ネットカフェの鍵付き防音個室、あれは簡易スタジオになるのではないか。動画マニュアルやe-learningを内製したい会社にとって、いちばんのネックは「防音の効いた部屋が社内にない」ことです。そこで機材を持ち込んで検証してきました。
場所は快活クラブのテレワーク用個室ブース。カメラはiPhoneのフロントカメラ、ChatGPTが「インハウス動画制作におすすめ」と答えたSONY ZV-1、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K + SLR Magicのシネマレンズ、そしてDJI Osmo Pocket 3の4台です。リングライトのあり・なし、約3,000円のピンマイクとカメラ内蔵マイクの音質比較もやっています。
カメラごとの画の違いと、内蔵マイクから外部マイクに切り替わる瞬間の音の変化は、文章より動画で見比べる(聴き比べる)のが一番早いです。動画に登場する機材は、いずれもパンダスタジオレンタルで借りられます。各機材のレンタルページはこの記事の各セクションに置いてあります。
なぜネットカフェで撮ろうと思ったのか
きっかけは以前、Blackmagic Dayのイベントに合わせてライブショッピングの告知配信をしたときのことです。イベント会場は渋谷、私のいつもの拠点は浜町。移動に1時間かかるので、渋谷の快活クラブの個室からライブの開始・停止操作をしたんですね。
そのとき「このテレワークブース、防音がしっかりしていて、簡易スタジオ代わりになるんじゃないか」と思ったのが今回の検証の出発点です。ビデオ会議ができる水準の防音があるので、収録には理屈の上では十分なはず。あとはカメラと照明を何にするかです。
iPhoneフロントカメラ+リングライト:出張先配信の画
まずはiPhoneのフロントカメラから。防音が効いているので音はちゃんと録れますが、映りについては動画内で正直に言っています。「結構残念な感じじゃないかな、やっぱり」と。
リングライトを消すと、ブースの照明がかなり赤いのでそのままの色になります。点けると明るくはなるものの、「映りいいなー」というほどでもない。ホテルや出張先から「今日はここから配信してます」という、あの雰囲気の画になります。
この構成が向いていそうな人・現場
- まず1本、コストゼロに近い形でお試し収録をしてみたい人
- 出張先・遠隔地からの臨時配信や社内向け報告動画
- 画質より「音がちゃんと録れていること」を優先する連絡用動画
動画で使ったものと同種のLEDリングライト(スマホホルダー・三脚付きタイプ)は、パンダスタジオレンタルで取り扱っています。
BMPCC 4K + SLR Magic 21mm T1.6:ボケは出るが、返しモニターがないと詰む
次はBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kに、SLR MagicのMicroPrime CINE 21mm T1.6(マイクロフォーサーズ)を付けた構成。T1.6の明るいシネマレンズなので、ごちゃごちゃした個室の背景がボケて、雰囲気のある画になります。
ただしこの日、返しモニターを忘れました。BMPCCは自撮り用のカメラではないのでLCDが固定。つまり「今何が映っているか分からない」まま撮ることになります。ピントが合っているかも分からない。動画の冒頭はまさにその状態で撮っています。
予算10万円の縛りで選ぶなら、正直ZV-1のほうが向いています。ただ、ATEMスイッチャーと組んでライブ配信まで視野に入れるなら、Blackmagic製品で揃えておくメリットは大きいです。
この構成が向いていそうな人・現場
- 背景をボカした「それっぽい画」でブランディング系の動画を作りたい人
- 将来的にATEMスイッチャーでのライブ配信・複数カメラ収録まで見据えている企業
- 返しモニターを含めた機材構成を組める(または一度借りて構成を確かめたい)人
SONY ZV-1:ChatGPTのおすすめは正しかった
本命のZV-1。「企業でインハウス動画制作を始めるとき、どんな機材がいいか」とChatGPTに聞いたら返ってきたカメラです。実際に使ってみると、おすすめされるだけの理由がありました。
まず、バリアングルLCDを自分側に向けられるので、今何が撮れているかを確認しながら話せる。瞳オートフォーカスで、動いてもピントが顔に張り付く。録画中はランプが赤く光るので「実は録れていなかった」事故も防げる。直前のBMPCCで「何が映っているか分からない」を体験した直後だと、このありがたみが身に沁みます。自撮り収録で欲しい機能が全部入っているカメラです。
このカメラが向いていそうな人・現場
