ライブやレコーディングの現場において、エレキギターやベースのサウンドをミキサーへ高品質なまま届けることは、プロフェッショナルな音響構築の基本です。そのために欠かせないPA機材が「ダイレクトボックス(DI)」であり、中でもBOSS(ボス)の「DI-1」は長年にわたり業界標準として絶大な支持を集めています。本記事では、アクティブDIの代表格であるBOSS DI-1の基本機能から、ファンタム電源やアッテネーター、グランドリフト、フェイズスイッチといった多彩な機能の活用方法までを詳しく解説いたします。さらに、インピーダンス変換やアンバランスからバランス(XLR)への変換メカニズム、BOSE(ボーズ)などのスピーカーシステムと組み合わせた実践的な音作り、ノイズ対策に至るまで、現場で役立つノウハウを網羅しました。高品質なコンバータとして機能するBOSS DI-1のポテンシャルを最大限に引き出し、ライブやレコーディングのクオリティを飛躍的に向上させるための指南書としてご活用ください。
ライブPA機材におけるBOSS DI-1の重要性と基本概要
ダイレクトボックス(DI)がライブやレコーディングで必須となる理由
ライブやレコーディングの現場において、ダイレクトボックス(DI)は音響システムの根幹を支える必須のPA機材です。エレキギターやベース、キーボードなどの電子楽器から出力される信号は、一般的にノイズに弱く長距離の伝送に向かない特性を持っています。これらの楽器を直接ミキサーに接続すると、ケーブルの長さによる音質劣化や外部からの電磁ノイズの混入が避けられません。そこで、ダイレクト・ボックスを介在させることで、楽器からの信号をミキサーなどの業務用音響機器が受け取りやすい形式に変換し、信号の純度を保ったまま伝送することが可能になります。特に大規模なライブ会場や厳密な音質が求められるレコーディングスタジオでは、この変換プロセスがサウンドのクオリティを決定づけるため、DIの導入はプロフェッショナルな現場における常識となっています。
アンバランス信号からバランス信号(XLR)への変換メカニズム
ダイレクトボックスの最も重要な役割の一つは、楽器から出力される「アンバランス信号」を、ノイズに強い「バランス信号(XLR)」へと変換するコンバータとしての機能です。一般的なエレキギターやベースで使用されるシールドケーブルはアンバランス伝送であり、芯線とシールド線の2極構造のため、外部ノイズを拾いやすいという弱点があります。一方、ミキサーへ送るためのXLRケーブルによるバランス伝送は、ホット(正相)、コールド(逆相)、グラウンド(接地)の3極構造を採用しています。DI内部で元の信号から逆相の信号を作り出し、受信側(ミキサー側)で再び位相反転させて合成することで、伝送途中で混入したノイズだけを打ち消すことができるのです。この優れた変換メカニズムにより、数十メートルに及ぶ長距離のケーブル引き回しを行っても、クリアでノイズレスな音声信号をミキサーやBOSE(ボーズ)などのメインスピーカーシステムまで届けることが可能となります。
楽器本来の音質を守るインピーダンス変換の役割
アンバランスからバランスへの変換と並んで重要なのが、「インピーダンス変換」の機能です。パッシブタイプのエレキギターやベースは「ハイ・インピーダンス」という電気的特性を持っており、そのまま「ロー・インピーダンス」入力仕様のミキサーに接続すると、いわゆる「インピーダンスの不整合(アンマッチング)」が発生します。この状態では、高音域が極端に削られてこもった音になったり、全体の音量が著しく低下したりと、楽器本来の豊かなトーンが失われてしまいます。BOSS DI-1のようなダイレクトボックスを使用することで、ハイ・インピーダンスの楽器信号をロー・インピーダンスに変換し、ミキサーへ適切に受け渡すことができます。これにより、ピックアップが捉えた繊細なニュアンスやアタック感を損なうことなく、原音に忠実なサウンドをPAシステムへと伝送することが可能になるのです。
業界標準機「BOSS DI-1」が長年プロの音響現場で支持される背景
