SONY C-38Bコンデンサーマイクロホン(旧型製品)の歴史:漫才マイクとしての確固たる地位

コンデンサーマイク

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「サンパチ」の愛称で親しまれる「SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)」は、日本の放送史および演芸史において極めて重要な役割を果たしてきた名機です。本記事では、この伝説的なマイクロホンがどのようにして「漫才マイク」としての確固たる地位を築き上げたのか、その歴史的背景や技術的仕様、そして現代における撮影小道具やヴィンテージ機材としての新たな価値について詳しく解説いたします。プロフェッショナルな音響機器としての魅力と、文化遺産としての側面を併せ持つC-38Bの全貌に迫ります。

SONY C-38Bコンデンサーマイクロホンの基本概要と特徴

C-38B(通称サンパチ)の製品定義と位置づけ

SONY C-38Bは、1969年の発売以来、日本の放送局やレコーディングスタジオで標準機として採用され続けてきたコンデンサーマイクロホンです。業界内では「サンパチ」という愛称で広く認知されており、プロフェッショナル向けの音響機器として確固たる地位を築いています。特に、漫才などの演芸番組においては舞台中央に設置されるシンボル的な存在となっており、日本のエンターテインメント文化に深く根付いています。旧型製品となった現在でも、その圧倒的な存在感と信頼性から、撮影小道具やヴィンテージマイクとして高い需要を維持しています。

コンデンサーマイクロホンとしての基本仕様

C-38Bは、高感度かつ広帯域な音声収録が可能なコンデンサー型のマイクロホンです。無指向性と単一指向性をスイッチ一つで切り替えられるデュアルダイヤフラム構造を採用しており、使用環境や収録目的に応じた柔軟な運用が可能です。また、ファンタム電源(48V)による駆動に加え、内蔵の9V乾電池(006P型)での動作にも対応している点が大きな特徴です。この電源の二重化仕様により、ファンタム電源を供給できない屋外ロケや古い音響設備においても、安定した高品質な音声収録を実現します。

放送業界における歴史的な貢献

1970年代以降、C-38Bは日本の放送業界において不可欠な機材として活躍しました。テレビ番組の収録、ラジオ放送、ニューススタジオなど、あらゆる場面でその高音質と堅牢性が評価されました。当時はマイクの性能が番組の質を左右する重要な要素でしたが、C-38Bは声の明瞭度やニュアンスを忠実に再現できるため、多くのアナウンサーやディレクターから絶大な信頼を集めました。日本の放送技術の発展期において、音声品質の向上に大きく貢献した歴史的な名機と言えます。

旧型製品としての現在の市場価値

現在、C-38Bの旧型製品はヴィンテージ音響機材として独自の市場価値を形成しています。最新のデジタル対応マイクにはない、アナログ特有の温かみのある音質を求めるレコーディングエンジニアからの需要が絶えません。また、「SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)」というキーワードが示す通り、昭和や平成の時代背景を再現する映像作品において、リアリティを追求するための撮影小道具としても重宝されています。状態の良い個体は中古市場でも高値で取引されています。

SONY C-38シリーズの開発と進化の歴史

1960年代における初代モデルの誕生

SONY C-38シリーズの歴史は、1965年に発売された初代モデル「C-38」から始まりました。当時、放送局用マイクは海外製品が主流でしたが、SONYは国産技術による高品質なコンデンサーマイクロホンの開発に挑戦しました。真空管からトランジスタへの移行期において、C-38は先進的なソリッドステート回路を採用し、小型化と高信頼性を実現しました。この初代モデルの成功が、後の日本の音響機器産業における国産マイクの普及を後押しする重要な契機となりました。

SONYの音響技術がもたらした革新

C-38シリーズの開発において、SONYは当時の最先端の音響技術を惜しみなく投入しました。特に、カプセル部分の精密な設計や、ノイズを極限まで低減する電子回路の最適化は、画期的な技術革新でした。また、日本の高温多湿な気候に耐えうるよう、防湿対策や耐久性の向上にも注力されました。これにより、スタジオ内の安定した環境だけでなく、過酷な現場や長時間の使用においても性能が劣化しにくい、極めて実用性の高いマイクロホンが誕生しました。

