指向性マイクと環境音用のステレオマイク、ロケでは2本持っていくのが普通です。SaramonicがIBC 2026で見せたSG MS1は、それを1本でやります。M-S(Mid-Side)方式で、前を狙う音と周囲の環境音を同時に収録。しかも本体内でL/Rにデコードしてカメラに直接つなげて、収音角度は50度から140度まで手元で回せる。プロの録音技師向けの「生のM-S出力」と、カメラユーザー向けの「デコード済み出力」の両方を持っているのがポイントです。
Saramonicはパンダスタジオレンタルで一番出番の多いマイクメーカーの一つ。K9、WiTalk9、Blink 500の「次」が、この11分に詰まっています。
動画で見た方が早いのは、SG MS1の収音角度を変える実演です。Midだけの音から、Sideを足して広がる音へ、逆にSideだけにして中央の音を抜いた環境音へ。角度のつまみを回しながら「いまリアルタイムに収録しています」と説明する場面は、文章より映像で聞いた方が納得できます。
SG MS1をはじめ今回の新製品は現時点で新規取り扱い候補です。動画の後半で「壁一面」と紹介されるUHFシステムの中核、K9はパンダスタジオレンタルで借りられます。
→ 動画のUHFラインアップの中核、B帯ワイヤレスの定番:
SG MS1:指向性+8の字を1本に。生のM-Sも、デコード済みL/Rも出せる
担当者の説明を整理すると、SG MS1は指向性のあるマイク(Mid)に8の字特性のマイク(Side)を組み合わせたM-S方式のマイクです。従来は複数のマイクを組み合わせていた構成が1本に収まる、リアリティ番組やロケで「マイクを2本用意する必要がない」、後処理や編集にも便利、という位置づけでした。
面白いのは出力が2系統あること。
- 5ピン端子→XLR×2:未処理のM-S信号をそのまま出す。プロの録音技師が編集ソフトで後から角度を決めるための出力
- カメラ用端子:内蔵バッテリーで動かし、本体内でM-Sをデコードして左右のステレオ信号で出力。そのままM-S方式のオンカメラマイクとして使える
「以前はカメラユーザーがこういう空間の広がりを体験できなかった」と担当者。収音角度は50度から140度まで本体で調整でき、90度に設定すれば90度の範囲で収録、最小にもできる。Midだけ→M-Sを組み合わせた音→Sideだけ(中央の音を除いた環境音)と、つまみ一つで音の広がりが変わります。USB-C経由でスマートフォンにも接続でき、アプリからも角度を調整できるとのこと。「気になる音があればこれ1本ですぐ録り始められる」という手軽さが売りです。
CineBuff、バイノーラル、SG Mic:K9まわりのアクセサリーと新マイク
ブース説明はK9 UHFシステム向けのアクセサリーCineBuffシリーズから始まりました。録音技師や撮影チーム向けのベルトや装着用シールで、ラベリアマイクの収録時に衣擦れなどのノイズを抑えるためのもの。地味ですが、ラベリアの現場では一番困るところです。
続いてバイノーラル収録用の新製品(製品名は動画内で出ず)。没入感のある録音や環境音の収録に使い、左右のチャンネルで立体的に録るシステム。そしてカメラに取り付けて使う指向性マイクのSG Mic。ここまでで「指向性のある音、環境音、立体的な音」を一通りカバーする構成だ、という説明でした。
K9 XTX:プラグオン送信機で、ブームポールをワイヤレスに。防水ケースも
UHFシステムにはK9 XTXが新製品として加わりました。プラグオン型の送信機で、ブームポールと組み合わせて使う。ケーブルでつながずワイヤレスで自由に移動しながら収録できる、というのが狙いです。防水ケースも用意され、雨天の屋外収録でも撮影を続けられる、と。
壁一面に並んだUHFラインアップの説明では、タイムコードジェネレーターとK9を組み合わせられること、Saramonicアプリでペアリングや音量調整をまとめて行え、アプリからワンタッチでタイムコードを同期できることが挙がりました。K9をすでに使っている人には、ここが一番気になる部分だと思います。
3mmのラベリアマイク:防水、SonyとLectrosonics用のコネクター
直径3mmと非常に小さく、防水機能も備えたラベリアマイク。K9だけでなく、SonyやLectrosonics向けのコネクターも用意していて、他社のUHFシステムにも組み合わせられます。取材班の「他社製品にも使えるのですね」に「はい、SonyとLectrosonics用があります」と。音質と防水性、目立たずに装着できることを求める人向け、という説明でした。
WiTalk9 X:AIノイズキャンセル、片耳・両耳・ヘルメットの3形態
インカムは今年の新モデルWiTalk9 X。従来のWiTalk9からまず音の面を改良し、マイクにAIノイズキャンセルを採用。騒がしい場所でも声を明瞭に聞き取れる、と。デザイン面では片耳、両耳、ヘルメット装着の3形態に切り替えられ、作業内容や現場に合わせて装着方法を選べます。