数あるダイレクト・ボックスの中でも、BOSS(ボス)の「DI-1」は数十年以上にわたり、日本のライブハウスやレコーディングスタジオで「業界標準(デファクトスタンダード)」として君臨し続けています。その最大の理由は、過酷なプロの現場に耐えうる圧倒的な耐久性と、一切の妥協を排した信頼性の高さにあります。頑強な金属製シャーシに守られた内部回路は、アクティブDIならではの広帯域かつフラットな周波数特性を実現しており、どんな楽器を接続しても色付けのないピュアなサウンドを提供します。また、暗いステージ上でも視認しやすいデザインや、直感的に操作できるスイッチ類の配置など、現場のエンジニアの声を反映した実用的な設計も高く評価されています。PA機材としての基本性能の高さと、トラブルの少なさが、BOSS DI-1が世代を超えて愛され続ける理由と言えるでしょう。
アクティブDI「BOSS DI-1」が誇る4つの主要機能
安定した駆動を実現するファンタム電源と電池の2電源方式
BOSS DI-1は、内部に増幅回路を持つ「アクティブDI」であり、その駆動には電源が必要です。本機は、ミキサー側からXLRケーブル経由で供給されるファンタム電源(+48V)と、内部に搭載する9V乾電池(006P型)の2電源方式を採用しています。通常はミキサーからのファンタム電源で駆動させることで、電池切れの心配なく安定した運用が可能ですが、ファンタム電源を供給できない簡易的なミキサーやオーディオインターフェースを使用する場合でも、電池駆動により問題なく機能します。さらに、ファンタム電源と電池の両方が供給・セットされている状態では、自動的に電源供給が切り替わるオート・パワー・オン/オフ機能を備えており、万が一ライブ中にファンタム電源の供給が途絶えたとしても、瞬時に電池駆動へ切り替わるため、音声の途切れを防ぐフェイルセーフ設計となっています。この堅牢な電源管理システムが、現場での絶大な安心感を生み出しています。
過大入力を最適化し歪みを防ぐ3段階アッテネーター機能
多様な出力レベルを持つ楽器に柔軟に対応するため、BOSS DI-1には入力信号のレベルを減衰させる「アッテネーター(ATT)」機能が搭載されています。スイッチ一つで「0dB」「-20dB」「-40dB」の3段階から選択可能であり、接続する機器に合わせて最適なゲイン調整が行えます。例えば、一般的なパッシブピックアップのエレキギターやベースであれば「0dB」で問題ありませんが、出力の大きいアクティブベースや、シンセサイザーなどのラインレベル機器を接続する際は、入力信号が大きすぎてミキサー側で音声クリップ(歪み)が発生するリスクがあります。そのような場合にアッテネーターを「-20dB」や「-40dB」に設定することで、過大入力を適切なレベルまで抑え込み、クリアで歪みのないサウンドを維持することができます。この機能により、DI-1は単なる楽器用コンバータにとどまらず、幅広い音響機器のインターフェースとして重宝されています。
ノイズ対策に不可欠なグランドリフト・スイッチの効果
複数のPA機材を接続する複雑な音響システムにおいて、アース(グラウンド)の電位差によって生じる「グランドループ」は、不快なハムノイズ(ブーンという低周波ノイズ)の主な原因となります。BOSS DI-1には、この問題を物理的に解決するための「グランドリフト・スイッチ」が標準装備されています。このスイッチを「LIFT」側に切り替えることで、DI-1の入力側と出力側(XLR端子の1番ピン)のグラウンド接続を意図的に切り離し、グランドループの形成を遮断します。ライブハウスやスタジオなど、電源環境が複雑な場所で原因不明のノイズに見舞われた際、ミキサー側の設定を変えることなく、手元のDI-1のスイッチ操作ひとつでノイズを劇的に低減できるこの機能は、現場のエンジニアにとってまさに救世主と言える極めて実用的な機能です。
位相問題を瞬時に解決するフェイズスイッチの実用性
レコーディングやライブにおいて、ベースアンプの出力をマイクで拾った音と、DI-1から直接ミキサーへ送ったライン音をミックスする手法は広く用いられています。しかし、この際にマイクの設置位置や機材の特性によって、2つの信号の間に「位相(フェイズ)」のズレが生じることがあります。位相が逆転した状態で音を混ぜ合わせると、特定の周波数帯域(特に低音域)が打ち消し合う「フェイズキャンセル」が発生し、音が細くなってしまいます。BOSS DI-1に搭載されている「フェイズスイッチ」を使用すれば、出力されるバランス信号のホット(2番ピン)とコールド(3番ピン)の極性を瞬時に反転させることが可能です。これにより、ミキサー側での複雑なルーティングやケーブルの配線変更を行うことなく、手元で素早く位相を揃え、芯のあるファットなベースサウンドを構築することができます。
