現場から映像を送る作業は、怖い作業。
カメラは映っている。
音も来ている。
でも出先で受け取れない、ってことありますね。
ネットワークが不安定?
Wi-Fiだけでは不安。
有線LANが取れるとは限らない。
SIM回線も使いたい。
できれば複数回線を束ねたい。
しかも受け側では、配信先やSDI出力も管理したい。
そういう「現場あるある」を、かなり現実的に受け止めている製品がありました。
韓国・ソウルで開催された KOBA Show 2026 のKiloviewブースで見てきたのが、Kiloview P3 と KiloLink Station Pro です。
今回の話は、単なる小型エンコーダーの紹介ではありません。
P3で現場から映像を送り、KiloLink Station Proで受けて、管理して、必要な形で出力する。
この一連の流れがかなり面白い内容でした。
- まず主役はKiloview P3。ワイヤレス・ボンディング対応のストリーミングエンコーダー
- P3単体ではなく、KiloLink Station Proと組み合わせる
- SDI出力できるのが地味に強い
- 最大8台のP3を受けられる。複数拠点・複数カメラに効きそう
- Web UIがかなり現場向き。状態が見えるのは大事
- ハードウェア版だけでなく、ソフトウェア版もある
- ドラッグ&ドロップで出力先を管理できるのは良さそう
- P3だけではなく、AVXなど他のKiloview機器も管理できる
- パンダスタジオ的に気になる使い方
- これは“エンコーダー単体”ではなく、現場映像の集約システム
- まとめ:現場から映像を送る“面倒くささ”をまとめて引き受ける機材
まず主役はKiloview P3。ワイヤレス・ボンディング対応のストリーミングエンコーダー
説明の中心にあったのは、Kiloview P3 です。
P3は、ワイヤレス・ボンディングに対応したストリーミングエンコーダーとして紹介されていました。
最大4Kまで対応し、入力は SDI、HDMI、USB に対応。現場で使うカメラや映像機器をつないで、IP経由で配信・伝送するための機材です。
面白いのは、ネットワークまわりの柔軟さです。
Wi-Fi。
有線LAN。
SIMカード。
4G / 5Gモジュール。
現場の回線状況に合わせて、構成を選べるようになっています。
ライブ配信の現場では、これが本当に大事です。
「この会場は有線LANがあるはずです」と言われて行ってみたら、ポートが遠い。
Wi-Fiはあるけど混んでいる。
携帯回線は場所によってムラがある。
そんなことは普通にあります。
P3は、そういう不確実な現場で、複数の回線を組み合わせて運用するための機材として見えるのが良いところです。
P3単体ではなく、KiloLink Station Proと組み合わせる
今回の説明で重要だったのが、P3の受信側として KiloLink Station Pro が出てくることです。
P3から送った映像ストリームを、KiloLink Station Proで受ける。
そこでボンディングし、必要なプロトコルや出力形式に変換して、配信やモニター出力へ回していく。
字幕では、KiloLink独自のプロトコルを使ってP3からStation Proへ送信し、Station Pro側で処理する、という説明になっていました。
出力プロトコルとしては、SRT、RTMP、RTSP などのIP系プロトコルが出てきます。
字幕上では「NDI-X」と出ていますが、これは文脈的には NDI HX の誤認識と思われます。
また「HS」はおそらく HLS でしょう。
つまり、P3から来た映像を、配信向け、IP伝送向け、NDI系ワークフロー向けに出せるということです。
この時点で、かなり現場向きです。
SDI出力できるのが地味に強い
KiloLink Station Proは、IPで受けた映像を扱うだけではなく、SDI出力にも対応しているようです。
説明では、4つのSDI端子を備えていて、ディスプレイや機器に直接出力できるという話がありました。
これはかなり重要です。
配信システムの中では、全部がIPだけで完結するとは限りません。
現場モニターに出したい。
スイッチャーに戻したい。
レコーダーに入れたい。
別の部屋へSDIで送出したい。
配信用と会場確認用を分けたい。
そういうとき、受け側でSDIに戻せるのは安心感があります。
IP伝送は便利ですが、現場ではまだまだSDIの信頼感も強い。
その橋渡しをしてくれるのが、KiloLink Station Proの役割のひとつだと思います。
最大8台のP3を受けられる。複数拠点・複数カメラに効きそう
説明では、KiloLink Station Proは 最大8台のP3を同時接続できる と紹介されていました。
これは単なる1対1伝送ではなく、複数の現場・複数のカメラをまとめて受ける運用を想定しているということです。
たとえば、
- イベント会場内の複数カメラ
- 屋外中継ポイント
- 離れた会場からの映像
- 複数の移動カメラ
- 展示会場内の別ブース中継
- スポーツや式典のサブカメラ
こういう場面で、P3を複数台使い、Station Pro側でまとめて管理する。
この考え方は、パンダスタジオ的にもかなり気になります。
単発のエンコーダーではなく、現場映像を集約する仕組みとして使えるからです。
Web UIがかなり現場向き。状態が見えるのは大事
動画内では、P3やKiloLink Station ProのWeb UIも紹介されています。
現在の入力状態。
HDMI接続の確認。
オーディオ状態。
ネットワーク状態。
Wi-Fi、有線LAN、SIMカードの状況。
CPU、メモリ、温度。
接続中のデバイス一覧。
こういう情報をまとめて見られるのは、地味ですがかなり重要です。
ライブ配信や中継で一番困るのは、「何が悪いのか分からない」状態です。
映像が来ない。
音が来ない。
配信が不安定。
でも、原因がカメラなのか、ケーブルなのか、エンコーダーなのか、ネットワークなのか、受け側なのか分からない。
UIで状態が見えるだけで、トラブル対応の速度が変わります。
