クリアファイル越しみたいな写真は、霞除去の前に「レベル補正」。全体の曇りはレベル補正、距離で変わる霞は霞除去|SILKYPIXセミナー ダイジェスト05

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この記事を書いた人・監修した人

パンダスタジオの創業メンバーの1人。東京都立産業技術大学院大学で修士号を取得。電気通信大学大学院、熊本大学大学院、グロービス大学院でも学ぶ。PANDASTUDIO.TVでは、主に、BlackMagic Design製品を担当しスタジオ構築や配信を担当。

望遠レンズで隅田川の向こうを撮ると、ガスって、はっきり写らない。早朝は霧が出て遠景が眠い。曇りの日は光と影が弱くて立体感がない。この「薄い膜が張ったような写真」に、いきなり霞除去を最大でかけて、絵を固くして失敗する。

「いまさら聞けないRAW現像超入門編セミナー SILKYPIX」のダイジェスト最終回は、カメラマンの横山さんが、その眠い写真の直し方と、霞除去を使うべきときと使わないべきときを10分で整理します。結論を先に言うと、霞除去の前にレベル補正です。


見どころは2分30秒。雪景色の写真で、レベル補正の三角を少し詰めただけで「クリアファイルに挟んだような」膜が取れる瞬間です。横山さん本人の言葉で「なんかラミネート越しっていうか、半透明のクリアファイル越しっていうか、それが取れてくれる」。露出とホワイトバランスの次に一番使用頻度が高い、という機能の実力が、この十数秒に出ています。

手元の眠い写真で試すなら、SILKYPIXをインストール済みのノートPCを借りて、まずレベル補正だけやってみてください。

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まずレベル補正。シャドウ側とハイライト側を詰めるだけ

モノクロの回で使ったレベル補正は、カラーの風景でもそのまま効きます。トーンカーブの下のヒストグラムで、シャドウ側とハイライト側の三角を内側に詰める。それだけで「結構仕上がります」。曇りの日でコントラストが弱くて立体感がない写真も同じ。「露出、ホワイトバランスの次に、多分レベル補正が一番使用頻度が高い」。

コツは、木の影のような暗部を「シルエットまでいかないくらい」まで黒くしてやること。プリントの締まりがよく見える。ハイライトは立ててやると明るさがはっきり出る。これで「随分見れる写真が多くなる」。これからの季節、望遠レンズを使う人と朝早い人は、これで救済できる写真がかなり増える、とのことでした。

ここで横山さんが一言。「実はこれ、カメラでは設定できないです」。コントラストの設定はカメラにもありますが、黒と白の点を決めるレベル補正は、RAW現像でやる作業です。


霞とは何か:距離によってコントラストが変わる状態

客席から「これ、霞除去でもいいんですか」と質問が出て、横山さんは「霞はね、除去しない方がいい写真もあるから」と前置きしてから、霞の定義を話します。手前はコントラストが強いが、奥に行くにしたがってだんだん弱くなる。画面の距離によってコントラストが変わっちゃう状態。これを霞と呼んでいる。どちらかというと気象現象。

一方、さっきの雪の写真は、画面が一律に甘くなっている写真。逆光でハレーション気味になって黒が浮くのも同じで、画面全体に起きる現象。それは霞とは違う。レンズを通した写真での現象。だから写真全体の曇りが要らないときはレベル補正、というのが使い分けの起点です。

レベル補正で霞を取ろうとすると、手前が先に固くなる

電車の写真で説明していました。遠くだけコントラストを高くしたいのに、レベル補正で全体にコントラストを付けると、先に手前が高くなって絵が固くなる。手前は近いのでもともとコントラストがある。変えたいのは遠くだけ。

そのときに使うのが、トーンの中にある霞除去。「手前の電車にはあまり影響せずに、もともと画面の中でコントラストが低かった部分だけを検出して、そこをコントラスト高くしてくれる」。遠くになればなるほど効果が強くかかる。

