メーカーの人が同席している解説動画では、どうしても言いにくいことがあります。この動画は配信エンジニアの酒井さんが1人で、ローランドから借りた実機とiPadを前に、「魅力」と「残念だったポイント」を同じ熱量で話しています。V-1-4Kを買うか借りるか決める前に、この後半だけは見ておいた方がいいです。
Sakai Filmworksの「新発表の4KスイッチャーRoland V-1-4Kについて深堀って話す」。PRONEWSでの伊藤さんとの対談動画(40分弱)で語れなかった部分を、酒井さん自身のチャンネルで補足した27分です。
※この動画はパンダスタジオの動画ではありません。「Sakai Filmworks」さんの公開動画を、参考になった動画として紹介しています。
動画で見るべきは6分〜13分の音声の話です。入力側と出力側の両方にディレイがある意味を、会場の拡声と配信のリップシンクを例に、身振りを交えて説明しています。文章にすると分かりにくい話なので、ここは動画の方が早い。
動画のRoland V-1-4Kは、パンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。「自分の現場の音の遅れをこれで吸収できるか」は、会場に持ち込まないと分かりません。
→ Roland V-1-4K:
ROIは「4アングル」だから意味がある
酒井さんは以前から2入力のROI付きスイッチャーを持っていて、カメラ側のアプリでもROIができる時代になってきた、と前置きしたうえで、V-1-4Kの最大4アングルを評価しています。2アングルでは話者が2人いたときに足りない、3人いたら引き+3人分の寄りが欲しい。「センターから寄りを撮っていたカメラを1台減らして、その1台を下手からの斜めに回せる」というのは、2カメ運用をしている人にしか出てこない発想です。
音声処理が「変態的」に充実している
酒井さんの表現をそのまま借りると「変態的」。VR-6HDユーザーの酒井さんが、V-1-4Kにも同じ系統の音声機能が入っていると驚いている部分です。
| 機能 | 何ができるか | 酒井さんが挙げた現場での使い方 |
|---|---|---|
| 入力ごとのディレイ・EQ・コンプレッサー | XLRとHDMI 5系統すべてに個別設定 | カメラごとに遅れが違うときの個別調整 |
| 出力側のディレイ | メインバス・AUXごとに別々に遅らせられる | 配信に使うバスだけディレイをかけてリップを合わせ、会場拡声に使うAUXにはかけない。会場の人は自然に聞こえ、配信は口と音が合う |
| メインバス・AUXのグラフィックEQ | 特定周波数を狭く落とせる | 会場拡声でハウリングしやすい周波数を先に切る。耳障りな高域を下げる |
| AUX映像バス2系統 | スクリーン用と返しモニター用に別の映像 | 「PowerPointのノート(台本)を返しに出したい」演者と「スライド全画面がいい」演者を切り替える |
出力ディレイの話は、六本木のホテルで英語対応の映像オペレーターをしている現場での実例が出てきます。会場のLEDモニターに遅延があってリップが合わない、でも入力でディレイをかけると配信にも影響する。入出力それぞれにディレイがあるとディレイ管理を別々にできる、これが「ありがたい」理由です。
AUX 2系統については「返しに台本を出したいという相談を受けると、今はそのためだけにV-02HDをもう1台用意している」と。それがV-1-4K 1台で済むので、「施設のホールや会議室に置いておくスイッチャーにめっちゃ向いている」という評価でした。
向いている現場:低予算2カメのリッチ配信、4Kスイッチング収録、4分割伝送
酒井さんが挙げた3つを、そのまま書きます。
- 低予算で2カメしかないけど、いろんな絵を使ってリッチに配信したい現場。ROIで寄りを増やせる
- ピアノやバレエの発表会、合唱コンクールなど、基本は収録で、編集工数を減らすためにスイッチングした状態で4K収録しておきたい仕事。4Kで残しておけば後からデジタルズームでHD納品もできる
- スポーツ中継で4分割マルチ映像を4Kで伝送し、受け側でROIでばらして4ソースとしてスイッチングする使い方。1画面で送るので4カメの同期が取れる。以前3×3バスケの配信で同じことをソフトでやっていたのが、ハードで完結する
残念だったポイント:PinPが1系統、メモリー切替が一瞬止まる、マクロがない
ここがこの動画の価値です。酒井さんはビジネス系配信でスライドとカメラを分割して並べる「割り絵」を多用していて、VR-6HDではPinPを2つ使ってシーンに登録し、ボタン1つで呼び出しています。V-1-4Kでは、
- PinPが1系統しかないので、2つのソースを両方小さくする割り絵が素直には作れない。スライドをPinPで小さくし、カメラは全画面のまま演者を端に寄せ、DSKで上下の帯を入れれば「できなくはない」
- メモリーで呼び出すと一瞬止まり、1フレームでパッと切り替わらない。VR-6HDのようなシームレスなシーン切替にはならない
- マクロ機能がないので、その辺りのオペレーションを自動化できない
結論として「資料がある配信は、資料を取り切りにしてPinPでカメラを入れる形になる」。ただ酒井さんはお客さんが「資料の文字がPinPで隠れるのを嫌がる」ことも多いと言っていて、そこは割り絵とどちらを取るかの問題。一方でPinPのソースにROIで切り出した顔アップを選べるので、テレビのワイプのように演者の顔だけを出し、iPadで追従させる使い方は「いいなという気もしなくはない」とも。それでも「割り絵を作りたい人にはちょっと向いていないかも」が最終的な判断でした。
この動画が参考になりそうな人・現場
- 会場拡声と配信を同じスイッチャーから出していて、リップシンクとハウリングの両方に困っているホール・会議室のオペレーター
- スライド+カメラの割り絵を常用しているビジネス配信の担当者。V-1-4Kで足りるか、VR-6HDが必要かを決めたい人
- 発表会・コンクールをスイッチング収録して納品している映像業者
レンタルで試す価値があるところ
出力ディレイやグライコは、会場のスピーカーとモニターの遅延があって初めて効果が分かる機能です。会社のデスクで触っても価値が見えません。本番の会場で、自分のマイクとスピーカーで「配信はリップが合っていて、会場は自然」が作れるかを試すのが、この機材の一番のレンタル理由だと思います。そして割り絵が必須の人は、同じ日にVR-6HDも並べて、シーン切替の速さを自分の目で比べてください。両方を貸しているレンタル屋だから言えますが、ここは好みではなく運用で決まります。
Roland V-1-4K/VR-6HDのレンタルはこちら
→ Roland V-1-4K:
酒井さんが比較対象にしていた、PinP 2系統とシームレスなシーン切替を持つAVミキサー。割り絵運用が多い人はこちらも一緒に。
→ Roland VR-6HD:
用途別に探すなら
ローランドのスイッチャー・AVミキサーを並べて比べたい人
会場拡声も含めて機材を揃えたい人
最新の入荷機材をチェックしたい人
→ 新着機材一覧
📦 「向いていないかも」まで言ってくれる動画は貴重です。自分の現場がどちら側かは、借りて確かめてください。