P3の画面では、Local StreamモードとBondingモードのような切り替えも紹介されていました。
単一ストリームでよい場合はLocal Stream、複数回線を束ねたい場合はBonding。
この切り替えが分かりやすいのは良いですね。
ハードウェア版だけでなく、ソフトウェア版もある
面白かったのが、KiloLink Station Proにはハードウェアとしての運用だけでなく、ソフトウェア版の話も出ていたことです。
字幕では、KiloLink Station ProのソフトウェアをAWSサーバーに展開すれば、さらに別の運用形態が可能になる、という説明がありました。
これはかなり重要です。
受信側を必ずしも物理機材として置かなくてもよい。
クラウド上に受け側を立てて、そこにP3から映像を送る。
そこから必要な場所へ配信する。
この考え方になると、現場の映像伝送はかなり柔軟になります。
たとえば、地方会場からクラウドへ送る。
クラウドで受けて、制作拠点や配信先へ振り分ける。
複数拠点からの映像を一箇所で管理する。
いわゆるリモートプロダクションやクラウド中継の文脈にもつながってきます。
ドラッグ&ドロップで出力先を管理できるのは良さそう
KiloLink Station ProのUIでは、出力先のSDI端子やストリームを操作する場面も出ていました。
説明では、操作はドラッグ&ドロップで簡単にできるとのこと。
Local Streamを追加し、必要に応じてNDI HX、RTSP、RTMP、SRT、HLSなどのプロトコルを選ぶ。
このあたりは、使い方が直感的ならかなり強いです。
配信現場では、細かい設定項目が多い機材ほど、慣れていない人には怖くなります。
IPアドレス、ポート番号、プロトコル、ストリーム名、入力、出力、遅延、回線状態。
全部大事ですが、全部を毎回手作業で追うのは大変です。
そこをUI上で見やすくし、ドラッグ&ドロップで扱えるなら、オペレーションの負担はかなり下がります。
P3だけではなく、AVXなど他のKiloview機器も管理できる
KiloLink Station Proは、P3のレシーバーとしてだけ使うものではないようです。
説明では、ボンディングソフトウェアであると同時に、Kiloviewのデバイス管理にも使えるという話がありました。
接続中の新製品として AVX という名前も出てきています。
つまり、Station Proは単なる受信機ではなく、Kiloview機器をまとめて管理するハブのような役割も持っているようです。
ここは非常に良いです。
機材が増えてくると、1台ずつWeb UIに入って設定するのは大変です。
複数台のP3、他のエンコーダー、デコーダー、NDI機器などが増えたときに、管理画面から状態確認や設定画面へ飛べるのは、現場運用ではかなり助かります。
パンダスタジオ的に気になる使い方
パンダスタジオの現場目線で見ると、この組み合わせはかなり用途があります。
まず、イベント会場からの中継。
有線LANが不安な会場や、屋外・仮設会場では、4G / 5G / Wi-Fi / 有線LANを組み合わせられるP3は相性が良さそうです。
次に、展示会やイベントでの複数地点中継。
ブースA、ブースB、ステージ、受付、別会場。
それぞれにP3を置いて、KiloLink Station Proで受ける。
そこからSDIでスイッチャーに戻したり、SRTやRTMPで配信したりする。
さらに、クラウドや遠隔制作。
KiloLink Station Proのソフトウェア版をクラウドに置けるなら、リモートプロダクション的な運用も見えてきます。
パンダスタジオでは、ライブ配信、イベント収録、企業向けスタジオ構築などで、こういう「現場から安全に映像を送る」仕組みはかなり重要です。
Kiloviewのこの組み合わせは、その候補として気になります。
これは“エンコーダー単体”ではなく、現場映像の集約システム
P3だけを見ると、「小型のボンディングエンコーダーですね」で終わってしまうかもしれません。
でも、KiloLink Station Proと一緒に見ると、印象が変わります。
P3で現場から送る。
Station Proで受ける。
複数台を管理する。
ネットワーク状態を確認する。
SDIで出す。
SRT、RTMP、RTSP、NDI HX、HLSなどに変換する。
クラウド運用も考えられる。
他のKiloview機器も管理する。
つまりこれは、現場映像を集約して、必要な形に変換して、配信・制作へ渡すシステムです。
この見方をすると、かなり実用的です。
まとめ:現場から映像を送る“面倒くささ”をまとめて引き受ける機材
Kiloview P3とKiloLink Station Proの組み合わせは、派手なカメラやライトのように、見た瞬間に分かりやすい製品ではありません。
でも、ライブ配信や中継の現場では、かなり効くタイプの機材です。
P3は、SDI / HDMI / USB入力に対応したワイヤレス・ボンディング・ストリーミングエンコーダー。
4G / 5G、Wi-Fi、有線LAN、SIMカードなど、現場の回線状況に合わせた運用ができます。
KiloLink Station Proは、P3からの映像を受け、最大8台のP3を管理し、SDI出力やSRT / RTMP / RTSP / NDI HX / HLSなどのプロトコルに対応。
さらにWeb UIでネットワーク状態やデバイス状態を確認し、必要な出力先へ振り分けられます。
これは、現場から映像を送るときの「面倒くささ」をかなり引き受けてくれる仕組みです。
映像制作やライブ配信の現場では、きれいな画を撮ることだけでなく、その映像を安全に、安定して、必要な場所へ届けることが大事です。
Kiloview P3とKiloLink Station Proは、まさにその部分を支える機材として、かなり気になる存在でした。
パンダスタジオでは、引き続きKOBA Show 2026の現地レポートとして、映像制作・ライブ配信・中継・スタジオ構築に役立ちそうな機材を紹介していきます。