エレキギター・ベースにおけるDI-1を活用した音作りの4つのポイント
ベースの低音域をクリアかつタイトに出力するためのセッティング
ベースの音作りにおいて、DI-1の役割は単なる信号変換にとどまりません。ベースの魅力である重低音を、輪郭を保ったままクリアにミキサーへ届けるためには、適切な入力レベルの管理が不可欠です。まず、ベース本体のボリュームを最大にした状態で、DI-1のアッテネーターを調整します。アクティブベースの場合は出力が高いため、-20dBに設定することでヘッドルームに余裕を持たせ、アタック時の不要な歪みを防ぎます。また、DI-1のアクティブ回路は非常にレスポンスが良く、スラップ奏法時の鋭いトランジェント(アタック音)も正確にキャプチャします。この特性を活かすため、ミキサー側ではEQを過度に操作せず、DI-1から送られてくるフラットでタイトな原音をベースに音作りを行うことで、アンサンブルの中で埋もれない、存在感のあるベースラインをPAスピーカーから出力することが可能になります。
エレキギターのアタック感やニュアンスを損なわない接続手法
エレキギターをライン接続でレコーディングする際や、アコースティックシミュレーターを使用するライブ環境において、DI-1を介した接続はピッキングの繊細なニュアンスを保つために極めて有効です。ギターのハイ・インピーダンス信号は、ケーブルが長くなるほど高音域が減衰する「ケーブルキャパシタンス」の影響を強く受けます。これを防ぐため、ギターからDI-1までのアンバランス・ケーブルは可能な限り短いもの(3m程度以内)を使用し、DI-1の直前でインピーダンス変換を行うのが鉄則です。DI-1によってロー・インピーダンス化された信号は、その後数十メートルのXLRケーブルを経由しても、きらびやかな高音域やピッキングのアタック感を一切損なうことなくミキサーへ到達します。これにより、後段のプラグインエフェクトやミキサーの内蔵プロセッサーでの音作りが格段にスムーズになります。
アクティブDIならではのワイドレンジな周波数特性の活かし方
トランスのみで構成されるパッシブDIと比較して、電子回路を内蔵するアクティブDI(BOSS DI-1)は、より広帯域(ワイドレンジ)でフラットな周波数特性を持っています。この特性は、多弦ベースの地を這うような重低音から、アコースティックギターやシンセサイザーのきらびやかな超高音域まで、楽器が発するあらゆる周波数成分を余すことなく伝送できることを意味します。このワイドレンジ特性を最大限に活かすためには、接続するミキサーやBOSEなどのPA機材側でも、入力ゲインを適切に設定し、システムのダイナミックレンジを確保することが重要です。DI-1が提供する色付けのないピュアなサウンドは、エンジニアに対して「真っ白なキャンバス」を提供するようなものであり、EQやコンプレッサーを用いた積極的なサウンドメイキングの理想的な土台となります。
アンプとミキサーへ同時出力するパラレル・アウトの実践的活用
ライブステージにおいて、演奏者がモニターするためのステージアンプと、観客へ音を届けるためのメインPA(ミキサー)の両方に信号を送る必要があります。BOSS DI-1には、入力された信号をそのまま分岐して出力する「パラレル・アウト(LINK端子)」が備わっており、この用途に最適です。楽器からのケーブルをDI-1のINPUTに接続し、パラレル・アウトからステージ上のギターアンプやベースアンプへ接続します。同時に、XLRのバランス出力からミキサーへ接続することで、アンプのセッティング(EQやボリューム)に影響されることなく、クリーンな原音をPAエンジニアに渡すことができます。これにより、プレイヤーはステージ上で自分の好みの音量・音色で演奏を楽しみつつ、PAエンジニアは会場全体に最適なバランスで音響を構築できるという、理想的な分業体制が実現します。
レコーディング・ライブ現場でのトラブルを回避する4つの対策
グランドループによるハムノイズ発生時の具体的な対処法