初期型と後期型(C-38B)の仕様変更点

初代C-38から数回のマイナーチェンジを経て、1969年に完成形である「C-38B」が登場しました。初期型との最大の違いは、ファンタム電源への対応と回路のさらなる低ノイズ化です。C-38Bでは、外部からの電源供給が標準化されつつあったスタジオ環境に適合するため、48Vファンタム駆動が組み込まれました。同時に、ローカットフィルターの切り替えスイッチが改良され、より現場での操作性が向上しました。外観デザインはほぼ踏襲されましたが、内部構造は大幅な進化を遂げています。

業界標準としてのロングセラー実績

C-38Bは発売以来、半世紀以上にわたって生産・販売が続けられた驚異的なロングセラー製品です。これほど長期間にわたり基本設計を変えずに業界標準として君臨した音響機器は他に類を見ません。技術の進歩により次々と新しいマイクが登場する中でも、C-38Bが選ばれ続けた理由は、その「変わらない音質」と「絶対的な信頼性」にあります。エンジニアにとって、いつどの現場で使っても期待通りの音が得られるという安心感が、ロングセラーを支える最大の要因となりました。

C-38Bが「漫才マイク」として定着した4つの理由

複数人の音声を的確に捉える優れた指向性

C-38Bが漫才用マイクとして広く採用された最大の理由は、その優れた指向特性にあります。漫才では通常、二人の演者がマイクを挟んで立ち、動きながら掛け合いを行います。C-38Bを無指向性モードに設定することで、マイクの周囲360度の音を均一に拾うことができ、演者が多少顔の向きを変えたり、マイクから距離を取ったりしても、音声レベルの変動を最小限に抑えることが可能です。この特性が、複数人の声を自然に集音する上で極めて有利に働きました。

過酷な舞台使用に耐えうる高い堅牢性

演芸場や劇場の舞台は、音響機材にとって非常に過酷な環境です。演者の激しい動きによる振動や、時にはマイクスタンドごと倒れるといったアクシデントも発生します。C-38Bは頑強な金属製ボディを採用しており、物理的な衝撃に対して非常に高い耐久性を誇ります。また、内部の電子回路やダイヤフラムも堅牢に保護されているため、日々の激しい舞台使用においても故障しにくく、安定した運用が可能です。このタフさが、劇場スタッフからの高い評価に繋がりました。

劇場空間における明瞭な音声再現力

漫才や落語などの演芸において、言葉の聞き取りやすさは最も重要な要素です。C-38Bは中高音域の抜けが良く、演者の声の輪郭をくっきりと捉える音響特性を持っています。これにより、広い劇場空間や反響の多いホールであっても、観客の最後列まで明瞭な音声を届けることができます。また、息の吹かれ(ポップノイズ)にも比較的強く、熱のこもった発声や大きな笑い声も歪むことなくクリアに集音できる点が、演芸用途に最適とされました。

舞台上で映える象徴的かつ重厚なデザイン

機能面だけでなく、視覚的な要素も「漫才マイク」としての定着に大きく寄与しています。C-38Bの大型で角張った金属製の筐体は、舞台の中央に置かれた際に強い存在感を放ちます。照明を反射して鈍く光るその重厚なデザインは、演芸の本格感や格式の高さを演出する効果があります。視聴者や観客にとっても、「あの四角いマイク=漫才」という視覚的な刷り込みが行われ、エンターテインメントのシンボルとして不可欠な存在となりました。

コンデンサーマイクロホンC-38Bの音響的・技術的仕様

デュアルダイヤフラム構造の採用とその効果

C-38Bの心臓部には、前面と背面に配置された2枚の振動板(ダイヤフラム)からなる「デュアルダイヤフラム構造」が採用されています。この高度な設計により、スイッチの切り替えのみで無指向性と単一指向性をスムーズに変更することが可能です。単一指向性モードでは、背面からの不要なノイズを効果的に遮断し、目的の音源だけをクリアに捉えます。一方、無指向性モードでは空間全体のアンビエンスや複数人の声を自然に集音でき、幅広い用途に対応できる汎用性を実現しています。

広帯域な周波数特性とプロからの音質評価

周波数特性は30Hzから18,000Hzと非常に広帯域であり、低音の豊かな響きから高音の繊細なニュアンスまでを忠実に再現します。プロのレコーディングエンジニアからは、「誇張のないフラットな音質」と高く評価されています。特にボーカルやアコースティック楽器の録音において、原音に忠実でありながらも、アナログ回路特有の適度な温かみや太さが付加される点が魅力です。デジタル録音が主流となった現代においても、この独自の音響特性は重宝されています。