WiTalk Base:1台16人、4台で64人、実測600〜700m。他社ハブとも組める
IBCではベースステーションWiTalk Baseも展示。1台で16人が通話でき、4台をつなぐと64人まで拡張。コンサートや大型イベントなど中・大規模のチームに対応し、ヘッドセット単体のシステムより遠くまで届いて、実測では600〜700mという距離が出ている(担当者発言)。安定性や耐干渉性も高めていて、電波干渉の多い現場向け。
そして大きな特長として挙げていたのが他社製のハブとも組み合わせられること。すでに他社のインカムシステムを持っている現場が、既存機器を残したまま予算に合うBaseを追加できる、という話でした。レンタル屋としては、お客様の手持ち機材と混ぜられるかどうかは毎回聞かれる点なので、ここは大きい。
※SG MS1、SG Mic、K9 XTX、CineBuffシリーズ、バイノーラル収録用新製品、3mmラベリアマイク、WiTalk Baseは、現時点では新規取り扱い候補として紹介しています。パンダスタジオレンタルでのレンタル開始が決定しているものではありません。商品ページ公開後、この記事にもリンクを追加する予定です。
→ 動画のWiTalk9 Xの現行世代。5人用・片耳:
この機材が向いていそうな人・現場
- ロケでガンマイクと環境音用マイクを2本持ち歩き、収録後にどちらを使うか毎回迷っているワンオペの映像制作者(SG MS1)
- K9でブームを運用していて、ケーブルの取り回しと雨の日の撮影に毎回気を遣っている録音担当(K9 XTX)
- 他社インカムを持っているイベント会社で、大型現場のときだけ台数と到達距離を足したい技術チーム(WiTalk Base)
持ち帰り:Saramonicの新製品と、いま借りられる現行機の対応表
| やりたいこと | 動画の新製品(候補) | いま借りられる現行機 |
|---|---|---|
| 指向性+環境音を1本で、角度を後で決める | SG MS1 | —(ガンマイク+ステレオマイクの2本構成で代用) |
| B帯ワイヤレスでブームをワイヤレス化 | K9 XTX(プラグオン) | K9(13423) |
| ラベリアの衣擦れを抑える | CineBuffシリーズ | K9/Blink 500 PRO+テープ類 |
| 少人数の配信スタッフ間連絡 | WiTalk9 X(AIノイキャン) | WiTalk9 X-3S/5S/9S(14959/15283/15286) |
| 16〜64人・数百mのインカム網 | WiTalk Base | WiTalk9 X-9S(15286)で9人まで |
| カメラ直結の小型ワイヤレス | — | Blink 500 PRO B2(3610)/Ultra 01(13623) |
→ いま試すなら:
レンタルで試す価値があるところ
マイクは、周波数帯や到達距離のスペックより、自分の会場でノイズが入るかどうかが全部です。SG MS1の「角度50〜140度」も、自分の現場の環境音がどれくらい欲しいかで正解が変わる。新製品が入荷するまでに、K9とBlink 500を同じ会場で同じ日に鳴らして比べておくと、「いまの音」の基準ができます。WiTalk Baseが気になる人は、まずWiTalk9 X-9Sで9人の運用を回してみて、何が足りないかを数えてから。
→ 32bitフロート世代の小型ワイヤレスを試すなら:
用途別に探すなら
Saramonicの製品をまとめて見たい人
ワイヤレスマイクをメーカー横断で比べたい人
インカムを人数で探したい人
展示会で見た新製品が入荷したかを確かめたい人
→ 新着機材一覧
初日の取材はここまで。前夜編で「3日間ダッシュ」と言っていた取材班は、初日だけで11ブースを回りました。SG MS1とK9 XTXの入荷が決まればこの記事にリンクを追加します。2日目・3日目の動画も、届いたものから順に記事にしていきます。
📦 新製品を待つ間に、K9とBlink 500を同じ会場で鳴らして比べておく。
IBC 2026取材シリーズの動画は、撮れたものから順にPANDASTUDIO TVで公開しています。
→ 新着機材一覧(展示会で見た製品の入荷チェックに)
→ 映像制作・撮影技術のセミナー情報
→ PANDASTUDIO TV でIBC 2026取材動画をチェックする
出典:パンダスタジオ IBC 2026 アムステルダム取材動画「IBC Day1 11 Saramonic Rough v02 2」(2026年9月11日収録)
※製品名・仕様・発売時期は取材時のブース担当者の説明(字幕)に基づくもので、収録時点の情報です。掲載のレンタル商品は商品一覧(2026年7月版)でIDの実在を確認済みです。