ライブハウスやレコーディングスタジオで機材をセッティングした際、「ブーン」という低周波のハムノイズが発生した場合、最も疑うべき原因はグランドループです。これは、楽器のアンプとミキサーが異なる電源コンセントから給電されており、DIを介して両者のグラウンドが接続されることで、不要な電流のループが形成される現象です。このトラブルに見舞われた際の具体的な対処法として、まずはBOSS DI-1の側面にある「グランドリフト・スイッチ」を「LIFT」に切り替えてください。これにより、XLRケーブルのグラウンド線(1番ピン)が物理的に切断され、ループが断ち切られます。多くの場合、このワンアクションでハムノイズは完全に消失します。それでもノイズが収まらない場合は、照明機器などのノイズ源からオーディオケーブルを遠ざける、あるいは電源の供給元を同一の系統にまとめるなどの根本的な対策を講じる必要があります。
複数マイク使用時の位相干渉(フェイズキャンセル)の防ぎ方
ベースの音作りのために、DI-1からのライン出力と、ベースアンプのスピーカーユニットを狙ったマイク出力の2系統をミックスする際、位相干渉(フェイズキャンセル)による音痩せは頻繁に発生するトラブルです。音の波形がズレることで低音のパンチが失われたと感じた場合、まずはミキサーのフェーダーを操作して、ライン音とマイク音を単独で聴き比べ、両方を混ぜた時に音量が下がる、あるいは音がスカスカになるかを確認します。フェイズキャンセルが確認されたら、DI-1の「フェイズスイッチ」を切り替えてみましょう。極性が反転することで波形の山と谷が揃い、低音域が力強く蘇るはずです。また、マイクの設置距離を微調整することでも位相のズレは補正できますが、ライブの限られたリハーサル時間内では、DI-1のスイッチ操作による即座の位相反転が最も確実かつスピーディな解決策となります。
突発的な過大入力による音声クリップを回避する手順
ライブ本番中、プレイヤーのテンションが上がり、リハーサル時よりも強いピッキングで演奏されることは珍しくありません。この時、入力信号がDIやミキサーの許容範囲を超えてしまうと、不快なデジタルクリップ(音割れ)が発生し、ライブのクオリティを著しく損ないます。このような突発的な過大入力を回避するためには、事前のゲイン・ストラクチャー(ゲイン構成)の構築が重要です。DI-1のアッテネータースイッチを活用し、余裕を持ったヘッドルームを確保してください。例えば、リハーサル時の最大音量に合わせてアッテネーターを「0dB」に設定していてギリギリの場合は、あえて「-20dB」に下げ、その分ミキサー側のゲインで音量を稼ぐセッティングにしておくことで、本番での突発的なピークにも歪むことなく対応できます。安全マージンを確保することが、プロフェッショナルなオペレーションの基本です。
ケーブルの長距離引き回しによる音質劣化・ノイズ混入の防止
大規模なライブ会場において、ステージ上の楽器から客席後方のPAブース(ミキサー)までは数十メートルもの距離があり、マルチケーブルを介した長距離の引き回しが行われます。アンバランス信号のままでは、この距離を伝送する間に高音域が失われ、外来ノイズの標的となってしまいます。音質劣化とノイズ混入を防止するための確実な対策は、信号の発生源(楽器)に可能な限り近い場所でBOSS DI-1を配置し、バランス信号(XLR)へ変換することです。バランス伝送は外部ノイズを相殺するメカニズムを持っているため、長距離伝送においても信号のピュアリティを保ちます。また、ステージ上でのケーブル配線時は、電源ケーブルと音声ケーブルを平行に這わせない(交差させる場合は直角にする)といった基本的なケーブルマネジメントを併用することで、DI-1のノイズ除去効果をさらに高めることができます。
ミキサーおよび各種PA機材への確実な接続を行う4つのステップ
楽器からDI-1へのアンバランス・ケーブルによる適切な入力
システム構築の第一歩は、エレキギターやベースなどの楽器からBOSS DI-1への確実な接続です。使用するケーブルは、標準的な1/4インチ・フォンプラグを備えたアンバランス・ケーブル(シールドケーブル)を使用します。楽器の出力ジャックから、DI-1の「INPUT」端子へ接続してください。この際、前述の通りケーブルキャパシタンスによる音質劣化を最小限に抑えるため、ケーブルの長さは必要最低限にとどめることが推奨されます。また、エフェクターボードを使用している場合は、ボードの最終出力からDI-1へ接続するのが一般的です。接続が完了したら、楽器のボリュームノブを適切な位置(通常はフルボリューム)に設定し、DI-1のアッテネーターを楽器の出力レベル(パッシブかアクティブか)に合わせて選択します。確実なプラグの差し込みを確認し、接触不良によるノイズを防ぎましょう。