ファンタム電源および乾電池駆動の互換性

電源供給の柔軟性もC-38Bの特筆すべき仕様です。標準的な48Vファンタム電源による駆動はもちろんのこと、本体内部に9V乾電池(006P型)をセットすることでも動作します。この乾電池駆動機能は、ファンタム電源を搭載していない旧式のミキサーや、電源確保が難しい屋外のロケ現場などで極めて有用です。電池駆動時でも音質や感度の低下がほとんどなく、プロフェッショナルが求める厳しい基準を常に満たす安定したパフォーマンスを提供します。

環境ノイズを低減するローカットフィルター機能

収録現場における不要な低周波ノイズを排除するため、C-38Bには複数段階のローカットフィルター(ハイパスフィルター)が搭載されています。空調の稼働音、足音などの振動ノイズ、屋外での風切り音などを効果的にカットすることができます。M(Music)ポジションではフラットな特性となり、V(Voice)ポジションでは音声帯域の明瞭度を高めるために低域を減衰させます。この機能により、後処理の手間を省き、現場レベルでクリーンな音声データを確保することが可能です。

旧型製品C-38Bが現在活用される4つの主要な場面

映像制作における本格的な撮影小道具としての利用

「SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)」としての需要が最も顕著なのが映像制作の現場です。昭和の歌番組、ラジオブース、あるいは漫才の大会を再現する映画やドラマにおいて、C-38Bは時代考証を正確に行うための必須アイテムとなります。本物の機材を使用することで、画面全体にリアリティと説得力が生まれ、作品の質を大きく向上させます。外観のみを必要とする場合、動作不良のジャンク品であっても小道具として高い価値を持ちます。

ヴィンテージ機材としてのレコーディング用途

音楽制作の現場では、あえて旧型のC-38Bを指名してレコーディングを行うアーティストやエンジニアが数多く存在します。最新のハイエンドマイクにはない、中低域のふくよかさや、高域の耳障りでない滑らかなトーンは、特定のジャンルやボーカルスタイルに完璧にマッチします。ドラムのルームマイクや、ギターアンプの集音など、アナログ特有の質感を楽曲に付加するための「秘密兵器」として、ヴィンテージのC-38Bは現在も第一線で稼働し続けています。

放送博物館や音響展示会での学術的資料展示

日本の放送技術史を語る上で欠かせないC-38Bは、放送博物館や企業アーカイブ、音響機器の展示会において重要な学術的資料として展示されています。真空管からトランジスタへの過渡期における技術的ブレイクスルーや、国産マイクが世界水準に達した歴史を証明する実物資料としての役割を担っています。後進のエンジニアや研究者にとって、当時の精巧な内部構造や設計思想を直接学ぶことができる貴重な教材となっています。

音響機器コレクター向けの希少な収集アイテム

オーディオ愛好家やヴィンテージマイクのコレクターにとって、初期型のC-38や状態の良いC-38Bは極めて魅力的な収集アイテムです。シリアルナンバーの古い個体や、当時のオリジナルケース、付属品が完備されているものは、オークション市場等で高額で取引される傾向にあります。金属の経年変化による独特の風合いや、歴史を刻んだ傷一つ一つがヴィンテージ品としての価値を高めており、投資対象として収集するコレクターも少なくありません。

日本のお笑い文化と「サンパチマイク」の深い関係性

各種賞レースや演芸番組におけるシンボル的役割

日本のテレビ史において、漫才の賞レースや年末の大型演芸番組のステージ中央には、常にC-38Bが存在していました。このマイクがセリ上がりで登場するシーンは、戦いの幕開けを告げる象徴的な演出として視聴者の目に焼き付いています。「サンパチの前に立つ」という行為自体が、漫才師にとっての一つのステータスであり、夢の舞台への到達を意味します。C-38Bは単なる集音機材の枠を超え、お笑い界の権威や伝統を体現するシンボルとして機能しています。

