対談相手がいない。ゲストを呼ぶ予算もない。でも一人でカメラに向かって喋り続けるのは、正直しんどい。
そんな悩みに対する一つの答えとして、パンダスタジオ中村さんが試したのが「ChatGPTの音声会話(チャッピー)を相方にして番組を収録する」という実験だ。台本なし、編集で整える前提もなし。AIと雑談しながら、実在するスタジオのWebサイトをその場でレビューしていく。
AIに「もっと元気よく早口で」と演出をつける
収録はいきなり本題に入らない。まず中村さんがチャッピーに「僕とテンションが違うから、もっと元気よく早口で言っていいよ」と注文をつけ、AIが「了解、じゃあテンポ上げていくね」と応じるところから始まる。話が長くなってきたら「ちょっと話は短めにお願いしたいな。僕待ってるの暇なんですよね」と遠慮なく切る。このやりとり自体が、AIを共演者として扱うときのコツになっていて面白い。
URLを渡しただけでは「中身まではまだ見れてない」と正直に答え、スクリーンショットを貼ると「うん見えたよありがとう」と読み始める。AIに何が見えていて何が見えていないのか、かみ合うまでの試行錯誤がそのまま収録されているのは、これから同じことをやる人には実用的な情報だ。
題材は実在スタジオのサイト。AIレビューの中身
題材になったのは、協力いただいたダンススタジオ「Studio 7th Field(スタジオ セブンスフィールド)」さんのWebサイト。スクリーンショットを見たチャッピーの指摘は、意外とまっとうだった。
チャッピーの指摘(動画内より要約)
・ダンススクールとスタジオレンタルが同居していて、トップページで何のサイトか分かりにくい
・スタジオページの見出しが名前だけ。「ダンス・ライブ配信・撮影向けレンタルスタジオ」のように検索される言葉を入れた方がいい
・スタジオ写真が白っぽく、広さや設備(鏡・照明)が伝わりにくい。設備が一目で分かる写真の方が問い合わせにつながる
そこから話は「では機材を借りて何ができるか」に展開する。照明機材を借りてスタジオを綺麗に見せた写真を撮る。広角レンズで広さが伝わるカットを押さえる。360度カメラでスタジオツアーを作る。中村さんからは「最寄り駅からの道案内動画を小型ジンバルカメラで撮る」というアイデアも出て、チャッピーが「駅からスタジオまでのミニツアーみたいに見せるともっと親切」と乗ってくる。道案内は一度作ればホームページでずっと使える鉄板コンテンツ、という結論だ。
やってみて分かったこと:AI相方は「使える」、ただし固まる
収録の終盤、提案書をドキュメントにまとめてもらおうとしたところで、チャッピーがファイル形式の処理に手間取り、しばらく固まる場面がある。中村さんが「ごめん、いいやもう、マークダウンファイルでいいよ」と折れて、ようやく成果物が出てくる。この「締まりが悪い」終わり方まで含めて、AIとの共同作業のリアルな現在地と言える。
それでも中村さんの所感は「結構いける」。特に、ライブショッピングなどで一人で喋り続けるのが寂しいときの相方としてはかなり有望で、データ分析が得意なAIの特性を活かして相場解説のような番組を作るアイデアにも触れている。
この収録スタイルが向いていそうな人・現場
- 一人でYouTubeやライブショッピングを回していて、掛け合いの相手が欲しい配信者
- 対談形式のコンテンツを低コストで量産したい企業の動画担当者
- AI活用の社内デモや検証ネタを探している情報システム・広報の担当者
同じ実験をするなら:機材はぜんぶレンタルで揃う
この収録スタイルに必要なのは、配信・収録用のPCとカメラ、そして音声だけ。AIの声をモニターに返しながら喋る構成は、次回記事で紹介するダイナミックマイク運用とも相性がいい。動画内で話題に出た「道案内動画」「スタジオツアー」用の機材も含めて、まず借りて試せる。
→ 配信ソフト・ATEM Software Control インストール済みの配信用ノートPC:
→ 道案内動画・ミニツアー撮影に(動画内で話題のポケットジンバルカメラ):
→ 360度スタジオツアーに:
AIとの掛け合いは、正直、スペック表では何も分からない世界だ。自分の喋りのテンポとAIの応答速度が合うのか、モニター返しの音声で収録が破綻しないのか。機材一式を借りて半日試してみると、「いける・いけない」の判断が一気に具体的になる。
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