DI-1からミキサーへのXLR(バランス)ケーブル接続
楽器からの入力が完了したら、次はDI-1からミキサーへの出力接続を行います。DI-1の「BALANCED OUT」端子に、マイクケーブルとして広く普及しているXLRケーブル(キャノンケーブル)のメス側を接続します。そして、ケーブルのオス側をミキサーの空いているマイク入力チャンネル(XLR入力)に接続します。このバランス接続により、ノイズに強いロー・インピーダンス伝送が確立されます。接続の際、DI-1側のXLR端子はロック機構を備えているため、「カチッ」と音がするまでしっかりと差し込むことが重要です。また、ステージ上のマルチボックス(スネークケーブル)を経由する場合も同様に、チャンネル番号を正確に把握し、ミキサー側の対応するチャンネルへ正しくルーティングされていることを確認してください。この確実な物理接続が、安定したPAシステムの土台となります。
ミキサー側からのファンタム電源供給と動作確認作業
物理的な接続が完了したら、BOSS DI-1を駆動させるための電源供給を行います。ミキサー側の該当チャンネル(またはミキサー全体のグローバルスイッチ)の「ファンタム電源(+48V)」スイッチをオンにします。DI-1はファンタム電源を受信すると自動的に電源が入り、本体上部のインジケーター(CHECKランプ)が点灯または明滅することで、正常に駆動していることを視覚的に確認できます。もしファンタム電源を供給してもランプが反応しない場合や、ミキサーにファンタム電源機能がない場合は、DI-1内部に9V電池が正しくセットされているかを確認してください。電源の確立が確認できたら、楽器を軽く演奏し、ミキサー側のPFL(プリ・フェーダー・リッスン)機能やレベルメーターを使用して、音声信号が適切なレベルでミキサーに到達しているかをチェックします。
BOSE(ボーズ)等のPAスピーカーシステムへ出力する際のゲイン調整
信号がミキサーに到達した後の最終ステップは、BOSE(ボーズ)などのメインPAスピーカーシステムへ向けて最適な音量と音質を作り上げるゲイン調整です。まず、ミキサーのチャンネルフェーダーをユニティ・ゲイン(0dB位置)に設定し、楽器を最も強いダイナミクスで演奏してもらいながら、チャンネルの「ゲイン(トリム)ノブ」を調整します。ピークインジケーターが赤く点灯しないギリギリのレベルに設定することで、S/N比(信号対雑音比)を最大化できます。BOSS DI-1から送られてくる信号は非常にクリアでノイズレスなため、ミキサー側でのEQ調整やコンプレッション処理が極めて効果的に機能します。メインミックスのフェーダーを上げ、BOSEのスピーカーから出力されるサウンドをリスニングしながら、会場の音響特性に合わせて最終的なトーン・シェイピングを行い、クリアで迫力のあるライブサウンドを完成させます。
BOSS DI-1導入に向けて押さえておくべき4つの検討事項
パッシブDIとアクティブDI(BOSS DI-1)の音質的・構造的違い
ダイレクトボックスの導入を検討する際、パッシブDIとアクティブDIの違いを理解することは非常に重要です。パッシブDIは内部にオーディオトランスのみを搭載し、電源を必要としません。構造がシンプルで過大入力に強い反面、入力インピーダンスが低くなりがちで、パッシブベースなどを直接接続すると高音域が劣化する(音痩せする)傾向があります。一方、BOSS DI-1に代表されるアクティブDIは、内部に増幅用のアンプ回路を搭載しており、ファンタム電源や電池で駆動します。極めて高い入力インピーダンスを持つため、楽器本来のきらびやかな高音域や繊細なニュアンスを一切損なうことなく、フラットかつワイドレンジにミキサーへ伝送できるのが最大のメリットです。エレキギターやベースの原音を忠実にPA機材へ届けたい場合、アクティブDIであるBOSS DI-1の選択が音質面で圧倒的に有利となります。
ライブハウス常設機材としての高耐久性と信頼性の評価
プロの現場におけるPA機材選びにおいて、音質と同等かそれ以上に重視されるのが「耐久性」と「信頼性」です。BOSS DI-1は、アルミダイキャスト製の堅牢なボディを採用しており、ステージ上で誤って踏まれたり、機材ケース内で他の機材とぶつかったりしても、内部回路が保護されるタフな構造を持っています。また、スイッチ類も誤操作を防ぐように一段窪んだ位置に配置されるなど、過酷なライブ環境を想定した設計が随所に見られます。このような徹底した現場主義の設計思想により、DI-1は全国のライブハウスやスタジオで「常設機材」として導入されています。「DI-1が置いてないライブハウスは無い」と言われるほど普及している事実は、いかなる環境下でも確実に動作し、エンジニアやミュージシャンの期待を裏切らないという、長年にわたる高い信頼性の証に他なりません。