- これからインハウス動画制作を始める企業の、最初の1台
- e-learning・動画マニュアル・社内セミナーを一人で回す担当者
- 撮影の専任者を置けず、「確実に録れていること」を最優先したい現場
マイクは3,000円弱のECM-LV1で化ける
音声はカメラ内蔵マイクと、SONYのラベリアマイクECM-LV1を比較しました。買ってきたばかりで値札が付いたまま映っています。2,910円です。
カメラ内蔵マイクは遠くの音も広く拾う設計なので、個室でも反響が乗ります。ECM-LV1は口元にあるので余計な音を拾わない。カメラまで1メートルもない距離で撮るこの環境なら、3,000円弱の投資で音質がはっきり変わります。この差は文字では伝わらないので、ぜひ動画で聴き比べてください。ちなみに300円のピンマイクも過去に検証しましたが、あれは「さすがに300円でしたね」という結果でした。
ZV-1にミニプラグを挿すだけで自動的に外部マイクに切り替わるのも、設定いらずで楽なポイントです。
このマイクが向いていそうな人・現場
- カメラから1m以内で話す、個室・ブースでの一人語り収録
- 音質は上げたいが、ワイヤレスマイクまでは予算をかけたくない人
実はまとめパートはOsmo Pocket 3で撮っていた
動画の最後で種明かしをしていますが、まとめパートはスマホでもZV-1でもBMPCCでもなく、DJI Osmo Pocket 3で撮っています。画質の良さは映像を見てもらえば分かるはずです。ブースの照明を消しても撮れてしまう低照度性能も、動画内で実演しています。
Osmo Pocket 3が活きるのは「2台目」としての使い方です。ZV-1で社内収録の体制を作ったあと、外でインタビューを撮りたい、職人さんの手元作業を撮りたい、となったときに手持ちでサッと出せる。私も木工教室の指導風景や、屋根工事の板金業者さんの現場撮影で実際に活躍させています。望遠が効かないので被写体に近づく必要はありますが、動画マニュアルの作業カットには十分です。逆に、外撮りが中心で室内収録が少ないなら、これをメインカメラにする選択もありです。
このカメラが向いていそうな人・現場
- 社内収録用カメラの次の「外に持ち出す2台目」を探している人
- 現場作業・手元・インタビューなど、動画マニュアルの実写カットを撮りたい人
- 夜間や暗い現場での撮影が多い人
なぜ「買う前に借りて試す」のが向いているのか
今回の検証、実は失敗が一つ含まれています。返しモニターを忘れたことです。BMPCCを買ってから「自撮りには返しモニターが必須で、追加費用がかかる」と気付くのと、借りて一度試して気付くのとでは、ダメージがまるで違います。
カメラのスペック表には、バリアングルLCDの安心感も、ブースの赤い照明とリングライトの相性も、内蔵マイクの反響も書いてありません。自分の現場(この記事で言えば、近所の快活クラブの個室)に機材を実際に置いてみて初めて分かることばかりです。数日のレンタルで「うちの動画マニュアル制作にはこの構成だ」と確かめてから購入なり本格導入なりを決める。その試し方ができるのがレンタルの使いどころです。
用途別に見るなら
まず1本、低コストでお試し収録したい
iPhone+リングライト構成から。同種のリングライトやスマホ撮影向け機材を探すならこちら。
インハウス動画制作の体制をきちんと作りたい
ZV-1+ECM-LV1の構成が出発点。SONYのカメラ・マイク関連はこちらから探せます。
ライブ配信・マルチカメラまで視野に入れたい
BMPCC+ATEMスイッチャーのBlackmagic構成。シネマレンズはSLR Magicのラインナップも。
→ Blackmagic Design(ブラックマジックデザイン) 製品一覧
→ SLR Magic (エスエルアール マジック) 製品一覧
まとめ:お試しは「防音ブース+レンタル」、定着したら常設スタジオへ
快活クラブのテレワークブースは、ビデオ会議ができる水準の防音があり、e-learningや動画マニュアルの収録環境として申し分ありませんでした。
ただ、オフィスのすぐ近くにあるとは限らないし、使いたいときに予約が埋まっていることもあります。最初のお試しは「防音ブース+レンタル機材」で低コストに始めて、動画制作が業務として定着してきたら常設スタジオの構築を検討する。この順番が現実的だと思います。スタジオ構築のご相談もパンダスタジオで承っています。
📦 関連レンタル機材を探す
今回登場した機材は、いずれもパンダスタジオレンタルで取り扱いがあります。各機材のレンタルページは本文中のリンクからどうぞ。
→ 新着機材一覧
🎓 映像制作・撮影技術のセミナーも定期開催中。
