレンジの数値およびその実用性は極めてシビアなチェック項目です。Saramonic SG-MS1は、78dB以上の良好なS/N比を達成しており、マイク自体の固有ノイズ(セルフノイズ)が極めて低く抑えられています。これにより、静寂な室内でのささやき声や、自然環境における微細な葉の擦れ音、遠くの波の音といった微小な音源を収録する際にも、耳障りな「サー」というヒスノイズが目立つことなく、ピュアな音響情報をキャプチャすることが可能です。加えて、最大130dB SPLという広大なダイナミックレンジを確保しているため、ドラムの演奏や激しいアクションシーンの打撃音、突発的な大歓声といった強大な音圧が入力された場合でも、波形のクリッピングや不快な歪みを発生させることなく余裕を持って受け止めます。繊細なディテール描写からダイナミックな音圧表現まで破綻なく対応できるこの回路設計は、商業制作のクオリティラインを確実にクリアする実用性を備えています。
動画撮影シーンにおけるSaramonic SG-MS1の実用性検証
機動力が求められるVlogやYouTube収録での運用感
ワンオペレーションでの撮影が主流となるVlogやYouTubeコンテンツの制作現場では、機材のセットアップ速度と取り回しの軽快さがコンテンツのクオリティと制作頻度を左右します。SG-MS1は、ステレオとショットガンという2つの機能を高度に統合しながらも、一般的な単一指向性ショットガンマイクと大差ない軽量・スリムなフォームファクタを実現しています。ミラーレスカメラのホットシューにマウントして手持ちジンバルや自撮り棒に装着しても、フロントヘビーによる重量バランスの崩れが少なく、長時間のロケでもオペレーターの手首にかかる負担を最小限に抑えます。歩きながらの自撮り撮影時においては、前方の話し手の声を芯のある音色でクリアに拾いながら、背景となる街の喧騒や自然の音を心地よいステレオ感で背後に配置してくれるため、視聴者に対して「その場に一緒にいる」かのような臨場感をリアルタイムに伝えることができます。配線の煩わしさを排除した直感的なオペレーションは、撮影への集中力を高め、クリエイティブな表現を力強く後押しします。
環境音の立体的な収録が求められるフィールドレコーディング
自然界の音や都市のサウンドスケープを記録するフィールドレコーディングにおいて、SG-MS1のM-S音響システムは極めて高い実力を発揮します。波打ち際の打ち寄せる波の左右へのうねり、頭上を通過する風と木々のざわめき、雨の滴る空間の立体的な深みなど、2次元の映像情報だけでは表現しきれない空間の「奥行き」と「広がり」を、圧倒的なリアリティで再現します。一般的なステレオマイクを屋外のフィールドレコーディングで使用する場合、風の影響を受けやすく、強風下ではステレオの定位が乱れたり低域が飽和しやすいという課題がありますが、SG-MS1の強固な筐体と付属の専用高密度ウインドシールドの組み合わせは、過酷な自然環境下でも風切り音を劇的に低減させます。また、低域の不要なロードノイズや風の唸りをカットするローカットフィルター機能を適切に活用することで、極めてクリアで高解像度な環境音アーカイブを現場で確実に記録することが可能です。
インタビュー取材や対談動画における声の明瞭度
複数の人物が会話を交わす対談動画や、騒々しい展示会場・街頭でのインタビュー取材において、音声の明瞭度は視聴体験の質を決定づけます。SG-MS1は、ショットガンマイクならではの鋭い前方感度によって、インタビュアーやゲストの口元にマイクを向けることで、周囲のざわめきをバックグラウンドへ押しやり、主たる発話内容をクッキリと際立たせることができます。さらに、一般的なモノラルガンマイクでは声の周囲の空間が不自然にデッド(無響)になりがちですが、SG-MS1であればSideカプセルが適度な部屋の空気感を保持するため、不自然な密閉感を排除した「自然で聞き取りやすいインタビュー音声」が完成します。対談収録においても、左右に座る2人のスピーカーの間にマイクをセッティングすることで、各話者の定位感を自然に保ちつつ、中央でのクロストークも濁りなく収音できるため、ポッドキャストやビジネス対談コンテンツの収録マイクとしても極めて高い適性を誇ります。