類似するコンバータや他社製ダイレクト・ボックスとの比較
市場には数多くのダイレクト・ボックスやインピーダンス・コンバータが存在しますが、BOSS DI-1は他社製品と比較して独自の強みを持っています。例えば、海外製の高級DIの中には、特定の倍音成分を付加して「アナログらしい温かみ」を演出する機種(色付けのあるDI)もあります。これらは特定のジャンルには合致するものの、汎用性という点では一歩譲ります。対してBOSS DI-1は、徹底して「原音忠実(色付けのないフラットな特性)」を追求しており、どんな楽器、どんなジャンルの音楽にも対応できる極めて高い汎用性を誇ります。また、アッテネーター、グランドリフト、フェイズスイッチ、パラレル・アウトといった、現場で要求される必須機能を全て網羅しつつ、オート・パワー・オン/オフ機能による電源管理の安全性まで備えている点で、総合的な使い勝手において他社の追随を許さない完成度を誇っています。
費用対効果とプロフェッショナルな現場での長期運用実績
PA機材の導入において、費用対効果(コストパフォーマンス)は無視できない要素です。BOSS DI-1は、プロフェッショナルなレコーディングや大規模なライブツアーに耐えうる最高水準の音質と機能性を備えながらも、非常に手の届きやすい適正な価格帯で販売されています。一度導入すれば、その堅牢な作りにより10年、20年と長期間にわたって第一線で活躍し続けるため、投資に対するリターンは極めて高いと言えます。実際に、1980年代の発売以来、基本設計を大きく変えることなく現代のデジタルミキサー環境でも現役で使われ続けているという長期運用実績は、DI-1の完成度の高さを如実に物語っています。個人のミュージシャンからプロの音響業者まで、あらゆる層にとって、BOSS DI-1の導入は間違いのない、最も賢明な機材投資であると断言できます。
BOSS DI-1に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、BOSS DI-1やダイレクトボックスの使用に関して、現場でよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。
- Q1. BOSS DI-1はファンタム電源がなくても使用できますか?
A1. はい、使用可能です。内部に9V乾電池(006P型)をセットすることで、ファンタム電源を供給できないミキサーやオーディオインターフェースに接続しても、アクティブDIとして正常に機能します。 - Q2. パッシブのエレキギターを直接ミキサーに繋ぐのと、DI-1を経由するのでは何が違いますか?
A2. パッシブギターを直接ミキサーのライン入力に繋ぐと、インピーダンスの不整合により高音域が失われ、こもった音になります。DI-1を経由してインピーダンス変換を行うことで、ギター本来のきらびやかなトーンを損なうことなくミキサーへ送ることができます。 - Q3. アッテネーターのスイッチはどのように使い分ければよいですか?
A3. 一般的なパッシブベースやギターは「0dB」に設定します。出力の強いアクティブベースやキーボードを接続した際、ミミキサー側で音が歪んでしまう(クリップする)場合に「-20dB」や「-40dB」に下げて適切な入力レベルに調整します。 - Q4. グランドリフト・スイッチは常に「LIFT」にしておいても良いですか?
A4. 基本的には「NORMAL(グラウンド接続状態)」で使用します。複数の機材間でグラウンドループが発生し、「ブーン」というハムノイズが出た場合のみ「LIFT」に切り替えてノイズを遮断するのが正しい運用方法です。 - Q5. 自宅でのDTMレコーディングにもBOSS DI-1は役立ちますか?
A5. 大いに役立ちます。オーディオインターフェースのHi-Z入力を使用するよりも、DI-1を介してマイク入力(XLR)へバランス接続する方が、よりノイズが少なくフラットで高音質な録音が可能になるケースが多く、プロのDTM環境でも定番の手法です。