漫才師や演者が抱くC-38Bへの特別な愛着

多くの漫才師にとって、C-38Bは苦楽を共にする「第三の相方」とも呼べる存在です。若手時代に小さな劇場のサンパチマイクに向かって声を張り上げ、やがて大舞台のサンパチマイクの前で栄冠を掴むというストーリーは、芸人のキャリアと密接に結びついています。演者たちは、このマイクの前に立った時の独特の緊張感や、声を拾ってくれる安心感に対して深い愛着と敬意を抱いており、インタビュー等でもしばしば「サンパチ」への思い入れが語られます。

現代の舞台美術および演出に与えた多大な影響

C-38Bのアイコニックなデザインは、現代の舞台美術やセットデザインにも多大な影響を与えています。お笑いライブのポスターデザインや番組のロゴマークにおいて、四角いマイクのシルエットが頻繁にモチーフとして使用されます。また、ダミーの巨大なサンパチマイクのオブジェが舞台セットとして組まれることもあり、お笑いというジャンルを視覚的に表現するための最も強力なアイコンとして、演出家やデザイナーから重宝され続けています。

一般視聴者層における高い認知度の獲得

音響機器の型番が一般大衆にまで広く認知されている例は極めて稀ですが、「サンパチマイク」という言葉は、お笑いファンのみならず一般視聴者層にも広く浸透しています。テレビ番組での芸人のトークや、バラエティ番組のテロップなどで頻繁に言及されることで、専門機材でありながらお茶の間の共通言語となりました。この高い認知度が、「SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)」というキーワードの検索需要を押し上げる要因となっています。

撮影小道具としてC-38Bを導入する際の4つのポイント

映像に適した状態の良い旧型製品の調達方法

撮影小道具としてC-38Bを調達する場合、目的に応じた状態の個体を見極めることが重要です。音声収録を伴わず外観のみが必要な場合は、中古市場やオークションサイトで「ジャンク品」や「動作未確認」として安価に出品されているものを狙うのがコストパフォーマンスに優れます。一方、実際の収録も兼ねる場合は、専門のヴィンテージ音響機材店から、オーバーホール済みの完動品をレンタルまたは購入する必要があります。予算と用途に応じた調達ルートの選定が不可欠です。

撮影時のリアリティを高める外装のクリーニング

映像作品におけるリアリティを追求するためには、時代背景に合わせた外装のメンテナンスが求められます。昭和の新品当時を再現するシーンでは、金属磨きクロスや専用のクリーナーを使用して、筐体のくすみやサビを丁寧に落とし、本来の光沢を取り戻す必要があります。逆に、長年使い込まれた劇場の雰囲気を出すためには、あえて傷や塗装の剥がれを残し、過度な清掃を控える「エイジング」の視点も重要です。画面に映る質感をコントロールすることがプロの小道具としての要件です。

時代背景に合致した適切なマイクスタンドの選定

C-38Bの存在感を最大限に引き出すためには、組み合わせるマイクスタンドの選定が極めて重要です。漫才のシーンを再現する場合、現代の軽量なスタンドではなく、土台が円盤型で重量のあるクラシックなストレートスタンド(例えば高砂製作所製など)を使用するのが定石です。スタンドの金属の質感や太さがマイク本体と調和することで、全体のシルエットが美しくなり、映像としての説得力が格段に向上します。時代考証のミスを防ぐためにも、スタンド選びは妥協できません。

金属ボディの重厚感を活かす効果的な照明技術

撮影現場において、C-38Bの魅力を映像に定着させるには照明の工夫が不可欠です。C-38Bの金属製グリルやマットな質感のボディは、光の当て方によって表情を大きく変えます。逆光や半逆光(バックライト、エッジライト)を当てることで、四角いシルエットの輪郭を強調し、金属特有の鈍い反射を生み出すことができます。これにより、マイク自体が持つ重厚感や神聖な雰囲気が際立ち、演者の表情とともに印象的なカットを撮影することが可能となります。

SONY C-38Bと現代のコンデンサーマイクロホンの比較考察

アナログ特有の温かみと最新デジタル機器の差異

現代の最新コンデンサーマイクロホンは、デジタルレコーディングに最適化されており、極めてクリアで色付けのないフラットな音質が特徴です。対して旧型製品であるC-38Bは、アナログ回路を通ることで生じる独特の倍音成分や、中音域の豊かなふくよかさを持っています。この「アナログ特有の温かみ」は、プラグインエフェクトでは完全に再現することが難しく、冷たくなりがちなデジタル録音において、ボーカルや楽器に人間味や存在感を与える役割を果たしています。