スマートフォン撮影システムとの親和性と現場適応力
iPhoneや各種Androidスマートフォンを核としたシネマティックリグやモバイル撮影システムにおいて、SG-MS1の存在感は際立っています。USB-Cケーブルで端末とダイレクトに結線するだけで、外部電源や追加のアダプタを必要とせず即座にバスパワーまたは内蔵バッテリーによる高音質レコーディングが開始されます。スマートフォン用ジンバルやケージにSG-MS1を組み込むことで、極めてコンパクトでありながらプロ用カメラシステムに匹敵する音響性能を持ったモバイルスタジオが瞬時に完成します。SNS向けのショート動画や縦型コンテンツでは音声のパンチとクリアさが極めて重要視されますが、SG-MS1の高解像度なサウンドは、スマートフォン内蔵マイクの薄っぺらい音質とは一線を画す圧倒的な差別化を実現します。現場での急なインタビューや突発的なイベント取材など、機動性と即応性が最優先されるシチュエーションにおいて、このシームレスな現場適応力は強力な武器となります。
導入前に把握すべき費用対効果と競合比較における強み
同価格帯ステレオショットガンマイクとの機能比較
現在、プロおよびハイアマチュア向けに展開されているステレオショットガンマイク市場において、Saramonic SG-MS1は極めて独自の立ち位置を確立しています。競合製品との機能的優位性を比較した以下の表を参照してください。
| 機能・仕様項目 | Saramonic SG-MS1 | 一般的な競合ステレオガンマイク(A社) | エントリー向けステレオマイク(B社) |
|---|---|---|---|
| 収音方式 | M-S(Mid-Side)方式 | X-Y方式 または A-B方式 | X-Y方式 |
| モノラル互換性 | 完全(位相干渉なし) | 不完全(コムフィルタのリスク有) | 低(モノラル時音質劣化大) |
| 接続インターフェース | XLR / USB-C / 3.5mm TRS | XLRのみ、または3.5mmのみ | 3.5mm TRSのみ |
| 電源供給方式 | 48Vファンタム / 内蔵バッテリー / USB | 単三電池 / 48Vファンタム | プラグインパワーのみ |
| ポスト編集対応力 | ステレオ幅の自由な可変が可能 | 固定(後処理での調整不可) | 固定 |
同価格帯の競合製品の多くが出力端子や収音方式を一つに限定している中、SG-MS1はすべての要素を包括しており、価格に対する機能密度において圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
運用時に留意すべきセッティングとマウント選びの要点
SG-MS1のポテンシャルを現場で100%引き出すためには、いくつかの運用上のノウハウと周辺機材の適切な選定が不可欠です。まず第一に注意すべきは、マイクの物理的なマウント構造です。コンデンサーマイク、特にステレオ方式のショットガンマイクは微小な振動に対しても高い感度を持つため、カメラの操作音やリグの軋み、ケーブルの引っ張りによるタッチノイズがマイクカプセルへ伝達しやすい傾向があります。これを防ぐためには、SG-MS1に標準付属する高品質なラバーサスペンション付きショックマウントを確実に使用し、ケーブルの取り回しに十分な遊び(たわみ)を持たせてリグに固定することが極めて重要です。また、M-S方式の特性上、マイク本体の天地・左右の向きがステレオイメージの正確性に直結します。マイクボディに印字されたインジケーターを確認し、Midカプセルが正確に被写体を向き、Sideカプセルの受音面が水平に整流されるよう厳密にセッティングすることが、正しい音場定位を得るための必須条件となります。
プロユースにおける堅牢性と長期運用の観点
