今日の結論
今回の検討で見えてきた結論は、ざっくり言うとこの4つです。
- 100G本線:Blackmagic Ethernet Switch 820
- 10G支線:Blackmagic Ethernet Switch 360P
- 収録:HyperDeck ISO Recorder 100G + Cloud Store Ultra
- 音声:Fairlightは将来検証
つまり、ST 2110スタジオを組むときに、全部をなんとなくLANにつなぐのではなく、100Gの本線、10Gの支線、収録ストレージ、音声系を分けて考える必要がありそうです。
ここが今回の一番大きなポイントでした。
既存のSDIスタジオを置き換えるなら、中心はATEM 4 M/E Constellation IP
既存の配信スタジオでは、TriCasterやSDIルーターを中心に、カメラ、収録機、モニター、配信機材をつないでいるケースが多いと思います。
今回の検討では、その中心を ATEM 4 M/E Constellation IP に置き換える想定で考えました。
ATEM 4 M/E Constellation IPは、従来のSDI端子がたくさん並んでいるスイッチャーというより、ST 2110 / IPベースで映像を扱うための中核機材です。
そのため、従来の感覚で、
- カメラをSDIで直接スイッチャーに入れる
- 出力をSDIでモニターに送る
という考え方から少し変わります。
映像はIPネットワーク上を流れ、スイッチャー、モニター、収録機、変換機器がそのネットワークに参加するようなイメージです。
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100G本線はEthernet Switch 820
今回、一番重要だと感じたのが Blackmagic Ethernet Switch 820 の位置づけです。
最初は、10G系のスイッチだけで何とかならないかと思ってしまうのですが、ATEM 4 M/E Constellation IPやHyperDeck ISO Recorder 100Gのような機材をきちんと使おうとすると、100Gの本線が必要になります。
そこで、構成としては、
Ethernet Switch 820を100G ST 2110の中核スイッチにする
という考え方になります。
100G本線には、ATEM 4 M/E Constellation IP、StudioBridge 10G PWR、HyperDeck ISO Recorder 100Gなど、映像の太い流れを扱う機材を接続します。
ここは、単なる「速いLANハブ」ではなく、ST 2110映像ネットワークの幹線道路として考えた方がよさそうです。
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10G支線はEthernet Switch 360P
一方で、すべての機材が100Gでつながるわけではありません。
ST 2110対応の周辺機器、モニター、コンバーター、確認用機材などは、10G側に集約することになります。
そこで出てくるのが Blackmagic Ethernet Switch 360P です。
今回の構成では、
- 820 = 100G本線
- 360P = 10G ST 2110支線
という役割分担で考えました。
820で太い幹線を作り、360Pで10GのST 2110機器をぶら下げる。この考え方にすると、ST 2110スタジオの構成がかなり整理しやすくなります。
ただし、普通の社内LANと混ぜてはいけない
ここはかなり大事です。
ST 2110のネットワークは、普通の社内LANやインターネット回線、ファイル共有用LANと同じ感覚で扱うと危険です。
特に、以下は分けて考えた方がよさそうです。
- ST 2110映像ネットワーク
- 管理LAN
- ストレージLAN
- 配信・インターネット系LAN
- Danteなどの音声LAN
「LANケーブル1本でスッキリ」と言いたくなるのですが、実際の設計では、用途ごとにネットワークを分ける必要があります。
今回の動画でも話していますが、ST 2110の世界に、普通の社内LANやデータ転送用LANを何となく混ぜると、あとで痛い目を見そうです。
カメラ側はStudioBridge 10G PWRがポイント
カメラ側の構成では、Blackmagic StudioBridge 10G PWR が重要になりそうです。
Studio Camera系を使う場合、カメラから10Gで映像・制御・電源まわりを集約し、そこからST 2110の世界へつなぐ、という考え方です。
既存のSDIカメラをそのまま使う場合は、SDIからST 2110へ変換する機材も必要になります。
つまり、カメラ周りは大きく分けると、
- ST 2110 / 10G前提のカメラ構成に寄せる