ノイズフロアおよび感度における技術的な性能差

技術的なスペックを比較すると、ノイズフロア(自己ノイズ)や感度の面では、現代のハイエンドマイクが圧倒的に優位です。最新機種は微小な音までノイズレスで拾い上げる性能を持ちますが、C-38Bは旧式の電子部品を使用しているため、無音時のサーというバックグラウンドノイズが若干大きくなります。しかし、ロックやポップスのミックス内、あるいは舞台上の集音においては、この程度のノイズは実用上問題にならず、むしろその音の太さが欠点を補って余りあると評価されています。

筐体の重量とフォームファクターの時代的変遷

現代のマイクは、新素材の採用や基板の小型化により、軽量かつコンパクトなデザインが主流となっています。一方、C-38Bは約650gという重量があり、堅牢なダイキャストボディを採用しているため、手に持つとずっしりとした重みを感じます。この重量と大型のフォームファクターは、取り回しの面では現代機に劣りますが、外部からの振動ノイズを物理的に遮断する効果や、前述した「視覚的な存在感」という点において、旧型ならではの大きなメリットをもたらしています。

プロフェッショナルが今なお旧型を高く評価する背景

プロのエンジニアが最新機材に囲まれながらもC-38Bを手放さない背景には、「代替不可能な個性」があります。スペック上の数値だけでは測れない、声の抜けの良さや、ミックス時の音の馴染みやすさは、長年の現場経験から導き出された信頼の証です。また、過去の名盤や名番組の音をリファレンスとする際、同じ機材を使用することが最も確実なアプローチとなります。旧型C-38Bは、単なる古い機材ではなく、特定の音色を決定づける「楽器」として高く評価されているのです。

旧型C-38Bを長期保存するための4つの保守管理手法

カビや劣化の発生を防ぐ適切な温湿度管理

ヴィンテージのコンデンサーマイクロホンを長期保存する上で、最大の敵は湿気によるカビの発生とダイヤフラムの劣化です。C-38Bを保管する際は、防湿庫(ドライボックス)を使用し、湿度を40%〜50%の適切な範囲に保つことが必須です。湿度が高すぎるとカビが発生し音質低下の原因となり、逆に低すぎると内部の保護パーツが乾燥してひび割れる恐れがあります。また、直射日光を避け、温度変化の少ない冷暗所で保管することで、経年劣化を最小限に抑えることができます。

内部の電池液漏れを防止する正しい取り扱い手順

C-38B特有のトラブルとして多いのが、内蔵の9V乾電池の液漏れによる基板の腐食です。ファンタム電源での運用がメインであっても、過去に挿入した電池を入れたまま長期間放置してしまうケースが散見されます。保管前には必ず電池ボックスを開け、乾電池が取り外されていることを確認する手順を徹底する必要があります。万が一液漏れを発見した場合は、直ちに使用を中止し、腐食が他の回路に広がる前に専門業者によるクリーニングと修理を依頼してください。

マイクグリルおよび外装パーツの専門的な清掃方法

外装の清掃は、マイクの価値を維持するために重要ですが、誤った方法で行うと取り返しのつかないダメージを与えます。金属製のマイクグリルの汚れは、柔らかいブラシやエアダスターを使用して埃を慎重に除去します。水拭きや強力な溶剤の使用は、内部のカプセルに水分や化学物質が浸入する危険があるため厳禁です。外装の金属部分は、乾いたマイクロファイバークロスで優しく乾拭きし、皮脂や指紋を残さないようにすることが、サビや変色を防ぐ基本となります。

信頼できるヴィンテージ音響修理業者の選定基準

旧型製品であるC-38Bが故障した場合、メーカーの公式サポートが終了している部品もあるため、ヴィンテージ機材に精通した専門の修理業者に依頼する必要があります。業者選定の基準としては、「古いコンデンサーマイクの修理実績が豊富か」「代替パーツの調達ネットワークを持っているか」「修理後の音響特性測定(周波数特性のチェックなど)を行っているか」の3点を確認します。安価な修理代だけで選ばず、オリジナルの音質を損なわない修復技術を持つ技術者を探すことが重要です。