ただし、霞を取ると良くない写真も半分ある

横山さんが正直だったのはここです。「霞取っちゃうと良くない気がしません? せっかく霞ませてるのに」。意図しない霞、望遠レンズの霞にはいいが、情景的な風景写真で霞除去を強くかけると、あまり良い結果を生まない。「霞除去を使ってダメになる写真も半分ぐらいあると思います、多分」。包丁と一緒で使い方。実際、霞除去を強くしたものと、霞除去を0にしてレベル補正したものを比べて、「霞んでいた方が手前の立体感が強く出て、画面の中に強弱がはっきりする。個人的にはこっちの方が好き」とレベル補正の方を選んでいました。


持ち帰りツール:レベル補正と霞除去、どっちを使うか

症状原因の種類使う機能注意
写真全体に薄い膜。クリアファイル越し。曇りの日で立体感がない画面全体に一律に起きている(レンズ・光の現象)レベル補正(シャドウ側・ハイライト側の三角を詰める)暗部はシルエットまでいかない程度に。カメラでは設定できない
逆光でハレーション気味、黒が浮く画面全体レベル補正同上
手前ははっきり、遠くほど白っぽく眠い。望遠の遠景、早朝の霧距離でコントラストが変わる(気象現象としての霞)トーン>霞除去レベル補正で取ろうとすると手前が先に固くなる
情景として霞ませて撮った風景意図した霞使わない(レベル補正で強弱だけ付ける)霞除去で悪くなる写真は半分くらいある
空だけもっと重たい曇りにしたい(雪の白さは変えずに)部分の表現部分補正>段階補正フィルター(ハーフNDと同じ考え方)空の部分に合わせて明度を落とす

最後の行は、横山さんが北海道の雪景色でやって見せたものです。レンズの前に付けるハーフグラデーションNDフィルターと同じように、真ん中の位置を決めて、空の部分だけ明度を落とす。雪の白さは変えずに、曇り空の重たさだけを出す。「明るい部分と重たい部分の差をつけて、そこで表現していく」。

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セミナーのまとめ:露出・WB・コントラストで「キャラクター」が決まる

この回の最後は、セミナー全体のまとめでした。露出、ホワイトバランス、コントラスト。これで写真全体のイメージ、キャラクターが決まる。ホワイトバランスなら朝撮った写真なのか夕方なのか、露出なら重い写真なのか軽い写真なのか、コントラストなら強い写真なのか優しい写真なのか。それに合わせて細かいところを後で調整する。写真を大幅に変える機能は、この3つとトーンカーブくらい。「簡単だったでしょ。基本的に操作はスライダーでほとんどできます。トーンカーブ以外ね」。


このダイジェストが向いていそうな人

  • ビルの屋上や河川敷から街を望遠で撮る仕事があって、遠景がガスって使い物にならないと諦めていた人。霞除去は「遠くほど強く効く」ので、この用途にはぴったりです
  • 早朝ロケの写真が全部眠い、と感じている人。まずレベル補正だけで「随分見れる写真が多くなる」はずです
  • 霞除去を常に最大にかけて、絵が固い、と言われている人。使わない方がいい写真が半分ある、という話です

レンタルで試す価値があるところ

レベル補正も霞除去も、効き方は写真によって、そして表示するモニターによって見え方が変わります。横山さんも途中で「パソコンのモニターと絵が違いすぎますね」と、会場のプロジェクターと手元のPCの差に引っかかっていました。自分の眠い写真を10枚持ち込んで、SILKYPIX入りのノートで「レベル補正だけ」「霞除去だけ」「両方」を並べて書き出し、自分のモニターで見比べる。それが、この使い分けを身につける一番早い方法です。


📦 膜が張った写真は、霞除去より先にレベル補正。霞除去は遠くにだけ効かせる道具です。
ダイジェストはこれで5本目、最終回です。RAWとは何か、から始まる全編アーカイブ(93分)の記事もあります。

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