業務用機材の選定基準において、過酷な使用環境に耐えうるビルドクオリティと耐久性は、初期性能の高さ以上に重要な要素です。Saramonic SG-MS1は、本体シャーシに精密機械加工された高強度アルミニウム合金を採用しており、現場での不意な衝撃や落下、機材ケース内での圧迫に対して極めて高い耐性を備えています。金属製ハウジングは物理的な堅牢性を提供するだけでなく、前述の通り外来の電磁波ノイズに対するシールドとしても機能し、長期間の使用においても音質の経年劣化を防ぐシールド構造を維持します。また、端子部や切り替えスイッチなどの可動部もプロの過酷な抜き差し頻度を想定した高耐久設計となっており、頻繁にロケーションを移動するハードな撮影スケジュール下でも接触不良やガタつきを起こしにくい信頼性を確立しています。消耗品である内蔵リチウムバッテリーの管理やファームウェアのアップデートサポート体制も含め、長年にわたり一線で運用し続けられる安心感は、機材投資としての費用対効果をさらに押し上げる要素です。
外部マイクとしてSaramonic SG-MS1の導入が推奨されるユーザー層
総括として、Saramonic SG-MS1の導入によって最大の恩恵を享受できるのは、以下のような多面的な制作活動を展開するクリエイターやプロフェッショナルです。第一に、ミラーレス一眼からシネマカメラ、スマートフォンまで複数の撮影デバイスをシチュエーションに応じて使い分けるハイブリッドシューターです。端子の壁を越えて1本のマイクを全機材で共有できるメリットは計り知れません。第二に、ドキュメンタリー映像作家やトラベルVloggerです。被写体のインタビュー音声を明瞭に拾いながら、その土地のリアルな空気感をワイドなステレオ音響で同時に記録したいという高度な要求に対して、SG-MS1は最適なソリューションとなります。第三に、フィールドレコーディングを行うサウンドデザイナーやポッドキャスターです。M-S方式のポスト編集耐性と完全なモノラル互換性は、プロレベルのMA作業において強力なアドバンテージを発揮します。これら音声クオリティの妥協を排し、効率的かつ高品質なワークフローを志向するすべての動画制作者にとって、SG-MS1は間違いなく「決定版」となり得る投資価値の高い外部マイクです。
よくある質問(FAQ)
Q1. Saramonic SG-MS1はiPhoneやAndroidスマートフォンに直接接続して使えますか?
A. はい、完全に可能です。SG-MS1は本体にUSB Type-Cデジタル出力ポートを搭載しており、付属または市販のUSB-Cケーブル1本で直接端末とデジタル接続できます。外付けのオーディオインターフェースや変換アダプタを必要とせず、スマートフォンの標準カメラアプリや各種録音アプリで即座に高解像度なステレオ録音が可能です。
Q2. M-Sステレオ方式とは、一般的なステレオマイクと何が違うのですか?
A. 一般的なステレオマイク(X-Y方式など)と異なり、正面の音を捉えるMidマイクと左右の音を捉えるSideマイクを組み合わせて音場を合成する方式です。音の位相ズレが原理的に発生しないため、スマートフォンなどでモノラル再生された際にも音が痩せたり消えたりするコムフィルタリングが発生しない「完全なモノラル互換性」を持つ点が大きな違いです。
Q3. XLR接続で使用する際、マイクの内蔵バッテリーは必要ですか?
A. 業務用レコーダーやカメラ、ミキサーから48Vファンタム電源が供給されている場合は、内蔵バッテリーを消費することなくファンタム電源で直接駆動します。そのため、バッテリー切れを心配することなく長時間の連続収録が可能です。ファンタム電源が供給されない3.5mm接続時などに内蔵バッテリーが自動的に機能します。
Q4. 屋外での動画撮影時、風切り音(吹かれノイズ)を防ぐにはどうすればよいですか?
A. 屋外ロケーションでは、SG-MS1に標準付属する高密度フォームウインドスクリーン、または強風に対応する毛皮タイプのウインドジャマー(デッドキャット)を必ず装着してください。さらに、本体に搭載されているローカットフィルター(ハイパスフィルター)をオンにすることで、風による低域のボコつきノイズを効果的にカットできます。
Q5. 編集時にステレオの広がり(音像幅)を変更するにはどうすればよいですか?
A. M-Sマトリクス録音に対応したレコーダーでMidとSideを個別トラックとして記録するか、編集ソフト(DaVinci Resolve、Premiere Proなど)のステレオツールやM-Sデコーダープラグインを使用します。Sideトラックの音量を上げることでステレオの広がりを強調し、下げることで正面にフォーカスしたモノラルに近い音像へと後から自在に調整可能です。