SONY C-38Bが後世に伝える音響遺産としての価値

日本の放送史および演芸史の記録と保存

SONY C-38Bは、単なる工業製品を超えて、日本の放送史および演芸史の歩みを証言する歴史的な記録媒体です。昭和から平成、そして令和へと至る数々の名番組、伝説的な漫才のステージ、歴史的瞬間の音声を拾い続けてきたこのマイクには、無形の文化が宿っています。当時の放送技術の到達点を示す物理的な証拠として、C-38Bを適切な状態で保存・管理することは、日本のメディア文化の発展の軌跡を後世に伝える上で極めて重要な意味を持ちます。

撮影小道具や美術品としての継続的かつ安定した需要

映像コンテンツの多様化に伴い、過去の時代を正確に描写する需要は今後も高まり続けます。「SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)」は、その特異な存在感から、時代劇における刀や甲冑と同様に、昭和・平成のエンターテインメントを表現するための不可欠な美術品としての地位を確立しています。この継続的かつ安定した需要により、C-38Bは実用品としての寿命を終えた後も、映像の中で永遠に生き続けることになります。

音響工学における教育的資料としての歴史的意義

音響工学や電子工学を学ぶ学生、若手エンジニアにとって、C-38Bは優れた教育的資料です。デジタル信号処理に頼らず、アナログ回路の工夫と物理的な音響設計のみで高音質と高耐久性を実現した当時の設計思想は、現代のモノづくりにおいても多くの示唆を与えます。デュアルダイヤフラムの構造や、ノイズ対策のノウハウなど、先人たちの技術的アプローチを実機を通して学ぶことは、次世代の革新的な音響機器を生み出すための貴重なインスピレーションの源となります。

「漫才マイク」という特有の文化遺産の永遠の継承

世界中の数あるマイクロホンの中で、特定のジャンルの演芸とこれほどまでに深く結びつき、代名詞となった製品は他に存在しません。「サンパチマイク=漫才」という文化的なアイコンは、日本独自の極めて特異な現象です。このマイクが持つフォルムや質感は、お笑いという大衆文化のDNAの一部として組み込まれています。C-38Bは、笑いを生み出す舞台の象徴として、その特有の文化遺産的価値を永遠に継承していくことでしょう。

SONY C-38Bに関するよくある質問(FAQ)

Q1: C-38Bは現在でも新品で購入することは可能ですか?

A1: はい、可能です。C-38Bは非常に息の長いロングセラー製品であり、現在でもSONYから現行品として受注生産等で販売されています。ただし、本記事で主に取り上げている「旧型製品」や初期のヴィンテージモデルは中古市場やオークション等で探す必要があり、状態の良いものは高値で取引されています。

Q2: 撮影小道具としてジャンク品のC-38Bを探していますが、相場はどのくらいですか?

A2: 音声の収録ができず、外観のみの利用を目的としたジャンク品の場合、状態にもよりますが数万円程度で取引されることが多いです。ただし、付属品(専用ケースなど)の有無や外装の綺麗さによって価格は大きく変動します。「撮影小道具用」として需要が高いため、完全な故障品でも一定の価値がついています。

Q3: C-38Bを漫才で使用する際、なぜ無指向性が選ばれることが多いのですか?

A3: 漫才では2人の演者がマイクを挟んで立ち、動きながら話すため、単一指向性だとマイクの正面から外れた際に声が拾えなくなる(オフマイクになる)リスクがあります。無指向性モードに設定することで、周囲360度の音を均一に集音でき、演者の立ち位置や顔の向きが変化しても音量のばらつきを抑えることができるためです。

Q4: C-38Bに内蔵する乾電池は一般的なもので大丈夫ですか?

A4: C-38Bの乾電池駆動には、一般的な角型の9V乾電池(006P型)を使用します。市販のアルカリ乾電池で問題なく動作しますが、長期間使用しない場合は液漏れを防ぐために必ず電池を本体から取り外して保管してください。

Q5: コンデンサーマイクは湿気に弱いと聞きますが、C-38Bのお手入れで気をつけることは?

A5: お手入れの際は、絶対に水拭きやアルコールなどの溶剤を使用しないでください。カプセル部分に水分が入ると故障の原因になります。外装の埃は柔らかいブラシで払い、乾いたクロスで優しく拭き取ります。保管時は必ず防湿庫に入れ、湿度を40〜50%程度に保つことが長期保存の秘訣です。

SONY C-38B コンデンサーマイクロホン C38B(旧型製品・撮影小道具用・漫才マイク)
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