- 既存SDIカメラを変換して取り込む
の2パターンになります。
既存スタジオ更新の場合は、いきなり全部をIPカメラ化するより、既存SDI資産をどこまで残すかも重要です。
収録はHyperDeck ISO Recorder 100G + Cloud Store Ultra
今回、収録系で面白いと思ったのが HyperDeck ISO Recorder 100G です。
ただし、ここも従来のHyperDeckとは少し考え方が違います。
HyperDeck ISO Recorder 100Gは、内蔵メディアにそのまま収録するというより、100Gネットワーク経由でCloud Store Ultraなどのストレージに収録する構成になります。
そのため、収録を考えるときは、
- HyperDeck ISO Recorder 100G
- Cloud Store Ultra
- 100Gストレージ接続
- 編集用ネットワーク
をセットで考える必要があります。
ここでも、ST 2110映像ネットワークと、ストレージ用ネットワークを同じものとして考えない方がよさそうです。
映像を流すネットワークと、収録データを保存するネットワーク。この2つは分けて設計した方が安全です。
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音声はFairlightを将来検証
音声については、今回の動画では深掘りしすぎないことにしました。
BlackmagicのFairlight系で音声まで統合できると、将来的にはかなり面白いです。ただ、現時点では実運用でどこまで安定して使えるか、検証が必要だと考えています。
そのため今回の結論としては、
音声はFairlightを将来検証
という位置づけです。
Danteや音声卓を含めた音声設計については、別途あらためて検討する予定です。
金額感は「主要機材だけなら現実的」。ただし周辺費は別
今回、機材構成をざっくり積み上げてみると、主要機材だけで見れば、思ったより現実的な金額感になりました。
もちろん、実際のスタジオ構築では、機材本体だけでは済みません。
別途必要になるものとしては、
- レンズ
- ケーブル
- QSFP / SFPモジュール
- ラック
- 電源まわり
- 施工費
- 設定費
- PTPグランドマスター
- 返しモニター
- 配信PC
- 音声機器
- 保守費用
などがあります。
なので、「この金額で全部完成」という話ではありません。
ただ、BlackmagicのST 2110機材を中心にすると、100G IPスタジオという言葉から想像するよりは、現実的な入口が見えてきます。
ロング版:実際に悩みながら構成を組んでいる様子
ここまでのダイジェスト版では、結論を中心にまとめました。
一方で、実際には機材表を見ながら、
- これは必要なのか?
- 820と360Pはどう分けるのか?
- HyperDeck ISO Recorder 100Gはどこに収録するのか?
- ST 2110のネットワークとデータ用100Gは分けるべきでは?
と、かなり悩みながら構成を組んでいます。
その検討過程も含めて見たい方向けに、ロングバージョンも置いておきます。
ST 2110は“ケーブルを減らす魔法”ではなく、設計の考え方を変えるもの
今回考えてみて感じたのは、ST 2110は単に「SDIケーブルをLANケーブルに置き換える」だけの話ではない、ということです。
もちろん、物理的な配線は整理しやすくなります。ただし、その分、
- 100G本線をどこに作るか
- 10G支線をどう分けるか
- PTP同期をどう扱うか
- 管理LANをどう分けるか
- ストレージネットワークをどう分けるか
- 音声をどう統合するか
といった設計が重要になります。
SDI時代は、ケーブルを見ればある程度流れが分かりました。IPになると、見た目はLANケーブルでも、中で何が流れているかをきちんと設計しておかないと分かりにくくなります。
だからこそ、最初に構成図を作り、820と360Pの役割、収録系、管理系、音声系を分けて考えることが大事だと思います。
まとめ
今回の構成案では、Blackmagic ST 2110機材を使って、既存のSDI中心スタジオをIPベースに置き換える場合を考えました。
結論はシンプルです。
- 100G本線は Ethernet Switch 820
- 10G支線は Ethernet Switch 360P
- 収録は HyperDeck ISO Recorder 100G + Cloud Store Ultra
- 音声は Fairlightを将来検証
ST 2110はまだまだ検証が必要な部分もありますが、スタジオ更新の選択肢として、かなり現実的になってきた印象です。
今後、Danteを含む音声設計、PTPグランドマスター、実際の配線、既存SDI機器との接続なども、引き続き検討していきたいと思います。

